さて先日、NHKの人気情報番組にて、治療方が確立されていない内容を放送したことが、社会的問題になっています。

睡眠導入剤「ベルソムラ」(俗称「デルタパワー」という薬が、糖尿病の治療に有用である、という内容です。

この番組はためになる情報が多く、私個人的にも視聴しておりますが、今回の放送は視聴者や糖尿病で苦しんでいる人に、かなり誤解を与えたとされています。

私見ですが、医療には、「理屈」→「エビデンス」(理屈が検証され、証拠が集まった医療)→「(医師の)経験」だと思っています。

他の医療系番組でも、同様なことが放送されています。一部の人に「有用であった」ということを、誰にでも当てはまるというような報道が問題だと思います。

この番組は信頼性がある(あった)番組なので、非常に残念に思います。

さて、我々医者は、急性期の救急医療では「EBM」といった、証拠に基づいた医療(先ほどのエビデンスが重要とされる医療です)が重要とされています。

また、近年では、慢性期の治療では、「NBM」を重要視した、個人個人にあった医療の比率が高くなってきます。

私自身もEBMを重要視しながら、患者さん個人個人にあったNBMも取り入れた医療をしていきたいと思っています。例えば自宅での暮らしや、ご家族の介護負担、診療が循環器だけに偏ってないか、などです。

ほんの一昔前までは、医師の経験による治療のみがなされていましたが、EBMという考えが一般的になり、近年NBMも重要、という流れになっています。

いち町医者として、気軽に相談できる雰囲気をスタッフ一同作っていきたいと努力してまいります。

※EBM : evidence based medicine

※NBM: Narrative based medicine

 

 

 

 

 

私は、2013年と2015年に、一般書ではなく、また医師に限らず、自分の業績や考えを書いた「自費出版」でもなく、検閲をうけ、認められたれっきとした「医学書」を出版することになりました。

2冊とも「アマゾン」で、心臓部門、心エコー部門でベストセラーを最近でも獲得しています(売り上げ(印税)は、3.11の義援金としています)

 

最近はくだけた題名の医学書(?)が出版されていますが、私の出版した本の名前は「恋する心エコー」という当時は珍しいものでした。私自身、推理小説が好きで、自分でも書いたことがある経験から、小説調にし、高知県の観光要素や恋愛要素なども入れた、まさに世界初の「医学書」だと思います。 http://koieko.com(恋する心エコーへのリンクです)

 

内容は、心エコーだけでなく、医師としての基本的な治療方針や、心臓カテーテル治療、心臓リハビリテーションについても記載しています。

最近、有名な研修病院で、教える立場の医師が、研修医に「循環器内科を研修する前に、『恋する心エコー』を読んでおくように」と言って下さっていることを聞いて、著者として嬉しく思っています。

 

インフルエンザも収束傾向になりつつあります。今年のインフルエンザは、症状が強くでない傾向があるように感じております。

 

さて、海外では、疾患が多くリスク因子が多い人以外では、インフルエンザは検査もしないし、病院にいって治療もしない、ということが常識になっています。 私個人的には、医療保険の問題もあると思いますので、「右向け右」で海外の真似をすることが、正しいとは思っておりません。

 

海外の本(洋書)では、「インフルエンザは咽頭(喉の奥)の所見では判断出来ない」とされています。日本人が書いた特集でもそのように書かれているものも多いのが事実です。

 

私自身は、「どうもインフルエンザの方は、炎症が強いため、火傷をすると皮膚に水泡ができるように、普通の風邪と違い、水泡ができるのでは?」と10年以上前から思い、診察していました。この所見は、インフルエンザの迅速検査キットでもよく当たりますし、総合的にインフルエンザの診断をするときにも役に経ちます。

 

今週になって、熱は37℃、症状は咳だけ、という方がいました。咽頭を診ると、小水泡がありましたので、話し合った結果、インフルエンザの検査をしたところ、A型インフルエンザ陽性でした。あまりにも当たるので、調べたり、海外にいる感染症専門医に相談したところ、「海外ではインフルエンザを診ないので、喉の所見に興味がないので、成書(教科書)にも書けない事情があるのではないか?」「2011年に日本人が、咽頭に水泡があると、インフルエンザの可能性が高い」という報告がある、ということで、私もその論文を拝読しました。ネーミングは俗に「インフルエンザいくら」と呼ばれているそうです。水泡のことを「いくら」と表現しているようです。

 

医師の間でも、ほとんど知られてないことですが、来年あたりからは、海外の影響もあり、有名になってくる所見かもしれませんね。

 

