香川で、私がバリウム検査をしていて、ポリープがあったので(これもまず問題ない)と思ったものですが、胃カメラをしなければなりません。 そして胃カメラをするとポリープは問題ないのですが、超早期の食道がんが見つかりました。 胃のバリウム検査が、胃カメラに勝る点は、診断という意味では全く勝ち目はありません。 バリウム検査の方がわかりやすい疾患がある、という医師もいると思いますが、現代の胃カメラの技術でそんなことはない、と断言してもいいでしょう。
私は、開業するときに、心臓内科(循環器内科)、消化器内科、糖尿病内科 と 標榜することも考えていました。 昔の医師はなんでも出来たのですが、今はそういう時代ではなくなってきています。 私自身はもともと消化器内科医でしたので、総胆管結石の除去の内視鏡の手技もできます(ステント治療と非常に似てます、といえば、分かる人には分かります) 糖尿病治療においても、妊娠中や小児以外では、専門的な治療をしています(私の糖尿病について書いたの論文が、米国の有名雑誌で紹介されています) 要は、攻めの病院、最終拠点病院で、循環器内科だけでなく、病院で寝泊まりして、救急医療に携わり、すべての内科の主治医となり抗がん剤治療などもしていたから、標榜をまよったことでした。 心臓内科、内科、リハビリテーション科としたのは、やはり、私の特化した、心臓エコー検査(・心臓リハビリ:今は福田心臓・消化器内科で、私が高知市ではじめて外来心臓リハビリをして、現在も月に数回診察に行っています)が、より専門である、ということから標榜しました。
今後は、なんちゃって内科、との差別化を患者さんにしってもらうために、標榜を変えることも考えています。 糖尿病を専門にしているところで、今はだしてはいけない薬をだしていたり、インフルエンザを見逃していたり、腹部エコーが下手くそな技師さんにあたって、チェックをしないところがあるので。 検診で胃のバリウムは絶対に私はうけません。 意味がないし、見逃され、が怖いからです。 大腸のバリウム(実はバリウムではないのですが、同じような検査です)はもうなくなっていることからわかってもらえると思います。
あと、寝ながら胃カメラをしてほしい、という患者さんが時にいます。 セデーション(麻酔薬で寝てもらう)ことは、「自発呼吸が止まること、心臓の動きがとまること」を前提にした検査方法です。 私は、うとうとしてもらいながら検査するのはいいと思いますが、それでも気をつかいます。 「楽だから」というのは、「危険と隣り合わせ」ということを知ってほしいと思います。

私自身、胃カメラは、内視鏡医が入らない、というので変わってくれと、言われて検査をすることもありました。 早期癌の研鑽もいまもしています。 もうそういったことをしていない、専門をうたっている内視鏡をする医師よりも、楽に、見逃しなくすることが出来ると大病院で確信していました(そのときに消化器内科からの紹介をうけ、私が検査をして、確定診断をしていたことなどからの経験です)

私は京都第一赤十字病院や、徳島大学病院、現:四国こどもとおとなの医療センターで勤務していました。 医療センターでは、エコーのチェッカー、心臓リハビリのセンター長を務めていました。 その病院で私しかできない手技がありました。 そういった医師が開業するのです(なかには、違う場合もあります)
実は、最終拠点病院としての位置付けの、医療センターや日赤は、悪くなった人や、早期がんの治療などを診ています。 強い薬や、侵襲的な治療を行うところです。 では町医者は何をしているか。 私は、最終防衛としての機能が大事だと思っています。 大きな病院では同じ科にかかるだけで、心臓なら心臓だけのことしかみないことが多いのです。 開業医(町医者)では、患者さんの全身を診ないといけません。 認知症しかり、血圧、糖尿病、がんの早期発見など、本当に全てです。 それらを見逃さないようにして、疑わしければ、大きな病院の一つの科に紹介するというのが大事です。

サッカーで例えると、ディフェンダー(守りの要)が町医者で、フォワード(攻めの治療)をするのが大病院です。

当院では、多岐にわたる検査を「本当の意味での内科」として、しています。 検査を嫌がる人もいますので、もちろんその方の考え方にそった治療をさせてもらいますが、「こういったことが重要」という話はさせてもらいます。 あとあと、その患者さんが後悔しないためにも。

