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紹介状とその返事のルール、マナーが患者さんを救う

現:吹田徳洲会院長の、金香院長は、四国こどもとおとなの医療センター(前:国立善通寺病院)で心臓外科部長をしていたときに、地域連携室長をされていました。 金香先生が地域連携室長も兼ねていた時に徹底していたのは、紹介を受けた日、もしくは紹介が夜間であれば、次の日には必ず紹介元に返事を返すこと、が義務付けられていました。 返事を書かない医師(私も含めてですが)には、16:30にPHSで連絡がきて、「私も帰れんし、地域連携室の皆んなが迷惑するから、忙しいのはわかるけど、まずは返事を書くように」という指導をうけました。 金香先生は、患者、開業医、大病院を対等の関係と考えていましたし、私もその意見に賛成だったので、紹介状をもらって、数日経ってから、もしくは退院時に返事をする、などということは絶対にしないことにしました。 少しの手間で返事は書けるからです。 「紹介ありがとうございました。 現時点ではこういった疾患が考えられ、入院となりました」と書き、その後にまた詳しい結果を送れば良いのです。

私も陥ることがありましたが、医師である以上、困っている患者さんを「治してやる」は全くのナンセンスで、さらに紹介状の返事をすぐに書かない行為は、紹介元のかかりつけ医を軽視している行為だと教えられ、学ぶことが多かったです。 大病院では、命のかかった治療で忙しいのは経験しているので分かりますし、実際に10分の手間が煩わしい、さらに過重労働で心にゆとりがなくなるのは経験上否めません。 だからこそ、そこで患者さんのことを思えば、以後の治療を進めていく上で、連携をクリニックと病院でとることが非常に大事だと学び、そしてそれが正しいと思うに至りました。

最も医師にとって大事なことは、良い上司にめぐり合い、時には厳しく指導されること、が重要だと思います。

四国こどともおとなの医療センターは、非常に綺麗になりました。 ただ、そこで働く医師が変わらなかったり、逆に人手不足になったり、良い上司がやめていくのであれば、ハード面はよくなってもソフト面が悪いのであれば、「前の方がよかった」となりかねません。 実際に人手不足が一時解消されましたが、徐々に医師がまた減っていき、良い上司がいなくなり、若い医師も来ない、来ても良い指導(ここでは医療技術ではない、医療への考え方です)が受けられないのなら、衰退していくかもしれません。 OBとしては心配しています。