かかりつけ医として、通院中の患者様に、どのようにがん検診をされているか聞くことがあります(当然のことと思っています) がん検診そのものを「絶対にしない」という方もおられます。 昔、私が胃のバリウム検査をしていて、胃にポリープがあるな、と思った方に、胃カメラをしたら食道癌がみつかって、胃のポリープは「胃底腺ポリープ」という全く問題ないポリープだった経験から、バリウム検査を勧めることはやめました。 胃カメラで昔つらい思いをされた方が多いのか、どうも一宮地区では胃カメラだけはうけない、という方が多いことも事実です。 開業して1年と1ヶ月が過ぎますが、当初、胃カメラを80例目まで悪性疾患のパーセンテージを調べていましたが、80例中4人が早期の胃がんと食道がんで、お腹を開けずに内視鏡で手術ができ、今も通院されています(腹部エコー検査をいれると、ものすごい人数の方が悪性腫瘍を持っていました)
地域性もあるのかもしれませんが、がん検診をうけることの重要性を感じています。

ちなみに、胃がんが発生しそうなヘリコバクター・ピロリ菌を除菌した後の患者さんで、100人胃カメラすると、1.5人が悪性腫瘍がみつかる、という報告があるので、80人で4人は多い数だと思った次第です。

私は、四国こどもとおとなの医療センターで、心臓血管外科の先生との打ち合わせで、私の心エコー検査(食道から胃カメラのような「飲む」超音波までを含めることもありました)をして、その結果で「手術の適応があるかどうか」を決定していました。 また、手術中・後の異常についても同様に、カテーテル検査室で検査をしたりして、その後の経過を診ていました。 なので、「心臓専門」として開業しているのです。

今は、一町医者ですが、上記のように、通常の心エコー検査をするのですが、手術の適応が近くなったりすれば、心臓外科のある病院に紹介をするタイミングを逸することはありません。

少し勘違いされておられる方もいるかもしれませんが、「手術適応を大きな病院で決定していた」私が心エコー検査ができるのが当院の心臓専門としての大きなメリットです。 逆に当院で手術の適応がない方を大きな病院に紹介して、半年に一回、大きな病院で心エコー検査をする、というのは患者さんの負担にもなりますし、「違う医師の目でみる」ということ以上のメリットはありません。

当院で「私」が心エコーをする場合は、手術適応が近づいてきた、術後の不具合の可能性(大きな病院では、様々な検査ができるので(私自身がしていたことです))などで紹介のタイミングを逸さずに診療しています。

もちろん患者様の意向や、手術をした病院の意向もありますので、上記がすべてではありません。

6月からはいくら診てもらっても咳がとまらない、という方を当院で私が診させていただき、2名、百日咳の方がおられました。 流行りの時期で、典型的な症状だったのですが、すぐに診断ができる疾患ではないので、「後医は名医」のごとく、後から診察した私が診断に関しては有利だったわけですが、少しは疑っても良かったのかな、と思ったことでした。

10月も中旬になり、寒暖の差で、風邪が流行っています。 私は呼吸器科の先輩医師から「内科で最も難しい疾患は、呼吸器の私からすると風邪だ」と聞かされて研鑽していました。 香川の四国こどもとおとなの医療センターでは、救急車でくるような方に対して、髄液をとり、髄膜炎の診断にいたり、治療をしたこともあります。 なかには、「肥厚性硬膜炎」という珍しい疾患を診断し、治療にあたったこともあります。

想像は知識に勝る、という格言があります。 休日はもちろん、平日に、風邪で診療所や病院にかかる人は、相当しんどい思いをしているのだろうと思って治療にあたるのはもちろん、その方が、今後どうなるのか、を予測する治療をしないといけない、と思って治療することが、私たち町医者の使命だと思っています。 これは大きな病院の救急外来などでは、そういう風に考えられないことも事実です。 実際に、夜間救急外来にいき「こんな症状でくるな」という態度をとられた! と怒って当院を来院される患者さんもおられます。 病院の規則や医師の本当の勤務時間でない夜間(実際は診療をしないことになっているが、これを厚労省が認めてしまうと、医療崩壊がますます進むので多くの医師が過労死するわけです)の気持ちも分かります。 ただ、そういう態度をとる医師や、普段でも同じような態度・処方をする医師は、なぜ医師になったのだろう? と不思議に思います。

