血糖値、遡って1(-2)ヶ月の血糖値の平均値のHbA1cで糖尿病はコントロール、、、は半分当たって、半分は「間違い」です。 言い切れます。
血糖値、HbA1cはどこまで下げたか、より、どうやって下げたか、が重要な場合があるのです。

私は循環器内科を専門としていますが、糖尿病と心臓病について、以前より消化器内科や呼吸器内科などと同時に、糖尿病治療に重きをおいていました。 結果、書く論文が糖尿病関連ばかりになり、海外の有名な糖尿病雑誌に、私の心臓病と糖尿病関連の論文が紹介されるまでになりました。 最近は、米国の糖尿病学会の一派の雑誌のreviewer(論文を査定する)係への依頼がきましたが、仕事をこれ以上増やせないので断りました。
さて、とある患者さんが、当院に来院感冒で、他院で「私は血糖のコントロールがいいから、大丈夫」と言っていました。 確かにHbA1cは6.5%とまずまずですが、、、
薬手帳を見てびっくりしました。 HbA1cが6.7%になったときに、アマリールという、最近は使わないか、つかっても超少量(基本私は使いません)の薬がもともと3mgと多く出ていたのが、1mg増量されて4mgになっていました(低血糖を起こすかもしれない危険な増量です)

※色んな経緯があるので、間違い、ではないのかもしれませんが、高齢者(に限らないと私は思いますが)に上記の処方は危険と思いました。

血糖を上手に下げるコツは、①食事の見直し(栄養指導)、②「適切な」有酸素運動、③下げ方にこだわった薬のチョイス、です。 当院では、①管理栄養士による栄養指導がうけられる、②私が心臓リハビリテーション経験士(県で医師で唯一初めての学会の評議員です)で「適切」な有酸素運動の指導ができる、③勝負(HbA1cを下げる)にもこだわるが、勝ち方(下げ方)にもこだわる知識と経験、統計的などの薬がいいかの自分だけが持っているデータで薬を患者さんと話して選ぶ、ことです。 さらに、糖尿病の方は癌になりやすく、その点も循環器系の学会では初めてといっていいと思いますが、5年間での悪性腫瘍と心臓病の関連を追跡調査した発表を3月にしています。 糖尿病の方は癌に注意が必要です。 こんな当たり前のことが最近注目されています。 10年以上前から専門医は当然のように言っていました。 私もその時代から「女性をみたら妊娠を疑え」のごとく、「糖尿病をみたら、悪性腫瘍に注意」と自分で格言をつくってみました。

なんにせよ、何十年かかっていようが、アマリールという薬が増量された場合、当院に来てみてください。 2次無効といってインスリンが必要で、増量は危険なだけの場合か、違う薬で糖尿病の正しい治療を致します。

とあるご縁で講演会に呼ばれることがあります。 講演会の対象者は65歳以上の高齢者の方々。 中には当院にかかっている患者様もいて、合計50−60名はいたのではないでしょうか(いつも盛況です)?
執筆された本も頂いています。 それにしても内容が難しすぎるのでは? とメモを取りながらスライドを見ていたら、周りの人もメモをとってすごく勉強しています。 なぜなら「分かりやすいから」です。 具体的でもあります。

「日本は以外と住みにくいところと、データがあります。 そのためにちゃんと老後にお金を残しておきましょう、残らない人はこんなパターンで、残すならこういう方法があります」

実際に、医者が説明会を日曜日にしたりすると思いますが、ここまでのことを1時間全然長く感じさせないスライドは初めてだったのです。 スライドを1枚もらいました。
一宮地区の高齢者の方は、この先生の講演が100円で聴ける、という幸せがあります。

