心臓・血管の疾患

心房細動と抗凝固薬について

心房細動という定義は持続時間が30秒以上、とされています(2018年のアメリカ心臓協会(AHA:American Heart Association)など) この定義は最新の研究結果として、EHRA(欧州不整脈学会)/HRS(米国不整脈学会)/APHRS(アジア太平洋不整脈学会)/LAHRS(ラテンアメリカ不整脈学会)が合同で2010年代から変わらず、2024年でも公式な見解として出しています。 この30秒という定義は、心房細動のアブレーション治療を受けた後の再発にも用いられます(ただし、治療後90日間は再発とはみなさず、その後の厳格なフォローが必要とされています)

しかし現代でも30秒未満の心房細動は心房細動負荷(AF burden)とされ、明確には記載されていませんが、患者さんの脳梗塞リスクや患者さんの意向を考慮して内服することも検討すべき、というニュアンスで言及されています(Circulationという雑誌に2024年にガイドラインとして記載された論文の一部を抜粋しますと、“In patients with atrial fibrillation (AF), the decision to initiate oral anticoagulation (OAC) therapy should be based on the patient’s risk of stroke as assessed by the CHA₂DS₂-VASc score, regardless of the type or burden of AF.”​ (心房細動のある方にとって、血をサラサラにする薬(抗凝固薬)を始めるかどうかは、心房細動のタイプや出た時間の長さ(心房細動負荷)に関係なく、脳こうそくの危険性をもとに決めます。この危険性は“脳梗塞危険度スコア”という指標で評価します)とされています)

AF burden(心房細動負荷)は30秒未満も含めた超短時間の心房細動がホルター心電図でどのくらいの割合(%)ででているか、を表す指標です。 一つの区切りは0.4%以上だと血をサラサラにする薬(OAC)は、患者さんの背景によって検討されるべき、ということや、4年後に心房細動の定義になっている可能性が極めて高いという報告があります。 もちろん5-10%超えならOACは強く推奨されます。 ちなみに0.1%-0.4%でも推奨度は低いものの、OAC内服は患者さんの意見・考え方はもちろん、脳梗塞リスクによって個人個人によって考えてもいい、とされています。

さらに心エコー図検査指標で、心房機能低下がある場合や、左心房の大きさ なども入れて総合的に判断すべきとされています。

当院ではホルター心電図(だけでなく1週間の心電図を見る装置もあります)を、心房細動があるかないか、だけでなく、最新の知見を持って、将来の予測まで見るようにして説明するようにしています。

※上記のブログ内容はあくまで論文を引用しての内容ですが、今後変わっていくことや、ニュアンスで書かれているようにも(ガイドラインという治療の方針ですが)私には感じたため、全てが正解で正義、とは言い切れない部分もあります。

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