昨今は医療業界においてもコスト意識を持つように大きな病院でも、小さなクリニックでも大事とされています。 しかし、私はそれらのコスト意識(これは患者さんが支払う負担を考える事も入っています)も重要かもしれませんが、医療業界(介護業界)の最終目標は、患者さんの健康、です。 営利を最終目的としていないことです(自費診療でない限り、患者さんが支払う額もきっちりと決まって公平です)。 なので、私は人を採用するにあたって、「慈愛」の心をもった方と一緒に仕事をしたいと思っています。
一般の企業はどうでしょうか? まず対象が患者さんという病気を持った方でない、お客さんが対象であることが違います。 つまり最終目的は営利(俗っぽくいうとお金儲け)なのです。 悪い事ではないと思います。 アフターサービスがいい、仕事がきっちりしている、商品の質がいい、営業の方のサービスがいい、などがあれば、お客さん(私も含め)はそれに見合った金額を支払うことに納得するでしょう。

ではサービスとは何か? 私の私見ですが、ボランティアとスキル(技術)の中間にサービスがあると思います。 サービスにお金が発生する事もあれば、サービス残業のように対価が支払われない事まで、広い範囲の言葉だと思います。
開業して半年強が過ぎました。 私どものクリニックに対して、対価の発生しないサービスを行ってくれる企業もあれば、不必要と思われる、値段が企業の法外とも思われる言い値を要求してくる企業もあります。 「一体、その値段はどこに明記されているのか?」 と聴くと「社内で決まった値段です」「このサービス料金で社の人間がご飯を食べているのです」の一点張りで融通が利かない、ということが、共通する、私の考えとは少しズレがある会社の共通点です(私は高知の狭い範囲でしか活動できませんが、その社会、コミュニティで皆が幸せな生活をおくれたら良い、と思って仕事をしています) とりあえず、私自身は、一顧客として、会社の事情を聴かされてまで、納得のいかない料金を支払うことはしません(ぼったくりバーに渋々料金を支払う感覚は嫌だからです、実際に契約を解除させていいただいた会社もあります) 説明に納得ができる、(サービス〜)スキル に対しては、車を選んで購入するような感覚で、料金を支払います。
私の考えと、方向性にズレがある会社と、ご一緒に仕事をしていては、まわりまわって、患者さんに迷惑がかかります。 この辺りは、自身が責任者となって開業して、学んだ処世術なのかもしれません。 何事も経験ですね。
最後に。 医療では、決まった値段、がキチンとありますが、では、医療側のスキル・サービスはどうでしょう? 我々は、クリニックのコンプラインスの徹底と、私自身のスキル向上を常に目指し、院内の清潔感を職員の服装のことまで、当然ではありますが、「思いやりの心」をもって、仕事をして行きたいと思っています。 もちろん、医療には限界があり、当院で出来る事、出来ない事はきちんと説明をし、納得してもらえるようにしています。

GWはいかがお過ごしでしか?

ゆっくり休めた方も、仕事があった方もおられたと思います。

ちなみに私は後者でした(笑)

現在、医学出版社からの依頼があり、今年から執筆中の「心エコー」の医学書を書いていました。

著書を出されている医師がたまにいますが、多くは自費出版で誰でも出せる自己満足の本ですが、依頼をうけて商業出版となり印税をもらう医師は私の年齢では少ないと思います。これも、よい指導者、環境に恵まれたからだと思っています。

ちなみに私の医学書の印税は今までの2冊も今回も全て震災の義援金にしています。今回の本は恐らく9月頃出版予定ですが、同じく寄付しようと思っています。

(その著書は自費ですか?商業ですか?と聞くのは野暮ですが… なにせ商業出版となると敷居がかなり高いので、書き手である私も相当勉強しないと書けません)

 

さて「心臓内科」と「心療内科」ですが、間違えやすい字面ですね。

私は、(おそらくですが、)父親が20年以上前に「心臓・消化器内科」という標榜(簡単にいうと看板のことです)を日本で初めてしたことに感動しました。当時は、普通は「循環器内科」は何をみるところなの?という疑問に「心臓が専門です」と分かりやすい標榜だったと思います。

その後、一旦高知の行政にたいした理由無く一旦認めたにも関わらず、“前例がないから駄目”と途中で突然言われたのですが、なんと大阪にある国立循環器センターが「心臓内科」を標榜すると、手のひらを返したように高知県でも、“心臓内科は問題なし”となったことに遺憾を覚えます(当時の責任者が誰か分からない、というのは本当に行政の駄目な部分ですね)

 

私自身も、専門は循環器内科というより、より分かりやすく「心臓内科」と標榜したのですが、看板の字が見えづらい事や、「きずなクリニック」と「きずな」いう想いを込めた名前から「心療内科」と勘違いされる方がたくさんおられます。

 

ちなみに、私の専門は、心臓、なのですが消化器内科も専門としています。(循環器学会、消化器学会、内視鏡学会、超音波学会に所属しています)

これは47都道府県で唯一、徳島大学の第二内科(今は臓器別に分かれて一緒にはしていませんが)では、循環器内科と消化器内科が一緒という、もの凄い臨床に強い医局に入った事が自分を成長させてくれました。

 

私は京都で消化器、糖尿病、救急医療、そして循環器を研修後に徳島大学第二内科に入局(今現在は循環器内科になっていますが)し、香川の四国こどもとおとなの医療センターで、循環器に重きをおきつつも、消化器内科を始め、内科一般について修業しました(月に当直が7回あり、全ての研究会、学会(海外含む)で発表や論文執筆と、全く医学以外の時間がない生活をしていました。過労死するかもしれないとは思いませんでしたが、今考えると良かったけども、医師の働き方については問題があるなと感じます)

胃カメラと腹部エコーは医師になってから、留学しているとき以外は、ずっと続けています。

 

目指すところは、年下ですが「すごいヤツが現れた」と思う、野球界の投手と打者の二刀流の「大谷選手」です。投手(循環器)に重きをおき、打者(消化器内科)も一流である、さらに守備(糖尿病治療を含めた内科全般)でもゴールデン・グラブ賞を目指すつもりで現状に満足する事無く、生涯勉強だと思っています。

 

 

 

皆様は帯状疱疹という病気をご存知でしょうか?