相手コートにボールを叩き付ける、脳をはじめとする全身の組織に血液を供給する、のはアタッカーである左心室になり、左心室に血液をトスするのが、セッターである右心室ということになります。 右室に血液をくみ上げる、レシーバーの働きをするのが、筋肉の収縮(muscle pump)です。 心臓リハビリテーション(心リハ)で、有酸素運動をすることは、酸素の受け入れを容易にする治療であるため、相手チームのブロッカーを減らすことになります。 Fontan手術でほぼ右心機能がない症例もあります。 しかし、運動療法をしていれば、QOLが高まるという報告があります。 つまり、心リハで、筋トレ(レジスタンス・トレーニング)をすることはmuscle pump をきたえ、セッターがいなくても、アタッカーが打ち易いレシーブを上げることができる、と言い換えることが出来ます。 その他、塩分制限はセッターとアタッカーのシューズを軽くて良いものにする、など色んな表現ができると思います。

心エコー検査と握力で、どれくらいの能力が、アタッカー、セッター、レシーバーにあるかが分かります。

高価な機械がなくても(その機械で超重症例から軽症例までの研修をするという)知識があれば、心リハを実施することは可能です。
私は「四国こどともおとなの医療センター」で立ち上げた「心臓リハビリテーション部門」で高価な機器を購入し、研修をして、さらにその機器は当院関連の、福田心臓・消化器内科にも同様に存在します。 しかし、その機器だけが全てではありません。 前述のように、心エコー検査と握力測定で、どのような運動療法がいいのかが分かるのです。 「当院には最新の心リハの機器があります」と宣伝するような行為は、知識がない証拠だな、と私は思います。

私が、18歳で医学部に入り、サークル活動などはせず、毎日部活のバスケットボールに明け暮れてました。 医学部は6年制で、留年しなければ(結構留年生もいましたが)、普通に24歳で医師免許を取ることが出来ます。 さて、医者は「コードブルー」などのドラマ(観てませんが笑、違うドラマを観たりしてだいたい想像はつきます)とは全く違う世界観です。 医者の本音など出ていません。 実際は3Kの仕事であることを皆さん知りません。 きつい、きたない(感染症に自分がかかる可能性もある)、きびしい の 3Kです。 しかし、私は友人に恵まれ、5年制の夏から、そういった病院で仕事をしないと自分のため、ひいては患者さんのためにならない、と知り、色んな病院の見学に行ってました(当時としては珍しいと思います) 劣悪な環境のもと仕事をして、職人芸を自分のものにする訳です。 たとえば、日直・当直というのは、外来や入院を寝ないで診る、というのが法律なのですが、形骸化しています。 次の日に手術があった場合36時間勤務になり、手術した患者さんの様子を見るため、36時間以上ではすみません。 四国こどもとおとなの医療センターでは、当直が月7回あり、内科の当番、循環器の当番(2日に1回)があり、入院患者さんのために、入浴時も携帯電話を近くにおいてすぐに出られるようにしていました。
大病院で、入院患者さんを受け持たなくなった時点で、医師の緊急時の力量はおちることが多いのが現状です。 もちろん技術はます方も多くいますが、少ないと思います。 急変時の対応ができなくなるからです。
現在、40歳手前で開業する友人や後輩が多いのは、自分の力量がもっともピークな時に開業する、という意味では理にかなっています。 昔は50歳以上や時には60歳近くで開業する場合もあると思いますが、大学病院や救急病院で実績を上げてた人以外の開業は、40歳の開業でも「?」がつきます。 居場所がなくなっての開業の可能性が高いからです。 大病院でしたことのない医療を、突然「専門」にする開業には辟易します。 循環器内科では、「心臓リハビリテーション」でしょうか。 これを専門にするには、他のカテーテル治療や心エコーにも精通しなければいけませんが、開業直前までしていたのかどうか? 非常に不思議に思います。 このブログを読んでいるのは、MR(薬品会社の営業の方)が多いようですが、患者さんも見てくれているようですので、書きますが、少なくとも、私が大病院に勤務しているとしたら、この診療所には「絶対に」循環器の患者さんを送りたくない、というクリニックも、多く存在します。 自戒の念も込めて、昨日も今日も、明日までの連休は、論文(もちろんですが英語です…)を読んで、自分でも書いて、という作業をします。 家族サービスは基本しない、のが、私がみてきた理想の医者である父親の背中だったからです。
遊び回っている医者にろくな医者はいません。