消化器疾患について

腹痛に対しての対応(疑問に思う「ちょい当てエコー」)

本格的な梅雨入りとなりました。

今日は当院での「腹痛」に対する対応を紹介致します。

まずは身体所見(視診・聴診・触診)をして、検査をします。また何より腹部の血管が大事なので腹部エコーもすることがあります。必要があれば、当院では、午後でも胃カメラをすぐにすることが出来るように心掛けています。

ちかごろ、カルテに書かれている言葉に「ちょい当てエコー」というのが氾濫しています。

この言葉をみて患者さんはどう思うでしょう? 私が患者なら、「おいおい、きちんと見てくれよ」と思うことでしょう。
この「ちょい当てエコー」は、外国の「quick look echo」という、緊急時に大事な部分だけを見て、トリアージ(緊急性があるかどうかを判断する)する語源から、変な和訳になっているのではないのでしょうか? 申し訳ありませんが、詳細は私には不明です。
腹部エコーは食事をしていれば、なかなか見れない部分もありますが、「ちょい当てエコー」は責任逃れの言葉になっていないでしょうか?
これは若い医師への教育上、仕方ないことかもしれませんが、患者さんは悪くなって来院されてくるわけです。 「検査はしましたよ」という最低限のことをして、医療訴訟にならないような行動を教える時代になったと思うと、医学教育に対して悲しい気分になります。
そういった患者さんが来たので、「すぐに胃カメラをしましょう」と説得し、結果は十二指腸潰瘍でした。 十二指腸は薄く、胃潰瘍とちがい、穿孔して腹膜炎を起こしやすいので危険です。
前医も十二指腸潰瘍などを想定していたと思いますので、当院への胃カメラの勧めをしていたことは適切だと思います。
しかし、一町医者は、何でも診れないといけません。 またそういった研鑽をするべき(しておくべき)です。
私の専門は循環器ですが、胃カメラの研鑽もしていました。 今年も研修にいって研鑽する予定です。
町医者の総合医は、ドクターXのような大病院の難病を診断するバレーボールでいうとアタッカーのような総合医と違い、バレシーブ専門やリベロ、時には専門領域で良いトスをあげれるセッターだと思います。 幅広く疾患を診れて、おかしいと思えば、ドクターXに紹介することが出来ることが大事と思います。
それができない町医者は、いくら「内科」を標榜していても、その前にある「循環器」だけが専門になってしまいます。
そういったことはあると思いますので、診療所同士で連携をとることが大事と思い、私も出来ないことはたくさんあるので、周囲の先生方に助けてもらっています。
ただ、専門にしている「循環器」だけでは、本当に患者さんを2050年まで健康でみれない、と思っています。
そのための「内科」の勉強が大事だと思っている次第です。