糖尿病について
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「フレイル」と新しい糖尿病薬について

今回はいつもより、専門的なこととなりますが、医師、福田大和としての考えや一宮きずなクリニックの在り方についても書いていますので、お読みいただければ幸いです。

 

2月8日に高知市内の循環器内科の先生方を対象とした講演会があり、題目「フレイルとSGLT-2阻害薬の関係」について講演させていただきました。

 

私は言葉の定義は大事と思っており、「フレイル」とは(難しい言葉で言うと)、

『高齢者における、環境因子(身体的、精神心理的、社会的な要因)に対する晩弱性が高まった状態で、老年症候群の一種』

ということになります。

 

簡単に言うと、「将来の寝たきりになりやすさ」と言い換えられると思います。診断の基準には、5つの項目(筋力低下、歩行速度、疲労感、体重減少、身体活動)があり、3項目以上を満たす人が「フレイル」の診断となります。ここに書かれていないことで非常に重要なことは、「フレイル」は可逆性のことがあり、何かしらの介入(治療)で改善することがある、ということです。

 

例えば、筋力は4つの因子で増強することがわかっています。その4つの因子は、成長ホルモン、テストステロン、運動、アミノ酸(蛋白質)の摂取です。年齢や疾患とともに成長ホルモンやテストステロンは減少するので、介入できることとして、「栄養の改善」「適切な運動」ということになります。

ちなみに筋力に関しては、「サルコペニア」という言葉もあり、加齢や疾患により全身の筋肉量が減少すること、と定義されています。 加齢が原因のものは1次性サルコペニアとし、それ以外の原因を2次性としています。

つまり「フレイル」の診断には「サルコペニア」についても、医師は詳しくなければなりません。 サルコペニアについても重要なのは、筋力(握力)、歩行速度です。

 

私はその方の将来を考えた医療をしたい、という思いで、町医者としてできることをしたいと思っています。握力に関しては2011年に、握力と糖尿病の関係について世界初の発表をし、論文にもしています。診察室には握力計があり、時に握力を測ってもらうようにしています。

そして出来るだけ無理のない程度での運動は非常に良い、ということをお話ししています。

また、管理栄養士による栄養指導がうけていただけるようにしており、一宮きずなクリニックでは、「フレイル」に関して介入できる環境を整えています。

どのくらいの運動が良いのか、どのような運動がいいのか、疑問がありましたら、何でもご相談ください。

おこがましいことですが、「人に教える」という行為は、私自身の勉強にもなります。 今回の講演についても何か質問があっても答えられるようにと勉強していきました。そのことはきっと患者様にも還元されるはず、と思っています。