「抗生剤のブログ、発表、面白いね。 一宮の人のためになってるよね」と。

また書きます、と、返事させていただきました。

見てくれている人が、色眼鏡で見なければ、やっぱり思いは通じるんだ、と救われました。

もちろん、そこには私の意志があるのですが、ブログは患者様のためのものに最終的になればいい、という考え方が間違ってなかったと言ってもらえたようで嬉しかったです。

風邪は万病の元、とはよくいったもので、私は風邪を見るのが最も難しいと思います。 「風邪」できて、実は髄膜炎だった、実は脾膿瘍だった、実はサイトメガロウイルス感染症で、特殊な治療をしないと死亡してしまう、というのが「風邪」です。 ここまで見て「風邪じゃないじゃないか。 風邪っていうと、ウイルス性感冒、ウイルス性咽頭炎のことでしょう」と反論が来るかもしれませんが、ではまずなぜウイルス性と言い切れるのでしょう? その風邪、細菌性にすでになっているかもしれませんよね? さらに上記の難しい病気も感冒の症状、発熱、関節痛、頭痛、咳を患者さんは訴えてくるわけです。 なので「風邪」は難しい。 私は、いろんな症例、報告(論文)、感染症専門医の話、などから、「まず診断をつける。 次に適切な抗生物質の投与が必要か考え、必要ない理由があれば、投与はしない。 さらに詳細な検査や経過を追った方がいいのかどうかを考える」と思いながら風邪を見ています。 適当にみられていませんか? その処方なら「ルル」飲んで家で寝てた方がまし、という医者にはかかりたくないですよね(実は結構そういう医者っているんですよね、最初から風邪をみないか、見せたら最悪、とかです)? ちゃんと私は答えを話し、その後どうすれば良いかを、風邪以外でも話すことが医師の務めだと思います。 エコーで分かりづらかった脾臓の影を造影剤を利用したCT検査で診断し、最終的には脾臓を摘出までしました。 最初は「風邪をひいた」だったんですね。 もし入院でなく、抗生剤も投与をしていなければ、、、 膿(うみ)が全身にまわって死亡していた症例です。 38.4℃が昨日からですかぁ、じゃあ熱が上がった時にカロナールをだしときます、ではダメですよね。 聞いてみてください、なぜその処方なんですか? って。 抗生剤を出すのがまるで「悪」のように言われているのが最近のトレンドです。 自分で痰を染色できる医者はほとんどいませんし、私は教えてもらって一時期はできましたが、もう忘れましたし、実際の外来ではそんな暇ないのが現状です。 しかし、一度でもできるようになっておけば、想像はできます。 教えてもらうだけなら、その医者よりも上手に見ることはできませんし、説明も下手になります。 説明が上手な医師ほど、名医なのではないでしょうか?
あなたが対峙した医者は、耐性菌ができてしまいますよ、という理由以外の「抗生剤はダメ」の理由が言えるでしょうか?

近い将来、「心不全」という、心臓の機能が悪くなる患者さんが多くなりすぎる、という医療業界だけでなく、今後(今も?)はTVでも発信されるはずの用語です。 心不全は「だんだん」と悪くなる最中に「突然、急変する」病気です。 ステージがあり、微細な心臓の障害を「A」とされますが、このAの段階で治療を開始し、Bに進ませない、のが治療の基本です。 これは知っておいて欲しい知識です。 Bになってしまうと予後、つまり長生きや、入院を繰り返す体になってしまうからです。

さて、私は心エコー検査で、stage A だと思った症例を、違う目で見てらおうと紹介する例があるのですが、中には理由もなく、「問題ないので」と1年後紹介先で経過観察をする、ということがあり、少し困惑したこともあります。 また、「全く問題ないですよ」という返事に対して、このままでは患者さんが(俗っぽい言い方ですが)ヤバいと思い、違う病院で心臓CT検査をしたら、「拡張型心筋症で、原因は(私の紹介どおり)左室緻密化障害です」(実はCTでは診断基準がなく、エコーでするものなのですが、CTの方がよく分かる場合があるのです)
そういった方に投薬をして半年、心機能が改善していました。 これは私にとって、もちろん患者さんにとっても、嬉しいことです。 寿命が伸びた、と言っても過言ではないでしょう。 それにしても、明確な理由を述べて「処方なし」なら良いのですが、明らかにstage Aと分かっていながら、投薬なしで、「悪くなったら投薬開始」、「悪くならなければ、また経過観察」というのは、良くないでしょう。 投薬の結果で良くなるかどうかを、せめて半年後に経過観察すべきです。 「悪くなってから」では遅いからです。
たくさんのそういった症例をみてきました。 心機能が悪くなるには何か原因があるのが普通で、ないならないで、遺伝の因子も考えなくてはいけません。 大きな病院では心臓CTや心臓MRIなどができるので、原因を追求できるのです。 それが「病診連携」だと思います。
実地の重症例などを責任をもって治療したり、外来でも開業医からの僅かな心機能障害の紹介をうけていたものとしては、病院で出来る精査をして投薬で半年後経過観察をして(もしくは紹介元が心エコー専門ならまかせて)、その後は紹介もとのクリニックで経過観察をしていた時代があり、いくら大病院で、熱心に情熱をもって治療していたとしても、原則を教わる時期が終わってしまった、もしくは昔はそうしていた、では、紹介しても患者様に迷惑がかかります。 私が大病院にいたときはは、紹介をうけたら、原因をできるだけ精査して、クリニックに返事を書いて、何かあったら再度紹介してください、とするように常々教えられてきました。 それが、今のクリニックでいきていると思いながら、よくなった患者様をみて、患者様も安心、私も安心している次第です。

