UCGは和製英語で、英語圏では通じません。 Echocardiography と書くのが常識となっています。

さて、心エコー法も通常は使いません。 これも上記と同じく学会で、心エコー図、と決まったからです。
最近は、海外で、quick look echo といって、日本では、「ちょいあてエコー」という、あまりいいネーミングではない言葉から、point of care echoという、「ポイントを絞った、時間の短いエコー」のことを「POC」と呼ぶようになりました。

さらに最近では、心エコー図をPOCで行なった場合、非専門医がする場合、focused point of echocardiographyと呼び、専門医の場合はlimited point of echocardiography ということいなっています。

循環器内科全員が、心エコー図の専門ではありません。 きちんと研鑽と研究をかさねた人が専門であるべきです。

米国では、循環器内科医でも、専門と非専門では、そのエコーの価値が変わってきます。 日本では、「誰がやっても患者さんが支払うお金は一緒」です。 もちろん、その後の説明にも大きく変わってきます。
開業医で超音波検査をしましょう、と言われても、本当に専門かどうかは、エコーの機種と、説明がきちんとされるか、でわかります。 持ち運べる、アンチョコの心エコー機器で、私は心エコーも腹部エコーも頸動脈エコーも撮られたくありません。

近頃の風邪は、治るだろう、とほっておいて、1週間たつと気管支炎になっている場合があります。

採血や痰の検査で、そうなる方は、マイコプラズマ感染症、百日咳などの可能性もあります。

3日目で改善がなく増悪するような風邪は、聴診してもらった方がいい。 どう考えても、蓄膿症の増悪なのに、抗生剤が出されておらず、治ってない方もいました。 もちろん私は耳鼻科ではありませんが、私が診ても、明らかに抗生剤が必要な時期だったりします。

鼻腔鏡をみれば、ある程度わかる場合があるし、レントゲンで分かります。

老衰がいろんな因子で第3位となっていますが、肺炎になると高齢者の場合命に関わってきます。

重症の肺炎、そのなかでも、肺真菌症(カビが肺に生えている場合)、肺膿瘍(膿が肺に溜まっている場合)、など、集中治療室で、治し切りました。 これは、大きな病院で循環器兼内科をしているころの話です。 循環器をしているので、滅菌の心臓カテーテルに穴を開けて、外から膿瘍めがけてカテーテルを刺し、膿を吸い出したりして治療したのです。
開業医からの紹介でした。 あとから診たら、の話になりますが、そうなる前に治療をしたい、と常に思っています。 医学に100%はありませんが、気管支炎から、肺炎にさせないために、きちんと研究を開業医でもして、治療にあたるのは常識です。 救急外来で1日だけ処方をして、明日かかりつけ医にかかりなさい、という決まりごとを私は無視していました。 困っているから救急外来に来ているのです。 もちろん、夜間の外来を通常の診察として使うのは論外ですが、夜間の救急外来ほど、頭を悩ませるものはありませんでした。
腹痛で、CT検査をすると、破裂しかかっている大動脈瘤があり、すぐに手術、となった方もいました。
38度の熱がある若い男性、1日解熱剤(しかも相当軽いもの)を処方して、「明日かかりつけ医に」と言われても、持病もないのにかかりつけ医もないし、仕事もあるので、次の日に私の外来にきて、レントゲンをとると、胸膜炎を起こしていたので、その胸水を抜き結局入院になった方もいます。 これは、後から診たからではなく、前日の夜でも、丁寧に診ていればわかっていたことです。

何事も、浅く広く、よりも、一芸に秀でる、ことが難しい。

医療の世界も同じです。

日本で10本の指に入る、のではなく、世界で10本の指に入る、というくらい秀でた診療技術は、科をまたいで、いろんな疾患にも詳しくなります。

例えば、心エコー検査で、肺高血圧があった時にはいろんな疾患を考えなければなりません。

心臓リハビリでは、栄養状態に関して膵臓の病態に詳しくなるはずです。

本日も開催される循環器学会、エキスパートの先生たちだけでなく、レジェンドと呼ばれる先生ともお話しでき、大変参考になりました。

土曜日はパネリストとして(アマゾンのカードと、記念品をいただきました)壇上で話をする機会があり、クリニックを休診させていただきました。
土曜日は朝の8:30から、夕方18時まで。 日曜日は8時から15時まで。

徳島大学のエコーグループで、日本の教科書はこれしかない、という医学書を執筆された先生をはじめ、一緒に働いた先輩、同僚、後輩、技師さん、MR(薬剤情報提供者)さんにもあえ楽しく過ごせました。
ただし、全てのセッションの中から、自分が今まではしていて、今後しないであろう、ステント治療の分野も含め、出来るだけ幅広く時間を惜しんで聴講しました。

長かったようで、終われた短く感じました。
本日はゆっくり休むこととします。

ダイバーシティとは、幅広く人材を活用する取り組み、のことです。 企業で使われることが多いのですが、最近の医療の現場では、医師一人では解決できないため、多職種との連携を強めることが重要という「100人会議」と題された、テーマは「心不全の再入院予防について」の、「循環器医のかかりつけ医代表」として、出席します。

会場の方の意見を取りまとめ、最後にスライドをだす、という形式ですが、当たり前のことはスライドにだすと、すでに意見が出ている可能性があるので、「これは思いつかなかった」「盲点だった」と聴講者を思わせることが大事、だと常に思っています。

今回の循環器学会は、非常に参加者が多いようで、会長を務める徳島大学の山田先生のいろんな試みが、その原因だと思います。

素晴らしい学会いなると思います。 土曜日を休診にさせていただき。ご迷惑をかけますが、その分、これからの診療に活かしていきたいと思います。