糖尿病について

なぜ(超)少量のARB(やCE阻害剤)という降圧薬を、血圧が例え低くても内服すると予後がよくなるのか?

上記は、第4回の院内の勉強会でもした内容になります。 私は、心機能をよくするため、アンジオテンシンIIという物質が悪さをするのを防ぐために、その物質が臓器のレセプター(鍵穴)にくっつくのを防ぐために、内服してもらいます。 血圧が高ければ標準量で、降圧は確実な効果をもつ血管拡張薬をメインで使用します。 ARBだけで血圧が下がるなら一番良いと思っています。 さて、最近びっくりしたのが、腎機能が悪いのに、標準の倍の量のARBが投与されている患者さんが熱中症でこられました。 腎臓を守るためには、簡単に言うと、4つの方法があり糸球体という部分の圧を下げる方法で①ARBで尿を濾す力を少し減らしてあげる方法、②なにせ降圧(血圧を下げること)、③塩分を減少させる方法に加え、④微小な血流が糸球体を栄養しているのですが、糖尿病などでその微小血管が潰れてしまい腎機能が悪くなるので、糖尿病をよくすることや血流を減らさないことです。 つまり、熱中症でこられた患者さんは、ARBが倍量投与されており、尿を漉せなくなり(最悪透析治療が必要になります、今回、今年の1月に当院で採血していたときの腎機能は半分になっていました、、、腹立たしい思いです)、さらに脱水で血流が悪くなり、悪循環になっています。 飲んだ薬は体から出せません。 投薬する医師の知識のなさで、患者さんの腎機能は著しく落ちてしまいました。 私自身が今は治療を行って、リカバリーをできるだけするようにしていますが、どこまで戻るか、非常に心配です。

さらに、びっくりしたのが、SU剤といって、私自身はもう開業して1錠も投薬していない薬で、自分の膵臓に鞭をうって、無理やりインスリンを出させる薬です。 副作用も多く、低血糖で死亡もありえます。 いろんな事情で、一時的に仕方なく低血糖に気をつけながら投薬することもありますが、怖い薬です。 しかし、15〜20年前は非常に良い薬とされており、「山奥でなかなか、病院にこれなかったり、理解力が低い患者さんには、アマリール(SU剤)が効いてなくても、出しておけば、そんなに糖尿病は悪くならない」という、とんでもない講演会があったのも事実です。 そうです、このSU剤は2次無効といって効かなくなってくるのです。 その状態で使い続けると副作用しかでません。 そんな方が、薬を旅行先でなくなったからだしてくれないか、といってこられました。 おそらく2次無効になっており、腰を据えて治療することを勧めましたが、「今まで5年以上同じ薬だから」と。 その方のバックボーンが分からないため、この薬でしかダメ、なのかもしれませんし、一概に一度だけ診させていただいた私が今までの経過がわからず違った処方もできないため、「必ず早く主治医のところにいってください」といって、帰る日までの処方を出させていただきました。
こういった、昔ながらの治療が横行し、さらに新しいが例外がある治療を経験が少ないから予想が立てられずに処方される場合があり、非常にレベルの低さに嘆いています。 自分自身がそうならないように、本を書き、論文をかき、発表をすることを続けていくつもりです。