心臓・血管の疾患

クレアチニンは非常に大事な採血検査項目です。

クレアチニン(表示はCreとされることが多いです)は、言うなれば血液中のゴミの量です。 生きている以上、ゴミが0ということはありません。 正常値は男女、筋肉量で変わりますが、だいたい0.7mg/dLまでが正常で、1.0mg/dL以上は腎機能は低下している、と言えます。 体格にもよりますが、5.0mg/dL近くなれば透析の準備をして、体格の小さな方なら6.5mg/dLで透析開始となります。 ゴミが出せない、ということは有害物質が血液内に溜まってしまうので、死亡にいたってしまうので、透析治療でゴミを排出するわけです。

ここで、eGFRというものがあります。 最近はクレアチニンから算出するeGFRで、腎機能を評価します。 正常値は90以上です。 60以上あれば、ある程度の年齢なら、腎機能は保たれている、と私は思っています。 しかしこの時点で、慢性腎臓病で、その程度はIIといって、正常のIではなくなっています。 60未満になれば私は慢性腎臓病に対して治療をするべきだと思っています。 その治療法は、腎臓を守る薬物治療(基本的には1種類だけです)、血圧治療(降圧薬で血圧を下げる)、減塩治療の3つです。 これ以上の治療もあるのですが、基本は3つです。

全て、理窟は腎臓の中の圧力をさげることで、腎臓を保護することになります。 腎臓を保護する治療の代表は、ARBやACE阻害薬で、私は最も腎機能に対する論文が多い「アバプロ(ジェネリック薬品ではイルベサルタンとなります)」を少ない量で使用し、血圧が低くなれば、レニベースを使用します。 この手の薬を多量に使用すると逆に腎機能が悪くなってしまいます。 このあたりが、循環器専門医の腕の見せ所だと思っています。 そして血圧が高い例では、血管拡張薬を最大量使用し、それでも血圧が高値なら違う種類の薬や、違う血管拡張薬を使ってでも降圧をすることが大事です。 そして栄養指導で減塩を覚えてもらうことです。

未だに、ディオバン(ジェネリックなら、バルサルタン、となります)を使用している処方を見ますが、論文の不正がみつかった薬で、さらに臨床的に使用していれば作用時間が短い、というのが分かっているので、私は昼間だけ血圧が高い人だけにしか使いません。 私のクリニックにきて、ミカルディスにして「血圧が夜まで下がった」と皆さんなります。 つまり基本的には使用しません。 この薬が理由なく出されたら、「ちょっとおかしいな」と思ってもらっていいと思います。 海外でラミプリルという、英訳すると「高性能ACE阻害薬」という、日本未発売の薬があります。 降圧だけを考えるなら、このラミプリルに唯一負けない可能性を秘めているミカルディスを私は使用しています。 今までの患者さんの歴史もありますので、一概に言えませんが、初めて薬剤を処方するとするなら、腎機能重視ならアバプロ、降圧重視ならミカルディスとなるのは自然の成り行きだと思います。 異論反論もあると思いますが、論文を読めばそうなってしまうのです。