大前提として、心臓リハビリテーション(心リハ)と「サムスカ(日本で作られた利尿剤、一泊入院しないと処方ができない)」は、医学生の教科書さえも変えてしまうほど、良い治療法・薬剤だと思います。

 

しかし、心リハは「包括医療」を謳っていますが、消化器内科医を目指していた私からすると、これからの心リハは「循環器的包括医療」という名前に変えるべきだ、と思っています。

※ちなみに「包括」とは、ひっくるめて一つにまとめること、とされる言葉です。

心リハが包括医療を名乗るのが良くないと思っている理由は、「心臓病にかかる」→「心臓病の治療をする」→「急性期心リハをする」→「慢性期心リハを診療所でする」で、「包括医療をしている」と言えるでしょうか?絶対に言えませんよね。

心臓病を患う前と慢性期心リハをしている最中に、糖尿病の存在、整形外科的疾患の存在、認知症から介護保険を使って介護施設などの利用、そして癌を見つけるための医療ができることが揃う事で、初めて包括医療への道がみえてくると思います。胃カメラや腹部エコーが出来ないなら、診診連携や病診連携を蜜にすることが大事です。

 

心リハのガイドラインにそういったことを載せないと、包括医療も載せてはいけないと思い

ながらも、「がん検診を疎かにしない、専門的循環器医療」をモットーに、胃カメラ、腹部エコーなどをする日々を過ごしています。

 

※ちなみに画像は、心リハ参加中の患者様で私が見つけたごく一部の疾患です。早期発見することが出来ました。「心リハはいいです! 包括です!」だけを謳うことが、いかに危ういかが分かってもらえると思います。

 

 

 

 

3月21日三翠園で、上記研究会の講演会講師を務めさせていただきました。

脂質異常症とは、高脂血症、高コレステロール血症状などをまとめた病名です。具体的には、コレステロールが高いこと、善玉コレステロールが低いこと、そして中性脂肪が高いこと、とされます。

 

10年以上前は、心臓カテーテルをしている恐らく多くの先生方が、中性脂肪にはあまり興味を示さず、悪玉コレステロールを重要視していた時代がありました。しかし潮流は変わってきました。中性脂肪が低いと、悪玉コレステロールが少々高くても、超悪玉コレステロールが低いことなどが分かって来たからです。

私の講演内容は青魚の成分で質のよい脂質、とくにDHA(ドコサヘキサエン酸)成分をとると、細胞がつくる良い「脂質メディエーター」が血管内で炎症(風邪を引いたら喉が腫れるようなものです)や血栓傾向(血の塊ができてしまうこと)を抑制させる。さらに、心臓においては運動中・後の心拍数をさげる。さらに安静時や運動時の自覚症状のない不整脈を認めなくなる、という内容です。

 

これはDHAが自律神経の交感神経を抑制させ、副交感神経を賦活化させる効果だとすでに報告されています。

この私が書いた、心臓リハビリテーション中での効果を示せた論文は今までになく、心機能に問題がある方には福音となる可能性がある論文です。

今まで、日本ではアラキドン酸やEPA(イコサペンタエン酸)は測定出来ても、DHAは保険で測定できませんでしたが、今年中には保険でDHA濃度が測定できる可能性があるようです。

 

※写真 左 公演中の様子です。多くの医師の方が来られていました。

※写真 右 座長(司会役)をしていただいた、もみのき病院の有光先生です。研究会のあと、一緒に食事をさせていただき、脳神経外科のことなどを教えていただきました。

 

 

 

3月も終わりに近づき、飲み会も多くなる時期になってきました。

2次会まで飲んで歌って「さあ、〆のラーメンじゃき」と、半ば恒例行事かの如く、食べてませんか?

 

ラーメンを食べたくなるのには、科学的根拠があります。

まず前提として、肝臓は血糖値が下がると血糖値を上げるために糖を作ります。

これを「糖新生」と呼びます。肝臓病の人が早朝に血糖が低くなるのは、肝臓が夜間就寝時に糖を産生できないためです。アルコール(エタノール)は、肝臓での糖新生を抑制することが証明されています。

 

つまり、飲み過ぎてしばらく経つと、血糖値が下がり、お腹が減るので、炭水化物である「ラーメン」を食べたくなる、という理屈です。

お酒(炭水化物)を飲み過ぎて、一時的に血糖値が上がり、その後、低血糖になり、炭水化物を食べるという悪循環になるわけです。

糖尿病の方は“お酒は土佐の文化”などとコダワリを持たず、少々(一升一升ではなく)にし、肝臓病の方はアルコール自体が肝臓を痛めつけるので禁酒が原則です。

 

