私の知り合いにもいますが、産婦人科をやめて、内科で開業した方もいます。 大学医局からはずれて、押し出され開業をするときに、「朝倉」という内科学の、いまでは医学生が読む本で勉強した(?)とのことで、今考えれば浅い浅い知識で開業してしまいました。

言った名言(反面教師としてですが)に、「ALPが上がらない癌はない」とのことでした。

そんなことで癌がわかればノーベル賞ものでしょう。 「この人(医師)は何を言っているんだろう?」と思ったことでした。 全力で医療をするのと、医療にかける思いが強いのは全く意味が違います。 その方は産婦人科(お産はしてなかったので婦人科)だけでなく、内科も診る、ということで開業を経営としてみていたのでしょう。 全力をその人なりにだしてはいたのでしょう。
開業すればなんとかなる、という典型的な時代もあった、負の歴史がそこにはありました。

「内科」の標榜は本当に「適当」につけられている場合がほとんどです。 内科といっても得意分野があったり、外科しかしたことないどども、開業時に「内科」も入れとこう、ということがあります。

日本では「標榜の自由」があるからです。 私が、「消化器科」を開業するときに入れなかったのは、周囲への配慮、と、「心臓が専門」ということの強調でした。 今後は消化器科の標榜も検討しています。

当院では、実際に「消化器癌」と「循環器疾患」の大病院への紹介率は5:5か6:4くらいなので。

私は医療はサービス業ではない。 医療はビジネスでもない。 医療者側と医療を受ける側が対等でなければいけない、と考えています。

学校健診での心電図や問診、また会社での健診でひっかかった場合は、心エコーが必須な危険な疾患です。

詳しい診断基準がありますが、大まかにいうと

心電図では

①有名なイプシロン波がみられること(ただし全例でみられない)

②胸部誘導(手足につける心電図ではなく、胸につける心電図の波形)の、異常や、右室からの心室性期外収縮

問診では

③失神歴があること

④遺伝性があるので35歳までの心臓突然死の家族歴があること。

心エコーや心臓MRIでは

⑤著明な右室の拡大と、右室の動きが悪いこと

などを注意してみることになります。

結果から疑わしければ、「即」紹介が重要です。 つまり心エコーを専門としていないと見逃しがある、ということになります。 なんども書きますが、患者さんから「心エコーは専門ですが?」とは聞きにくいと思うので(私が逆の立場でも聞けません)、クリニックならその医師の経歴、また心エコー機器がいくら最新でも「トラックボール」という、心エコー機器の真ん中にある、球体が2.5cm以上ない、「持ち運びもできる」アンチョコ型の心エコー機器を使っているところは循環器内科を標榜していても、絶対に心エコー専門ではありません、断言してもいいです。 大病院でも、能力の高い技師がとるならいいですが、未熟(経験が少ない)技師が心エコーをして、そのレポートを読み上げるだけなら全く意味はありません。

当院でも処方可能です。 蜂に刺されたことのある方は、2回目が怖いのです。 抗体を持ってしまう確率が20%ほどあります。 気管支喘息を持っていたり、IgEという採血検査で高値を示す方は要注意です。

またアレルギーと隣り合わせの仕事をしている方も要注意です。

エピペン を持っていると、そういったときに自分で自己注射したり、救急隊員に打ってもらうことができます。

ちなみに、自分で自己注射をした方は、必ず救急車を呼んでください。 おさまったからおしまい、ではなく、その後のことも心配だからです、。

これは私自身の私見です。 今まで「普通はこうだから」と言われていたことを、「なぜなんだろう」と疑問に思い、自分で調べても調べきれない場合、私は躊躇なくその道の、エキスパートに聞くことにしています。

研修医時代からそうしてました。 それで全てが理解できる一言(金言)が聞けるからです。

開業医となった今でも、まずは自分で調べる、分からなければ聞くという、もやもやしたままの考えをなくすことが重要です。 これを怠ると、自分の医療技術が上がりません。

 

