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専門医制度を否定する腕のいい医者

善通寺病院(現:四国こどもとおとなの医療センター)勤務時代、精神科のドクターが3人いました。 内科疾患のある精神科の患者さんを受け入れることになっていたので、基本、私たち内科医が共同で診察していました。
そんななか、消化器内科でもっとも腕のいい先生は、全く資格や専門医も持っていません。「あんなん意味ないから」と。
精神科の患者さんが搬送されてきて、シーハン症候群であることを、粘り強くみて診断しきり、ずっと他院で統合失調症と診断されていた20年が嘘みたいになおり、「精神科疾患ではなかった」ことを突き止めました。
私はその医師を尊敬しています。 大腸胃カメラ、総胆管結石、胃カメラ、胃ろうの作り方(知ってはいましたが)などたくさん習いました。 懐の深い先生でした。

なぜ検査をいろいろしたのですか? と聞くと、「精神科特有の所見がなく、病歴もおかしいと思ったからだよ。それに最初からつけられている病名が違う、と疑うことも大事だし、自分の親ならどうするか考えることやね」と。 相当勉強したのだと思います。 他の医師が意味のない専門医資格(今はもっと意味のない専門医があります、ちなみに私は価値のある専門医もあるとは思っていますので、そこは意見が違いますが仲良くしていました)の勉強をしている間に。
精神科の患者さんに対する思いがその先生には強くあり、私はその尊敬する医師の真似事ですが、それが正しいと思って治療に当たっています。