他院でインフルエンザではない、と、迅速キットで判定された方がこられました。 「普段は38度もでないのに」と。

そう、この時期38度の熱で胸部の聴診で問題なければ10中8,9はインフルエンザを強く疑わなければならないでしょう。

そうされなかったのは、おそらくキットの盲信者、周囲にインフルエンザの方がいなかった、関節痛などがない、などでしょうね。 私自身、2011年の北海道の開業医の先生が論文化するまえから、咽頭所見で見分けはつく、と思っていたので、2016年の論文では、インフルエンザキットは時期などを考えなければ当たる可能性は6-7割。 ただし、血液検査で1週間後に正しく検査したときの、インフルイクラ(咽頭のリンパ濾胞)の所見は95%当たる、という論文もありました。

今まで見慣れてない医師(海外の医師はみないでしょう)や、このことを知らない医師も、インフルエンザの方を、普通の感冒や細菌性咽頭炎として、出してはいけない「ロキソニン」を処方してしまうことが恐ろしい。

正しく咽頭をみるコツもあり、「あー」と声をださせるのはナンセンスで、息を吸ってもらうのが、喉頭蓋が上がるため、解剖学的に見やすい、のと、LEDのライトでみることが大事(これは論文でも明記されています)です。

私は、この所見を15年以上みてきたので(LEDライトでない時期もありましたが)、迅速キットは基本使わないと保険医療が通らない場合があるし、説得力があるので使いますが、必要ない場合もあるほど、この所見は大事です。

今後はさらに日本でも使わない方向になるでしょう。 その理由としては、日本ではウイルス性の感冒に細菌を殺す抗生物質はデメリットが大きいからです。 さらに、耐性化の問題です。 以前私は、一宮地区に住んでいる65歳以上の方の肺炎球菌に対する耐性ができている薬を解析しました。 クラリス、ジスロマック、クラビットです。 裏事情として、今までは製薬会社も抗生物質をたくさん作って来ましたが、血圧の薬のように1ヶ月分が使われることはないので、あまり作りたくないということもあり、現状の薬で、今も未来もやっていかなくてはいかないというのもあります。

さて、クラビットはキノロン系の薬とされています。 この薬は将来的な血管の障害を起こす可能性が示唆されています。 そのため今後はマクロライド系の薬が増えるのではないか、と思います。 クラリスとジスロマックです。 しかし、一宮に住む65歳以上の8割以上は耐性を持ってしまっています。 すでに今まで安易に使われてしまった「ツケ」がここにきて出てきてしまっているのです。 ちなみに、マクロライド系の薬も不整脈死という有名になった報告があり、一時期医師みんなが使用を控えた時期もありましたが、今はそんなことにはなっていないのも不思議の一つです。

今までの文章で、私は抗生剤がウイルス性の感冒に意味がない、とは一言も書いていません。 実は人によっては約1/5000-1/50の確率で肺炎への移行を予防するので、意味がないわけではないのです。 専門家も意味がないとは言い切れないはずです。 ただ、1/5000だとその確率が少ないので、意味がない、という発言をする方もいるかもしれません。

要はメリット・デメリットを考え、抗生剤を投薬するかどうか、内服するかどうかを決めなくてはいけません。 抗生剤絶対に使わないといけない場合もあります。 そういったときに、メリットが大きく、デメリットが小さい薬を選択し、患者さん側としては、忘れずに飲むことでキチンと細菌をやっつけないと耐性ができやすくなってしまいます。

あと最も大事なのは、経過をみることです。 どんなに優秀な専門医でも、その日の発熱(インフルエンザが流行っている今のような時期は別として)で、ウイルス性か細菌性かを見分けるのはかなり難しいはずですし、分かる、という人はおそらくいないでしょう。 そのため私は、抗生剤を出さない処方、また抗生剤をだした場合でも必ず、3日目(4日目という専門医もいる)に、状態が悪くなっていれば再診してもらうように必ず声かけをしています。 このことが一番重要なのではないかと思います。

年齢が若く、合併症がない人には、ウイルスが増殖するのを防ぐ薬をださず、「葛根湯」だけを出す医師もいるそうです。 それなら、病院にいく意味がない人がいますね。 最初から、ホームページや外来に「○歳から○歳で、心臓、肺の病気、また下記などの病気がない方は葛根湯だけの処方となります」と書いておかないと、患者さんはびっくりするんじゃないかな? と思います。

1-1.5日症状をタミフルは短くした、という論文と、タミフルで下痢などの症状がでる確率を検討した結果、個人的な処方、だということにびっくりしました。 その病院内での統一性がないと余計に混乱に陥るのでは?
1.5日症状が短くなるとは相当本人にとっては楽になると思いますが、医療で人を傷つけない、という信念なのでしょうか?
いろんな医師がいますね。