つい先日おこなわれた「土佐のおきゃく」は、高知県の活性化のためには良いかもしれません。

しかし「土佐人は酒に強く、返杯は当然」という、自分だけならまだしも、他人の健康までも悪化させる悪い文化は広めて欲しくない、と医療人としては思う次第です。

 

 

 

TVのコマーシャルなどで、サプリメントを購入されている方も多いと思います。

しかし実は名前を変えて、病院で処方できるものを薬局で売っているものもあります。

例えば、小林製薬の「ナイシトール」。痩せる」というニュアンスがコマースされていますが、実は漢方薬の「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさんと読みます)」と全く同じ成分です。基本的には「便秘薬」として処方することも多い漢方薬ですが、近年は漢方薬も科学的な解明が進んでおり、本当に脂肪を少なくする効果が実証されるかもしれません。

 

さて、他にも処方箋がなく買える「薬」があります。

代表格はEPA「エイコサペンタエン酸」とDHA「ドコサヘキサエン酸」ではないでしょうか?

厚生省では、EPAとDHAをあわせて一日あたり1g以上摂取することが推奨されています。 魚を主体に食事をしている人でも1gの摂取は難しいと思います。

EPAやDHAは、サプリメントでも発売されている製剤ですが、混ぜ物が多く、水銀が入っている可能性が否定できず、また値段の割には容量が少なく、保険ももちろん効かないので、非常に高価です。

病院で処方できる「薬」としては、純粋にEPAだけが入っている「エパデール」(1日2回内服する必要があります)、EPAとDHAが両者含まれている「ロトリガ」(1日1回内服)があります。

人間の細胞には膜があり、ほとんどが「アラキドン酸」で構成されているのですが、これらの「食事療法」「サプリメント」「薬」で、細胞の膜の一部が「エイコサペンタエン酸」や「ドコサヘキサエン酸」に置き換わり、細胞内で体に良い物質が産生され、血管内にも炎症を抑えたり、動脈硬化を改善させる効果が期待できます。

 

「エパデール」は日本独自のものなので 、日本だけで使いわけの知識が必要になってきます。

血管の病気が主体の方にはエパデール、血管だけでなく心臓に負担がかかっている方にはロトリガ、が現時点では良いのではないか、と思っています。(このことについては、私自身が「論文」を執筆し、現在「impress」状態であり、また過去のデータからも実証されています:ちなみに「impress」というのは、論文に問題が無く、もうすぐ出版される医学雑誌に掲載される状態のことです)

私自身、この2年間にわたり医師を対象とした講演会を実施させていただいています。 現在の私見ですが、新たに内服されるなら、数多くの論文で「but not EPA」とEPAにはなく、DHAにだけある効果が期待出来る、ロトリガが良いかもしれません(特に製薬会社から言わされている訳ではありません。笑) 現在内服されている方(サプリメントも含め)は、どちらがいいのか、もちろん、エパデールの方がベストであるという方もいますので、気軽に相談していただければ、と思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

アレルギーは体質で基本的には治らないと思った方がいいですが、免疫力が低下したり、ストレスとも関係しますので、中には年をとって免疫力が弱まって治ったり、ストレス改善で一時的に治ったりすることもあります。

 

また近年では、減感作療法(少しずつならしていく治療法、皮膚科や小児科で行います)で治療することもできます。

私自身も小学生の頃から金属アレルギーで、学生の頃医師に、「一生治らないよ」と言われたのですが、現在は治っています。不思議ですね。(受験のストレスだったのでしょうか?)

 

ちなみに、金属アレルギーの原因の一つとして虫歯治療で使用する「銀歯」の可能性があります。

シャツをジーンズに「イン」しても、汗でジーンズのベルトの金属部分がイオン化して、皮膚にアレルギーを起こしてしまいます。

留学中に私の妻が、牛革だけのベルトを開発してプレゼントしてくれたのを、ニューヨークの友人のラボ(研究室)を見学した際に、そこのボスに自慢したら、「君の笑顔は素敵だが、銀歯が原因だからね」と言われてしまいました。笑

 

また私はタバコのアレルギーがあり、タバコを吸っている人が近くにいると、鼻がムズムズして、時にくしゃみをしてしまうことがあります。

医師としては「タバコ、やめてませんね?」と言える特技(?)になっています。笑