あと余談ですが私は、喉の奥を診る時は、「あー」と言ってもらうより、「口で息を吸って下さい」とした方が、解剖学的に診やすい事実を意識して「インフルエンザいくら」を診るようにしています。

 

医師の診断方法にも、色々あると思います。何が正しいとかはないと思いますが、生涯修業が必要と思いながら治療するように心掛けているので、漠然と治療するのは違う、と確信できる時は、医師として嬉しいものです。

 

※ このような「いくら」が数個、喉の奥に見られる状態とのことです。

先週末は雪が降ったりして、かなり冷え込みました。体調を崩された方も多くおられました。

今年は昨年と違い、多くの花粉が舞うことが予想されているのですが、その寒さの影響で、今週初めからの予定が、今週末にずれ込むことになりそうです。

花粉症で最もつらいと思われる鼻の症状は、鼻づまり(「鼻閉」と言います)ではないでしょうか?

2016年にアレルギー性鼻炎のガイドラインが変更され、鼻閉に関しての、点鼻薬(鼻に「シュッ」とするやつです)の位置付けが変更となり、「ステロイド」入りの点鼻薬が軽症例でも安全性が確認され(2−3歳からでも使用可能)、効果を発揮するようになっています。ステロイドといっても、血液中にはほとんど入っていかないので、鼻粘膜でのみ効果を発揮しますので、ステロイドの副作用はみられないとされています。

飲み薬に関しては、抗ヒスタミン剤も良いものが出てきており、効果が強く症状が強いときには倍量を飲んでも大丈夫なものや、効果も強く眠気が少ないもの(眠気が少ない、と言えるのは、薬の説明書に、パイロットが飲んではいけない、という記載がないものを指します。)や、なかには発売されて間もないので、14日間しか処方できないものもあります。

風邪の鼻汁なのか花粉症なのか迷った時は来院していただくと、私の場合は、問診が最も重要ですが、鼻腔鏡を用いて、鼻の粘膜をみるようにしています。風邪がメインなのか、確実に花粉症だけなのかを判断するようにしています。

人それぞれにあわせて、処方をいたしますので、何か「花粉症」治療について、ご希望がありましたら何でもご相談ください。

今回はいつもより、専門的なこととなりますが、医師、福田大和としての考えや一宮きずなクリニックの在り方についても書いていますので、お読みいただければ幸いです。

 

2月8日に高知市内の循環器内科の先生方を対象とした講演会があり、題目「フレイルとSGLT-2阻害薬の関係」について講演させていただきました。

 

私は言葉の定義は大事と思っており、「フレイル」とは(難しい言葉で言うと)、

『高齢者における、環境因子(身体的、精神心理的、社会的な要因)に対する晩弱性が高まった状態で、老年症候群の一種』

ということになります。

 

簡単に言うと、「将来の寝たきりになりやすさ」と言い換えられると思います。診断の基準には、5つの項目(筋力低下、歩行速度、疲労感、体重減少、身体活動)があり、3項目以上を満たす人が「フレイル」の診断となります。ここに書かれていないことで非常に重要なことは、「フレイル」は可逆性のことがあり、何かしらの介入(治療)で改善することがある、ということです。

 

例えば、筋力は4つの因子で増強することがわかっています。その4つの因子は、成長ホルモン、テストステロン、運動、アミノ酸(蛋白質)の摂取です。年齢や疾患とともに成長ホルモンやテストステロンは減少するので、介入できることとして、「栄養の改善」「適切な運動」ということになります。

ちなみに筋力に関しては、「サルコペニア」という言葉もあり、加齢や疾患により全身の筋肉量が減少すること、と定義されています。 加齢が原因のものは1次性サルコペニアとし、それ以外の原因を2次性としています。

つまり「フレイル」の診断には「サルコペニア」についても、医師は詳しくなければなりません。 サルコペニアについても重要なのは、筋力(握力)、歩行速度です。

 

私はその方の将来を考えた医療をしたい、という思いで、町医者としてできることをしたいと思っています。握力に関しては2011年に、握力と糖尿病の関係について世界初の発表をし、論文にもしています。診察室には握力計があり、時に握力を測ってもらうようにしています。

そして出来るだけ無理のない程度での運動は非常に良い、ということをお話ししています。

また、管理栄養士による栄養指導がうけていただけるようにしており、一宮きずなクリニックでは、「フレイル」に関して介入できる環境を整えています。

どのくらいの運動が良いのか、どのような運動がいいのか、疑問がありましたら、何でもご相談ください。

おこがましいことですが、「人に教える」という行為は、私自身の勉強にもなります。 今回の講演についても何か質問があっても答えられるようにと勉強していきました。そのことはきっと患者様にも還元されるはず、と思っています。