私は常々、医者には「センス」と「エッセンス」が大事だと思っています。 外科で「何例経験しましたか?」は、実際はそれほど意味がなく、年間100症例でも50症例でも、「考えながら」「進歩しながら」すると、50症例の医師の方が信頼がおけます。 心臓のカテーテル治療においても、だらだらと100症例ステント治療をしても意味がありません。 75症例くらいでも、「センスを磨きながら」、「コツをつかめば」、300症例したものと同じだと思っています。 さらに重症例を経験したかどうかも大事です。 私は、PCPSを入れ(最近は組み立てれない医師も多いのではないでしょうか?)、とりあえず、心臓がとまりそうでも脳や体の組織に血流がまかなえる状態にできる自信があったので、その後、カテーテル治療をする例もたくさんありました。 また、香川にいましたが、本州のいろんなカテーテル治療のライブを見に行き、「ステント」と呼ばれる血管を拡げる補強材についても、実際は少し、各社によって違いがあるので、それを理解した上で、きちんとステント自体が「ある」ことも確認して治療していました(欠陥品がごく稀ですがありました)

飛び抜けた知識をもつ「心エコー」の知識を持つ医師は各県で数名いると思います(開業医なので、誤解されることもあると思うのですが、私も四国こどもとおとなの医療センターでは、私のエコー(胃カメラのようなエコーもしていました、心臓手術中もしていました)で手術適応が決定され、若い方の心エコーで異常があった場合の治療方針を決定していました。 現在は、大きな病院では、他の医師と相談できないこともあり、紹介することもあるのですが、紹介先で心エコー検査で「異常無し」とされ、それはおかしい、と思い、心臓CTで他院に紹介したところ、私の見立て通り「拡張型心筋症で、左室緻密化障害です」という症例がありました。
心エコーだけする、という医師は、相当な知識が必要ですし、そういった医師もいます。 私自身の私見ですが、緊急のカテーテル治療をして、エコー検査も自身でする、というのがベストではないか、と思う次第です。
ちなみに、急性心筋梗塞の患者様で、スワンガンツ・カテーテルをして、その直後に集中治療室で心エコーをした論文は、私が調べた範囲では、私の論文だけです。
心エコーは「心臓の中の圧を推定」できますが、絶対値はわかりません。 スワンガンツ・カテーテルは「実際の圧」を測定できるので、心エコーの重みが違う、と思う次第です。

生半可な心エコーだけでは(今まで大きな病院で、教えてきた先生の中には、「エコーだけします、カテはしません」という方がいるのも事実で、それも人それぞれだと思いますが、自分は安全圏にいて、手を汚さない頭でっかちな医師になってほしくないな、と思って指導していました)、患者様には不利益になりますし、その方の将来を見越した治療やフォロー(経過観察)が必要と思います。 そのためには、「病診連携」が大事だと思っています。 私自身が、紹介する場合は以前にも書かせていただいたのですが、他人の目で見てもらい、心エコー以外の検査が必要かもしれない、と思う患者様です。 かかりつけ医としては、患者様の希望にもよりますが、心エコーの経過観察は当院で十分だと思っています。