その他の疾患

臨床の医師は内科(診断と治療)、外科(手術)、精神科(特殊な投薬)、と放射線科(高い画像診断能力)に分かれます

まずは臨床、というのは、一般的に逆の言葉が基礎研究、となると思います。 実践的というのが臨床、マウスを使ったり細胞が遺伝子操作でどうなっているのかを見るのが基礎研究になります。 臨床医と基礎研究医以外にも、法医学科、病理学科などもありますし、医学部をでて、厚労省に入ったり、保健所で働くことも可能です。 ただ99%の医師が臨床医になります。 私は留学で基礎研究をしていましたが、血圧が同じくらい高くても、アンジオテンシンII(やアルドステロン)という物質が体内に多いマウスは臓器障害を起こしやすい、ということを目の当たりにしました。 血圧の薬を決める時にも役に立つ知識ですし、論文も今まで興味がなかった分野ですが読みやすくなり、結果書きやすくなります。 現:四国こどもとおとなの医療センターで働いていた時は、内科、循環器内科、で夜間当番(ちなみに私が当番の時は内科も循環器も兼ねていたので、診る患者さんが多かったのと、「それはうちの科じゃない」という先生と一緒の日に当番をしていると、どうしても当直している医師から私に回ってくる微妙なラインの患者さんも絶対に見ていたので、他科の先輩医師やもちろん後輩の医師に教えてもらいながら診断・治療をすることで治療はもちろんだが、実際に視たことがない、という疾患はかなり減りました。

さて、内科はイメージしやすいと思います。 外科はある程度診断がついてからの勝負、となります。もちろんより専門性の高い診断(内科医が弁逆流、と診断すれば、心臓外科医はどの部位がどのようになっているから逆流している、などの診断をします)をする、という印象です。内科医がバレーボールでいうとレシーバーやセッター、リベロなら、外科医はアタッカーということになります。精神科はその中には入って来ず、違うコートでバスケットボールをしている、という感じです。

高校の教師で言うと、理系が外科、文系が内科、音楽・美術が精神科となります。整形外科医は診断と手術を行っているので一概には言えませんが、それくらい違う、ということです。では心療内科というのは? これは精神科には行きにくいけど心療内科なら患者さん側からすると敷居が低い、ということになるため、精神科の先生が開業するときや大きな病院でも心療内科という科目が出てくるわけです。 しかし内科医でも心療内科的な治療は行います。 不安障害があったり、寝つきがわるかったり、うつ状態の方に治療をすることはかなり多く(というかそういう状態でない患者さんが、大きな病院で悪い病気をもっていると、少ないくらいです)、例えば昔はC型肝炎をインターフェロンを注射しながら治していましたが、自殺の可能性があるため1階の病棟で治療するのがいい、などです。精神科の病棟も1階が多いはずです。2階以上でも窓に工夫がされていたりするはずです。

私は内科の中で循環器だけにとらわれず、しかし循環器の心エコーと心臓リハビリを専門として重きをおき(もちろん当時の高レベルで心臓カテーテル治療も行っていました)、幅広く内科疾患を診てきました。

ただ今でもそうですが、精神科の先生に紹介する患者さんは確実にいる、というのが現状です。 私が加減した投薬をするよりも十分な治療薬やカウンセリング、さらには、同じような心療内科的なことでも、患者さんも安心しているな、と思う次第です。 私は内科と精神科、外科と精神科を同時に極めた医師を今まで見たことも会ったこともありません。 外科もこなす内科医、というのはたくさんいますし、その逆もですが、必ずどちらかが「専門」です。 またそうでなくては極められません。 そんなに医学は簡単なものではありません(みなさんの仕事もそうではないでしょうか? 野球でいうと二刀流で有名な大谷選手くらい珍しい稀有な存在です。ある意味、天才なのだと思います) 心エコー検査でも、心臓がポンプの働きをする、というイメージを循環器内科医以外は持つことが多いと思いますが(現状はそうでもなくなってきたと思いますが)、私ども循環器内科医からすると、ポンプというより、拡張する臓器、血液を吸い込んでその勢いで拍出する臓器で、心臓拡張期学というニッチな分野まで知らないといけません。