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超音波検査の色々

だいぶ暑くなってきました。 水分は十分に取れているでしょうか?

超音波検査は、人を水の入ったドラム缶のようなものに入っていただいて検査をしていたのが始まりです。
超音波検査はエコー検査とも言い、色々あります。 心臓エコー、腹部エコー、頸動脈エコー、下肢動・静脈エコー、甲状腺エコー、乳房エコーなどです。 最近は、関節リウマチの早期診断は採血検査よりも、関節エコーが有用とされています。

今回は心臓と腹部のエコー検査の違いを述べさせていただきたいと思います。

心エコー検査は、心臓の機能、をみます。 腹部エコーは、肝臓がんや脂肪肝、腎臓結石などの、存在診断をします。

私は腹部エコーから入り、心エコーの門を後からくぐりました。 当時、心エコー検査は一般的に敷居が高く、技師はせず、医師がするもの、というイメージがあったからです。

今から考えると、心エコーの敷居はそんなに高くありません。 なぜなら「癌」が心エコーでは圧倒的に少ないからです。 ある程度の画像を出しておけば、上司の先生などに、その数値や記録した動画、血流速度の波形で、「後から」解釈が可能だからです(つまり一人でする心エコーは、自信のない人は出来ない、という点で敷居は高いかもしれません)

腹部エコーは、簡単に言うと、「癌を探しにいく」エコーです。 見逃しが最も怖い、ということになります。(しかし膵臓がんなどは2ヶ月で発症する、こともあるので、やっかいです。医療に完璧がない、ということの証拠だと思います)

何か怪しい画像があれば、一人でしていても、高次の大きな病院に紹介することが可能です。

現在、医師が心エコーさえもする機会が減ってきています。 理由は医療の分業制です。 技師は外来や心臓カテーテルはできませんが、心エコーはできます。 つまり、医師は医師だけができることをしてくれ、というわけです。
私自身は、医師が必ずする、という環境で経験を積んだので、一宮きずなクリニックではしていませんが、甲状腺エコーで、怪しいものがあれば、自身で細胞診、組織診をすることもしていました。

今後の医師の教育過程において、ますます細分化が進んで行くことを危惧し、「日本心エコー図学会(総会)」の急性心筋梗塞に対する心臓カテーテルと心エコー検査について、の部門でシンポジストに選出していただいた時は、「医師が偏った検査だけをするような病院にしない方が、日本の将来のためになる」と発言しました。

しかし現実は恐らく細分化がどんどん進んで行っていると思います。

どうすれば良いのか? それは敷居を低くすること、だと思います。 そのために、依頼されて書いている「心エコー」「心臓リハビリテーション」の医学書は、誰でも出来るんだ、ということをテーマにしたいと思っています。