昨日、金曜日は最新の糖尿病の内服薬の勉強会の講師を務めさせていただきました。
糖尿病の最も新しい内服薬といえば、「尿に糖をだす薬」です。 皆さん「尿に糖がでちゃったら、それこそ糖尿が悪くなるんじゃないか?」と思われるかもしれませんが、「糖尿病」で悪いことは、血中に糖がたくさんあること、です。 そして血中濃度が高いので、そこから作られる尿に糖が混ざるので、「糖尿病」と言う名前になっただけなのです。

さて尿に糖がでると、血糖値が下がります。 今までの血糖値を下げる薬は、何かしらの臓器に負担をかける必要がありました。 しかし尿に糖をだす、というコンセプト(日本人が考えだし、アメリカで承認がおりました)は、どの臓器にも負担をかけることがない、と私は思っています。 血糖値は下がり、脂肪肝がよくなり、や尿酸値、血圧までも低下させます。 有名な雑誌に掲載された論文では心不全になる確率を減らした、と報告されています。 私は糖尿病の患者様には、その人その人に最も適した治療を心掛けていますが、2017年現時点では、絶対にアマリールという薬を自分からは処方しない、肝臓がんなどの悪性疾患について常に念頭におく、患者さんの金銭的なコストも考える、ことを重要視しています。
さて医師は(患者さんも知っておいた方がいい)、新しい薬(SGLT-2阻害薬といいます)の6種類について、それぞれ全く違う薬であることを知っておくべきだと思います。 どれも一緒と考えている医師はいないとは思いますが、まず1つは処方してはいけないと思われる程の副作用、粘膜症状がでる危険な薬剤と言える薬です。 当初、脱水で発疹がでる、と言われていましたが、心不全の治療や救急医療で脱水症に携わっていて、脱水の人が発疹がでたケースに出くわしたことがありません。 疑問に思い、基礎系の論文を読んでいると、6種類のなかの4種類についての皮膚への薬剤の移行性が動物実験で確かめられていました。 発疹は起こすか確率、そしてそこで粘膜障害までも起こす可能性が多いかどうか、です。

スーグラという薬は、皮膚への移行性が高い上に、そこで重大な粘膜症状を引き起こす危険な薬です。 私自身は、紹介されてきた場合のみ、急に薬剤の変更をすることは、患者様の体に負担になることを考え、出来るだけ中止したり、変更することを考えています。 その他の薬剤でいえば、ルセフィという薬は皮膚への移行性が全くない、とされています。 残りの4剤は皮膚への移行性はあっても、重篤な粘膜障害は起こしにくい、とされています(フォシーガという薬は100人以上に使用経験がありますが、副作用はありません。副作用がでそう、という「ちょっとした」訴えに耳をかたむけ早期に中止したり心掛けているらかも知れません) 強さについてなどは、患者様の糖尿病の悪さなどで処方が変わってきます。 しかし、スーグラだけは処方してはいけません。
私はこのSGLT-2阻害薬で2枚の論文と1つの発表を報告しています。 1つ目は、この薬剤を内服しだすと、空腹時の運動が、エネルギー不足に落ち入っており、心臓が悪い人の場合とくに危険な場合がある、というものです。 心臓リハビリテーションをしている医師は当然知っておかなくてはいけません(患者様に行っていただいている運動が間違っている可能性があります)。 2つ目は、SGLT-2阻害薬を内服するにあたり、一日の摂取する総カロリーのうち蛋白摂取率が高い人が、効果がより得られる、というものです。 最後の報告で、現在論文にしようとしているのが、糖尿病学会と老年病学会が、SGLT-2阻害薬で、筋力不足になるかどうか分からない、としていますが、そういうことはない、という報告です。

弱点は、心臓リハビリテーションの運動療法の強度に注意するのが当たり前であること、と、患者さんの負担する金額が高い、ということです。 糖尿病は長く付き合って行かなくてはいけない病気です(なかには5種類内服していた患者様が心臓リハビリテーションを始めて、薬がなくなった例など、薬を内服しなくてもよくなる症例も多々ありますが) 医師は、病気だけを見るのではなく、最善の一手を考えつつ、患者さんと相談し、治療を考えて行くことの重要性をこの薬を通して、より一層考えさせられます。

だいぶ暑くなってきました。 水分は十分に取れているでしょうか?

