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大病院(基幹病院)の実態

一般の方や、医師以外の看護師含む医療関係者も知らないことだと思いますが、「当直」というのは、外来業務は入っていないのです。 あくまで労働基準に沿うと、院内の入院中の患者さんの対応で、「睡眠が十分にとれること」が担保されるべき、とされています。

実態はどうでしょう? 香川で勤務していた私の場合は、まず、8:30に病院にいき、週に2回外来を午前中しますが、午後までかかってしまうことがあり、入院患者さんの急変などの対応ができないため、重症の方以外は、極力「信用できる」開業医の先生に紹介していました。 週に2回カテーテル検査・治療の日があり、週に3回私はエコーの検査を朝から夕方までしていました。 週に1回は日中の救急車の対応もしていました。 17:30で終わるはずがありません。 20時はからなずまわります。 そして当直ですが、月に7回なら普通で、8回だと多いな、と感じていました。 この「当直」は救急車の対応、外来患者さんの対応、院内の対応で、ねれない日がもちろん多いです(3時間寝れたらラッキーと思います) そして次の日が外来だったりしますが、病院側(運営側)は、当直の次の日を、働いているのがわかっているのに「休み」としているのです。 信じられないかもしれませんが、それが実態です。 ちなみに、循環器当番、内科当番もしていましたので、7回当直をすればいいわけではなく、他科の先生から当直以外の日でも呼び出しもあるし、重症患者さんがいたら、家に帰ることも憚られます。 よしんば家に帰っても、入浴はできません、シャワーをさっと浴びるときに携帯に気づかないといけないので、常に少し開けた状態でシャワーを浴びていました。 そんななか、論文や海外での発表、そのための臨床研究をするのです。 私の場合は循環器だけではなかったので、他の循環器の医師よりも入院患者さんは多かったです(年間550-600人診ていました、張り出されます) さすがに、当時の内科部長から、「当直のあと、通常業務をすると、36時間以上の勤務になる」とのことで、当直明けの外来は、時間外労働をつけることになりました。 そうすると、毎月100時間以上の時間外労働になり、通常の給料より高くなるのです。 それを事務方が問題視して、毎月100時間はやめてくれ、40時間までにしてくれ、ということもありましたが、私はそういう病院は潰れた方がいいと思うので、100時間以上を正直につけていました。 そうすると、勝手に勤務表を改ざんされるんですよね。 各月で給料が大きく変わるという不思議というか、信じられないことが起こっていました。 基幹病院の医師は過労死寸前です。 今も7年前も変わっていないでしょう。 鬱病になる医師も何人もみてきました。 医師は自殺率が高い職業です。 私は医療はサービス業ではない、と思っています。 患者さんと医師はあくまで対等な関係であるべきです。 しかし、上記のような過酷さを、基幹病院にいては言えないのです。 なので、開業した身である私が代弁してみました。 労働基準局が入れば、即その病院は潰れるでしょうが、「なぜか」労働基準局はきません。 医師の頑張りで、日本の医療は成り立っているのです。 労働基準局が基幹病院にはいれば、患者さんが医療を受けられなくなります。 しかし、国が見て見ぬ振りをするのはどうか、と思いながら仕事をしていました(私の場合は特別で、忙しいほど、近い将来を考えると、暇では困る、と思っていたので良いのですが、基幹病院にずっと残る医師にとっては、耐えられない、という言葉がカンファレンスでは常に叫ばれていました)