昨年ごろより言われてきたことであるが、Lancet誌がいろんな報告をまとめたreview(論文をまとめたもの)をだしました。 日本ではなぜか、あたかも治療がある、かのように言う方もおられますが、「病態が良くなる対症療法がある」というのが間違いがないと思っています。
今までは、アミロイド蛋白が脳の中で増えることによって、老人斑というものを形成し、それが脳神経細胞の一塊である、ニューロン、を破壊していると考えられていました。 私もそういう風に習いました。 しかし、アルツハイマー病の患者さんに前向きな気持ちになれる音楽、運動、介護をすることで、患者さんの欲求不満や不安を減らすことはできても、病気の進行は止められない、とされています。

動物実験ができないことが病気の解明に遅れている、とされてもいるようです。 現在、薬剤としては、神経を保護したり、脳内で減っているアセチルコリンを増やす薬しか認可が降りていません。 私が留学から帰ってきた時に「画期的な薬ができるかもしれない! 脳内のアミロイド蛋白を減らすことができる注射薬だ」という論文をみましたが「失敗」という結果で、患者さんは、病気を遅らせる可能性があるかもしれない薬を飲んでいる状態です(ちなみに日本が最多だそうです) さて一番今注目を集めているのが、ウイルス(しかもヘルペスウイルス(といってもいろんな種類があり、そのなかの2種類))が、以前から言われていた、脳内の神経のつがなりを絡ませるタウ蛋白を炎症によって作らせる、という説です。 アミロイド説が間違っているわけではなく、良い報告もあり、効果はあまりないという報告もあります。 つまり、アミロイドを減らし(これはもうできている)、タウ蛋白も減らし、脳の中の炎症をとり、さらにウイルス薬を混ぜた薬がいいということだそうです。 しかし、Lance誌のreviewの中で報告している、NEJMという雑誌の昨年の報告では、発症するかなり前の段階から、何かしら脳に障害を受けている可能性が高い、とも書かれています。
つまり薬ができても、いつ投与されれば良いのかの検証もできていない状態です(もっと言えば薬もできていません)
よって私は、非常に効果がある方もいます(実際脳内のアセチルコリンが少なくなっているのは確かなので)ので、内服のアリセプトか貼るイクセロンパッチ(=リバスタッチパッチ)を使い分けるようにしています。 1日2回内服のレミニールは神経保護作用がある、とされていますが、否定的な論文を散見するため、効果が実感できる2種類をメインで使用していますが、患者さんが薬はちょっと、という方には無理に進めていません。 ただ、悪くなるようならご家族にも言って、「決め手となる、野球でいうとストッパーのような薬ができるまで、中継ぎピッチャーのような感覚で内服してみてもいいでしょう」と言っています。 運動や音楽、趣味を作ることは非常に大事ですが、病気の進行は遅らせてくれません。 不安感がなくなるので、「良くなったかのように見えるだけ」、というのが現在の見解です。
もちろん、甲状腺のこと、脳の器質的な疾患の除外、ホルモンバランス、うつ状態、などを除外しないと病気として扱うことはしてはいけません。 10年以上も精神科で統合失調症と言われた方が、四国こどもとおとなの医療センターで、検査を先輩の内科医師がしたところ、月経時にともなう脳の障害であり、ステロイドをのむことで、全く症状がなくなった、シーハン症候群などを目の当たりにしているからです。

県や市町村は、ことことを踏まえ、認知症に対する考え方を改め、介護の力が必要なのはわかっていることであり、病気の進行を遅らせないとしても、普段の対処療法になると考え、介護度を上げるようにするべきでしょう。 もっと言えば、要支援にするような人はすでに、認知症がかなり進んでいる、と論文をみると考えるべきで、要介護にするべきでしょう。 一度論文を見て診たら良いと思うのですがそんなことをする役人をしりません。 役所仕事と悪い意味で言われても仕方ない、税金泥棒の方がいるのも事実なのです。