超音波検査は、人を水の入ったドラム缶のようなものに入っていただいて検査をしていたのが始まりです。
超音波検査はエコー検査とも言い、色々あります。 心臓エコー、腹部エコー、頸動脈エコー、下肢動・静脈エコー、甲状腺エコー、乳房エコーなどです。 最近は、関節リウマチの早期診断は採血検査よりも、関節エコーが有用とされています。

今回は心臓と腹部のエコー検査の違いを述べさせていただきたいと思います。

心エコー検査は、心臓の機能、をみます。 腹部エコーは、肝臓がんや脂肪肝、腎臓結石などの、存在診断をします。

私は腹部エコーから入り、心エコーの門を後からくぐりました。 当時、心エコー検査は一般的に敷居が高く、技師はせず、医師がするもの、というイメージがあったからです。

今から考えると、心エコーの敷居はそんなに高くありません。 なぜなら「癌」が心エコーでは圧倒的に少ないからです。 ある程度の画像を出しておけば、上司の先生などに、その数値や記録した動画、血流速度の波形で、「後から」解釈が可能だからです(つまり一人でする心エコーは、自信のない人は出来ない、という点で敷居は高いかもしれません)

腹部エコーは、簡単に言うと、「癌を探しにいく」エコーです。 見逃しが最も怖い、ということになります。(しかし膵臓がんなどは2ヶ月で発症する、こともあるので、やっかいです。医療に完璧がない、ということの証拠だと思います)

何か怪しい画像があれば、一人でしていても、高次の大きな病院に紹介することが可能です。

現在、医師が心エコーさえもする機会が減ってきています。 理由は医療の分業制です。 技師は外来や心臓カテーテルはできませんが、心エコーはできます。 つまり、医師は医師だけができることをしてくれ、というわけです。
私自身は、医師が必ずする、という環境で経験を積んだので、一宮きずなクリニックではしていませんが、甲状腺エコーで、怪しいものがあれば、自身で細胞診、組織診をすることもしていました。

今後の医師の教育過程において、ますます細分化が進んで行くことを危惧し、「日本心エコー図学会(総会)」の急性心筋梗塞に対する心臓カテーテルと心エコー検査について、の部門でシンポジストに選出していただいた時は、「医師が偏った検査だけをするような病院にしない方が、日本の将来のためになる」と発言しました。

しかし現実は恐らく細分化がどんどん進んで行っていると思います。

どうすれば良いのか? それは敷居を低くすること、だと思います。 そのために、依頼されて書いている「心エコー」「心臓リハビリテーション」の医学書は、誰でも出来るんだ、ということをテーマにしたいと思っています。