 

主には体幹の半分に10cm程度に帯状にポツポツと茶色い発疹が出てくる病気です。症状は発疹に加え、痛みが激しく出る事があります。

 

では何科にかかれば良いでしょうか?

私は内科だと思っています。ここでいう内科に循環器内科は入っていません。皮膚科でも良いのですが、標榜している名ばかりの「内科」ではなく、「がん」を調べる事ができる、「内科」です。

理由は、中年から高齢者で帯状疱疹になるということは、免疫力がおちているということを示しているからです。急に免疫力がおちる原因…我々は「悪性疾患」を考えます。

 

つい先日も、ご自分で「親戚がなった帯状疱疹やと思う」という60歳代の患者様がおられたので、ご説明の上、納得していただき、胃カメラ、大腸がん検診、そして腹部エコーを、帯状疱疹の内服薬を処方しながら施行したところ腎癌がみつかり、すぐに治療開始となりました。

 

開業して、一町医者となり思うのは、「帯状疱疹ですね、薬出しときますね」という「内科」は、とりあえず「内科」という看板をつけただけなんだと思う次第です。

これは自戒の念をこめて、今後も専門である循環器内科以外の修行も続けて行きたいと思います。

専門に特化し、開業するなら、とりあえず「内科」の看板だしてみました、には違和感を覚えます。とくに「専門性を高める」というのは、「内科」ではない気さえします。

 

 

風薫る五月となりました。皆さんお変わりございませんか。

さて、今回は骨粗鬆症(こつそしょうしょう)についてお話します。

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、女性が閉経後になりやすい病気です。

 

診断は、骨密度を測定し、若い方の平均値よりも7割を切っていると骨粗鬆症と診断されます。

治療薬も色々あります。

カルシウムを吸収しやすくするビタミンDや、カルシウムそのもの、女性ホルモンに似た骨を強くする薬、他には、週や月に一回の起床時に多めの水で内服し、食道炎を起こす可能性があるので30分は座った姿勢のままでいる薬などです。

 

当院では、骨密度が測定できます。

骨吸収といって、骨からカルシウムが離れて行くのを抑制する、月一回の点滴製剤もあります。食道炎などの副作用もなく、飲み忘れもありません。

 

なにより良いのは薬を飲んでも、人によって血管内に入って行く濃度が変わってくるのですが、点滴ですので、どんな人にも同じ濃度で投与できるメリットがあります。

 

骨粗鬆症が相当ひどくなると、自分で服を脱ごうとしたときに、骨が折れる、尻もちをついた時に骨が折れて寝たきりになってしまう人もいます。

閉経後の女性は、過信せず、一度診断を受けてみても良いと思います。

 

 

 

ゴールデン・ウイークが待ちどうしい今日この頃です。

皆様、何か予定は立てましたか?

先日4月21日に抗凝固療法について、勉強会の講師を務めさせていただきました。

 

心臓には右と左、心房と心室で分けて4つの部屋があります。

「心房細動」とは、心房という心臓の上の二つの部屋が細動(細かく動く)つまり、震えている状態です。

左心房の内膜の方が右心房より血流がよどみ、血液の塊である血栓が出来やすいとされ、出来た血栓が脳に飛んで行くと脳塞栓(脳梗塞の一種)を発症することがあります。

その可能性を少なくするため、抗凝固薬という種類の薬を内服する必要がでてきます。血液をサラサラにする薬ですので、出血の副作用があります。 最も大事な予防法は血圧を下げておく事です。しかし鼻出血や血尿、皮下出血などの大事に至らない小出血に、なりやすい人を予想することは現在報告がありません。

 

私が調べた範囲では、2012年に蛋白質を摂取した方が心房細動に限らず、出血のリスクが少ない、という報告がありました。

そこで私が論文報告にも名前が入っている、四国で1,000例以上の患者さんを調べた結果を再解析したところ、筋肉量が少ないと小出血が多い、という可能性がでてきました。筋肉が作られるには、アミノ酸(蛋白質)の摂取が必要です。

 

小出血は大出血につながる恐れがあり、医療者も患者様も「心房細動だ」「じゃあこの薬を飲めば大丈夫だろう」だけでなく、適切な血圧のコントロールはもちろん、栄養のこと、運動をして筋肉をつけることが重要になってくるかもしれません。

 

※ここで間違いがあるのですが、なんでも運動、運動がいい訳ではありません。適切な食事・内服薬、心臓の治療などがされていないと、逆効果になります。

私は心臓リハビリテーション学会四国支部の評議員(心臓リハビリテーション指導士でもありますが、この資格は受ければ取得できる、あまり意味のない資格ですので)です。

心臓の専門でもあり、重症例も経験した運動療法の専門医に、どの程度の運動が良いのかを聞くのが最もいい方法です。