私や父親、母親は徳島のど田舎生まれで、決して裕福な家に生まれたわけではなく、とくに父親は片親(祖父は父親が2歳のときに突然死しています)であるにもよらず、武勇伝を書いたら1冊の本では書ききれません。 両親を尊敬していますが、医師として私は父親の真似事をしていることが多い。 それは真似るは学ぶ、ということから来ています。 ただそれだけでは、自分自身を高めることはできないことも知っています。
そこで、心がけているのは、「守・破・離」です。これは、千利休の訓をまとめた『利休道歌』にある、「規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」ということから来ています。武道でも使われる言葉です。師匠の教えを型として身につけ(守)、それを研究して自分にあったものとし(破)、最後には自分だけのセオリーを作り上げる(離)、というなかで、本来の師匠(両親や今まで関わった師匠とよべる人)の教えから逸脱しないことが大事ということです。
凝り固まった、かびの生えた考え方に、開業するとなる(開業前も?)医師が多いな、と感じることが最近とくに多いです。 大きなお世話かもしれませんが、自分自身がそうならないように、いい師匠を持ってたことが自分の財産だと思っています。 なので、逆説的な考え方で、高知県から治療のガイドラインを変える気概で日々研鑽しています。

新聞にも寄稿したこの内容、ついに論文となりました。 心臓病になった40歳以上の方は5年間で7-22%の方がなんらかの癌になる、という論文です。 簡単に言うと糖尿病があると22%、なくても7%、という確率でした。

腫瘍循環器学という学問があります。 癌になると血栓ができやすくなる、というものです。 この考え方は以前からあったものですが、学問化することで医師全員がそのことを忘れない、ということでしょうか。

とある教授が発表段階で目をつけてくださり、論文をみて、その学会での発表はどうか?と言ってくださいました。 日程的にあえば、是非発表したいと思います。 もと消化器内科医で、香川の最終拠点病院では抗がん剤を使いながら、一方で緊急のカテーテルをしていた私ならではの、世界初の論文だと思います。

あまり評価しない医師は、循環器には癌がないから、そこまでみえない、という医師が多いのかもしれません。

狭心症を疑い、大病院で治療して、循環器だけの診療所でみていく、のは全く意味がない、という論文なので否定したいのかもしれません。 なお発表段階では、たとえ心臓リハビリをしていても、その確率は変わらない、というものです。 心臓リハビリの県で唯一の評議員医師である私としては、逆説的に「心臓リハビリは包括医療ではなく、循環器限定の包括医療である」、ということを広めていきたいと思っています。 患者さんが全て見てくる、という勘違いを起こしてしまうのが恐ろしいからです。

私はアルコール消毒を患者さんをみるたびに手指と、そのまま患者さんに触れる聴診器にもつけていました。

コロナウイルスが問題になってからは、そういうことをしている、のを分かりやすく、アルコール綿で聴診器を吹いています。

私の中では当たり前だったのですが、香川ではしている医師はいませんでした(当時は私もしていませんでした)

高知県ではじめての感染者が医療従事者だった、という事実があります。 しかしその方が決して悪いわけではありません。 「私は家で自粛していた」という方もおられるかもしれませんが、移動の手段で高知県は車以外なら、バス、電車、飛行機などをかなりの頻度で使わないといけません。 初めてのケースがレストランであったり、ホテルだったりした可能性もあるわけです。 長くても1年後には普通の病気(コモン・ディジィーズ)になっている可能性のあるこの病気ですが、私は高知龍馬マラソンを開催した時から、「県は分かってないな」と思っていました。 龍馬マラソン後、ひろめ市場で返杯している人は同じこと以上の行為をしている、と思います。 なので初めて発症したから、といってその行動を叩くのは極めて下劣です。

さて県や市がつくる、安心ネットワーク、のチラシを見た方もおられると思います。 簡単にいうと、メリットは、救急時に今までどんな治療を受けて来たか、薬手帳がなくてももらっている薬がわかる、それが災害時でも、ということです。 これだけ聞くと、すべていいように聞こえますが、1ヶ月前の診療所の加入率は8%にすぎませんでしたし、その中でも患者さんが加入しているのは本当に各施設10人程度で3桁はない、という事実です。

