心臓・血管の疾患

心不全に対する治療

血圧は低ければいい、そんなことはありません。 いろんな臓器に酸素を運ぶ意味でも血圧はある程度「保たれていなくては」逆に、血圧を上げるためのホルモンがでて、さらに臓器障害を起こします。

心不全に対して最もエビデンスがあるのが、「レニベース」という薬です。 さらに言えば、日本未発売の(英訳を無理やりすると、「高性能ACE阻害薬」となると思います)「ラミプリル」ですが、日本では使えません。 レニベースのいいところは論文が豊富というだけでなく、血圧を下げにくいけども、臓器保護効果に優れているということです。 「咳」という副作用が出た場合は同系統の新しい薬の、ARBという、ACE阻害薬を進化させた薬にすればいいでしょう。 特に「ミカルディス」は「ラミプリル」に負けない部分があることを証明できた薬です。 血圧がきになるなら、「ブロプレス」や、腎保護効果のエビデンスが豊富な血圧を下げにくい「アバプロ」も選択肢に入るでしょう。 私はこれ以外の薬は紹介されれば使用しますが、心不全に対してfirst choiceには基本的には使用しません。
そして、血圧に関してはかなり慎重に投与量を変えないといけません。 臨機応変にその患者さんがふらつきがなくても、心エコー検査所見や、腎機能、血圧が80前半なら、減量をしないといけないと我々は思って治療します。 ちなみに腎臓保護目的でACE阻害剤、ARBという薬を使うときは血圧が100-110以下になるなら、「使わない方が腎保護には良い」というのが一般的です。 では、心臓と腎臓、両方が悪ければ、、、 心臓に限って80を目安にするのはあまり良くない選択肢かもしれません。 一時的に降圧効果のある薬を減薬することがその患者さんの将来を見据えた治療です。 薬が減って不安になる方もいるかもしれませんが、そういったことは遠慮なくおっしゃってください。 私の方で理由を言って説明はしているつもり、ですが、受け取る側がどう思っているのか、が大事だと思います。