男性は「徐々に」、女性は「急に」血圧が上がります。

 

女性は閉経前には、女性ホルモン「エストロゲン」が多く分泌されています。 このエストロゲンは、乳がんや子宮体がんの原因にもなるのですが、血圧を下げ、コレステロールも下げる効果が「もの凄く」あります。

閉経後には、女性ホルモン「エストロゲン」が減少していますので、

「私は、昔は低血圧だったがよ。」という方が、健診や自分自身で血圧を測ると急に上がったような状態になっています。

 

高血圧の治療の基本は減塩を中心とした食事療法ですが、高いままでは、脳出血や様々な臓器に負担がかかりますので、まずは降圧薬で血圧を下げてから、遺伝や年齢で内服が継続して必要な場合もありますが、一時的に内服するだけ、もしくは内服の必要がない場合もあります。

 

運動療法は、十分血圧が下がってからが鉄則です。

 

 

 

 

診察中に聞きたいことの一つに、「飲み出したら一生?」「今の薬は中止できない?」

ということではないでしょうか?

薬は無料ではないし、TV番組や、一般の知識で副作用を心配される方も多くおられます。

 

私の答えは、主に4パターンです。

①  「今は薬はいりません。その代わり、生活習慣をかえたり、血圧を自宅ではかって、

教えてください。」

②  「中止できるかもしれませんが、今は内服した方が良いです。」

③  「減量できるかもしれませんが、完全な中止は危険です。」

④  「絶対に、内服をやめてはいけない薬があります。それ以外の薬は減量したり、中止することも可能です。」

 

患者さまの症状、治療の進み具合によって、患者さまときちんと向き合って説明します。

現在、内服している薬で、「なぜ飲む必要があるのか?」などの疑問があれば、遠慮なく

何でも相談してください。

 

 

さて先日、NHKの人気情報番組にて、治療方が確立されていない内容を放送したことが、社会的問題になっています。

睡眠導入剤「ベルソムラ」(俗称「デルタパワー」という薬が、糖尿病の治療に有用である、という内容です。

この番組はためになる情報が多く、私個人的にも視聴しておりますが、今回の放送は視聴者や糖尿病で苦しんでいる人に、かなり誤解を与えたとされています。

私見ですが、医療には、「理屈」→「エビデンス」(理屈が検証され、証拠が集まった医療)→「(医師の)経験」だと思っています。

他の医療系番組でも、同様なことが放送されています。一部の人に「有用であった」ということを、誰にでも当てはまるというような報道が問題だと思います。

この番組は信頼性がある(あった)番組なので、非常に残念に思います。

さて、我々医者は、急性期の救急医療では「EBM」といった、証拠に基づいた医療(先ほどのエビデンスが重要とされる医療です)が重要とされています。

また、近年では、慢性期の治療では、「NBM」を重要視した、個人個人にあった医療の比率が高くなってきます。

私自身もEBMを重要視しながら、患者さん個人個人にあったNBMも取り入れた医療をしていきたいと思っています。例えば自宅での暮らしや、ご家族の介護負担、診療が循環器だけに偏ってないか、などです。

ほんの一昔前までは、医師の経験による治療のみがなされていましたが、EBMという考えが一般的になり、近年NBMも重要、という流れになっています。

いち町医者として、気軽に相談できる雰囲気をスタッフ一同作っていきたいと努力してまいります。

※EBM : evidence based medicine

※NBM: Narrative based medicine

 

 

 

 

 

私は、2013年と2015年に、一般書ではなく、また医師に限らず、自分の業績や考えを書いた「自費出版」でもなく、検閲をうけ、認められたれっきとした「医学書」を出版することになりました。

2冊とも「アマゾン」で、心臓部門、心エコー部門でベストセラーを最近でも獲得しています(売り上げ(印税)は、3.11の義援金としています)

 

最近はくだけた題名の医学書(?)が出版されていますが、私の出版した本の名前は「恋する心エコー」という当時は珍しいものでした。私自身、推理小説が好きで、自分でも書いたことがある経験から、小説調にし、高知県の観光要素や恋愛要素なども入れた、まさに世界初の「医学書」だと思います。 http://koieko.com(恋する心エコーへのリンクです)

 

内容は、心エコーだけでなく、医師としての基本的な治療方針や、心臓カテーテル治療、心臓リハビリテーションについても記載しています。

最近、有名な研修病院で、教える立場の医師が、研修医に「循環器内科を研修する前に、『恋する心エコー』を読んでおくように」と言って下さっていることを聞いて、著者として嬉しく思っています。

 

インフルエンザも収束傾向になりつつあります。今年のインフルエンザは、症状が強くでない傾向があるように感じております。

 

さて、海外では、疾患が多くリスク因子が多い人以外では、インフルエンザは検査もしないし、病院にいって治療もしない、ということが常識になっています。 私個人的には、医療保険の問題もあると思いますので、「右向け右」で海外の真似をすることが、正しいとは思っておりません。

 

海外の本(洋書)では、「インフルエンザは咽頭(喉の奥)の所見では判断出来ない」とされています。日本人が書いた特集でもそのように書かれているものも多いのが事実です。

 

私自身は、「どうもインフルエンザの方は、炎症が強いため、火傷をすると皮膚に水泡ができるように、普通の風邪と違い、水泡ができるのでは?」と10年以上前から思い、診察していました。この所見は、インフルエンザの迅速検査キットでもよく当たりますし、総合的にインフルエンザの診断をするときにも役に経ちます。

 

今週になって、熱は37℃、症状は咳だけ、という方がいました。咽頭を診ると、小水泡がありましたので、話し合った結果、インフルエンザの検査をしたところ、A型インフルエンザ陽性でした。あまりにも当たるので、調べたり、海外にいる感染症専門医に相談したところ、「海外ではインフルエンザを診ないので、喉の所見に興味がないので、成書(教科書)にも書けない事情があるのではないか?」「2011年に日本人が、咽頭に水泡があると、インフルエンザの可能性が高い」という報告がある、ということで、私もその論文を拝読しました。ネーミングは俗に「インフルエンザいくら」と呼ばれているそうです。水泡のことを「いくら」と表現しているようです。

 

医師の間でも、ほとんど知られてないことですが、来年あたりからは、海外の影響もあり、有名になってくる所見かもしれませんね。

 

あと余談ですが私は、喉の奥を診る時は、「あー」と言ってもらうより、「口で息を吸って下さい」とした方が、解剖学的に診やすい事実を意識して「インフルエンザいくら」を診るようにしています。

 

医師の診断方法にも、色々あると思います。何が正しいとかはないと思いますが、生涯修業が必要と思いながら治療するように心掛けているので、漠然と治療するのは違う、と確信できる時は、医師として嬉しいものです。

 

※ このような「いくら」が数個、喉の奥に見られる状態とのことです。