デメリットが大きすぎるような気が私にはします。 大きな病院以外でも違う診療所でも、薬局でも、個人情報が筒抜け、になる、ということです。 人に隠したい手術があったり、クリニックの医師を信用して話してくださる内容が、医師以外の医療関係者に筒抜けになる可能性があります。 100%個人情報を守れるシステムってあるのでしょうか? 例えば遺伝性が極めて高い疾患で本人は発症していないがその周囲多くが発病している場合(結婚に関して、自分から伝えたい事実を既に相手に知られてしまっている、などを想像してしまいます。あとは同じようなケースで父親が反社会的勢力である、などが自分とはもう関係ないけども、調べられてしまう、ということです(実際に私の友人のケースで、色盲、を隠していた場合もあります。最初からみんなが知っていたら、少し偏見の目で彼はみられていたかもしれません、そしてその家族も)そして誰が調べたかがほぼ分からないシステムです)、子宮外妊娠手術、子宮内膜症の程度、性病、結核(昔は隠しておきたかった病気です)、今なら新型コロナウイルス感染症などでしょうか? 信頼したクリニックで話した内容、また病院で手術した内容が、全く無関係のクリニックでも把握できてしまう、というシステムのように思います。 いくら守秘義務があるとはいえ、どこから漏れたかわからない、では今回のコロナウイルスのように封じ込めができません(1つの病院だけ、なら、そこからだ、と分かりますよね) 管理社会の悪い面が目立つように思います。 私が思っているようなシステムなら、私は入りません。 ただ、全くそういうのは気にならずに、何かあったときにどこでもかかれる、というのは魅力にうつる人もいるでしょう。 しかしまだ、以前から説明会に参加を数回していますし、導入している施設からも話を聞きますが、あまり詳細がわかりません、不思議です。 わからないものを導入するわけにも行きません。 3月初旬は私が忙しいので、説明に来てくださるという市の職員の方は3月中旬とさせてもらいました。 うがった見方をすれば、市や県は不安を煽って、加入させて、データベースを作りたい(まず作るでしょう、これは間違いないでしょう)思惑もあるでしょう。

加入しないといけない雰囲気を、醸し出しているのはどうかと思う次第です。 もちろん、患者さんの了承が必要ですが、いいことばかりでないことを知っておいて欲しいと現段階では思っています。

(※また加入にはそうとうな資料と書類が必要のようで、かなり時間がかかります。 内容の詳細はまた追ってここに書きますが、個人情報を守る、という文言がはいっていても、100%ではない、と思った方がいいでしょう。 違う書き方で、他のクリニック、病院、薬局でもあなたの病状が把握できます、という書き方にされて、個人情報は守秘義務で守られます、的なものになるのではないでしょうか。 万が一、システムの不備があって個人情報が漏れた場合、加入した貴方にサインをもらっていますので、ご了承ください、となる可能性があるので、導入していても加入している人が少ないので、強硬手段にでているような気がします)

少し、ネガティブなことが中心になりましたが、用心にこしたことはない、と思っているのです。 果たして、今の段階で、説明会などで聞いた内容では、本当にはっきりしないので。

当院では画像診断については、私の最も得意な心エコー検査においても遠隔地にいる心エコーの検査者に意見を求めることもあります。 CT検査、腹部エコーをはじめとする全てに当てはまります。

よく言われることですが、画像のプロと、臨床医が、画像診断で勝負する9:1の割合で画像のプロが勝つ、と言われています。 (そうでない場合もたまにありますが) 心エコーは画像のプロ、つまり放射線科医はできません。

私の好きな言葉に「自分との戦いは無意味。 自分は最も信頼できる仲間であり、敵(病気の知識や診断力をあげること)と戦うことが、患者さんのためになる」というものです。 そのためには、自分一人で診断を決めつけず、自分の知識が同時に上がっていくようなクリニックづくりをしています。