消化器疾患について

肝臓の数値の結果の解釈(血液検査にて)

前回、腎臓の検査結果について書きました。 今度はそれの肝臓バージョンです。

医師がどのように見ているかを簡単にご説明します。

肝臓は作られては壊れ、また作られては壊れ、を繰り返しています。 これが原則です。

そして、GOT(AST)とGPT(ALT)が肝臓の壊れて血液中にある数値です。

低いほど良い、となります。 正常値より高い場合は「最悪、ガンができているかもしれないので、超音波検査が必要」と医師なら最悪のことを常に考えます。 少なくても私はそう考えた上で数値を見ていきます。

γ-GTP(ガンマ・ジー・ティー・ピー)は良く「お酒を飲みすぎると上がる」と思われていますが、それだけでなく、脂肪肝でも上昇します。 つまり、アルコールと過栄養のオーバーラップでも上昇する訳です。

さて、高知は2012年の古いデータではありますが、2位の石川県を抜いて、県民2人がお酒につかう月額のお金がブッチギリで1位でした。 とても不名誉なことです。
γ-GTPは人によって上がりやすい人もいれば(アルコールに弱い)、同じ量を飲んだから同じだけ上がるわけでもありません。 「わしは、1日1合も飲んでない」(それでも毎日飲んで、1合弱とは相当な量なのですが)と言っても200を超す人もいます。 数値だけでいうと、200を越した飲み方は肝癌が突然できてもおかしくないほどの量です。 女性はアルコールに弱いので、40以下、男性は60以下で飲むのが良いでしょう。 そのためには休肝日をつくって、一回のアルコールの量も減らさないといけません。 ※ちなみに日本酒1合毎日は食道癌のリスクを、4倍にします。 そこのタバコが加われば最悪です。 胃カメラで食道癌をチェックするべきです。

さて、GOT、GPTにもどりますが、どちらも正常値より上昇して、GOT < GPTのパターンだと我々は脂肪肝をまず疑います。 理由は慢性的にじっくりと肝臓が壊れているので、血液から出て行きにくいGPTの方が高くなる、ということです。 逆にGOT  < GPTだと、薬剤性かアルコール性を考えます。 脂肪肝+アルコール性はどちらのパターンも取りえます。 めずらしい病気である、「自己免疫性肝炎」なども考えます。

GOT、 GPTが100を超えるようだと肝炎を疑います、ウイルス性肝炎などです。 200以上だと恐らく黄疸(体が黄色くなる)も出ており、本人の「だるさ」の症状もでているでしょう。 超音波検査、(造影)CT検査、腫瘍マーカーなどで問題がなければ、原因(アルコールなど)を中止することで劇的によくなることもあります。 糖尿病がひどく、アルコールも飲んでいた患者様で、禁酒し、インスリンを導入した結果、やせ細っていた体は正常の体型になり、食欲不振も戻り、血糖値も正常になり、インスリンは中止になった例もあります。

最後に、実は血小板数も医師は見ています。 肝臓が悪くなれば、肝臓に血液が行かなくなり(行っても処理できない)ので迂回路として脾臓をまわって心臓に戻ります。 そうすると血小板の数が減ってきます。 昔は10万以下でしたが、最近は12万未満だと、肝炎ではなく肝硬変という肝臓が硬くなってしまって、もう治らない状態になってしまいます。 肝癌の可能性がぐっと上がってしまいます。

こういったアルコール性で肝硬変になる方をへらすために「お酒は土佐の文化じゃき」「返杯は当然」は、「あー、そういや昔そういう文化があったね」とするべきです。 自分だけでなく、他人の健康を害しています。 知事や県会議員にもお願いしたいところです。 本当に恥ずかしい文化です。 大学生のサークルではないのですから。

ちなみに私は「大事な席では飲む」、しかし出来るだけ飲む量は減らす、できれば飲まない、というようにしています。 何をもって大事とするかですが、お世話になっている方が酒好きの場合は断れない、みんなが飲んでいるのでノリが悪いと思われたくない、というのが本音でもあります。 お酒を飲むと、その日勉強を夜できなくなるのが、私にとっては本当に辛いことなのです。 最近はそうしているうちに、酒にも弱くなってきました。 今後は「アルコールは飲めない」と「言える」日がくるかもしれません。