今までは「特許取得中」だったのが、5月9日に正式に特許取得の状態になりました。 もちろん医療関係で、「貧血チェッカー」という、病院で採血検査をしなくても、またした後、自分でセルフチェックができる簡易なものです。 この特許について、私の特許に興味を持ってくださった2社の企業が高知まで来てくださり、プレゼンと、契約内容について話し合いをしました。
私の本業はあくまで「医療」なので、企業に販売権をお貸しする、という内容で、2社から1社を選んだ理由は「営業の方の情熱」と「契約内容が分かりやすく、かつ、私個人にとって耳障りの良い事が多かった」と言う事です。
まだ発売には至っていません。 今後、選んだ企業の選択が正しかったかどうか、が分かると思います。
最近の企業の在り方(私自身も企業しており、実はとある会社のCEOなのですが)は、考えさせられる事が多々ありました。 企業との契約で最も私が困るのは、本業に差し支えがでてくること、「口約束だったからこれからはできません」ということで余計な労力が増える事です。 私は他人が企業した会社のために働いているわけではありません。 私の考えに賛同してくれた方と一緒に仕事をしていき、納得したことに関しては、企業が言っていることが正しいと思うことに関しては契約を続けたいと思っています。
素晴らしい企業に出会えた、と思う時もあれば、「あれっ、当初の口約束と違うな」と思うこともあり、そういう煩わしさは、出来れば避けたいものです。 これが耳障りの良いことを聞いて、契約した結果かもしれません。 やはり時代の流れもあり、書面や、くわしく一度「どの範囲で料金が発生するのか」を聞いてなかった私の責任だと思います。
※ちなみに、現在、私が契約している企業には全般に関して非常に満足していますし、非常にクオリティーが高い仕事、コストも抑えてくれていることにも感謝しています。 しかし私がCEOであれば、顧客には絶対に言わない自社の台所事情などの台詞、を聞かされての、契約の途中での新たな金額発生、については疑問を呈さずにはいられません。 とある会社は、「医療機器は持ち主が変わるとメンテナンスをして1日後でも10万円かかります。血縁関係がある場合は発生しません」と突然言ってきました。 これには唖然としたので、契約を解約させていただきました。 この半年強で、私の感覚では、10社あれば、非常に満足のいく仕事をしてくれる会社は1から2社、という感じです。 これには医療機器メーカーは入っていません。 諦めの境地になっています(笑)

昨今は医療業界においてもコスト意識を持つように大きな病院でも、小さなクリニックでも大事とされています。 しかし、私はそれらのコスト意識(これは患者さんが支払う負担を考える事も入っています)も重要かもしれませんが、医療業界(介護業界)の最終目標は、患者さんの健康、です。 営利を最終目的としていないことです(自費診療でない限り、患者さんが支払う額もきっちりと決まって公平です)。 なので、私は人を採用するにあたって、「慈愛」の心をもった方と一緒に仕事をしたいと思っています。
一般の企業はどうでしょうか? まず対象が患者さんという病気を持った方でない、お客さんが対象であることが違います。 つまり最終目的は営利(俗っぽくいうとお金儲け)なのです。 悪い事ではないと思います。 アフターサービスがいい、仕事がきっちりしている、商品の質がいい、営業の方のサービスがいい、などがあれば、お客さん(私も含め)はそれに見合った金額を支払うことに納得するでしょう。

ではサービスとは何か? 私の私見ですが、ボランティアとスキル(技術)の中間にサービスがあると思います。 サービスにお金が発生する事もあれば、サービス残業のように対価が支払われない事まで、広い範囲の言葉だと思います。
開業して半年強が過ぎました。 私どものクリニックに対して、対価の発生しないサービスを行ってくれる企業もあれば、不必要と思われる、値段が企業の法外とも思われる言い値を要求してくる企業もあります。 「一体、その値段はどこに明記されているのか?」 と聴くと「社内で決まった値段です」「このサービス料金で社の人間がご飯を食べているのです」の一点張りで融通が利かない、ということが、共通する、私の考えとは少しズレがある会社の共通点です(私は高知の狭い範囲でしか活動できませんが、その社会、コミュニティで皆が幸せな生活をおくれたら良い、と思って仕事をしています) とりあえず、私自身は、一顧客として、会社の事情を聴かされてまで、納得のいかない料金を支払うことはしません(ぼったくりバーに渋々料金を支払う感覚は嫌だからです、実際に契約を解除させていいただいた会社もあります) 説明に納得ができる、(サービス〜)スキル に対しては、車を選んで購入するような感覚で、料金を支払います。
私の考えと、方向性にズレがある会社と、ご一緒に仕事をしていては、まわりまわって、患者さんに迷惑がかかります。 この辺りは、自身が責任者となって開業して、学んだ処世術なのかもしれません。 何事も経験ですね。
最後に。 医療では、決まった値段、がキチンとありますが、では、医療側のスキル・サービスはどうでしょう? 我々は、クリニックのコンプラインスの徹底と、私自身のスキル向上を常に目指し、院内の清潔感を職員の服装のことまで、当然ではありますが、「思いやりの心」をもって、仕事をして行きたいと思っています。 もちろん、医療には限界があり、当院で出来る事、出来ない事はきちんと説明をし、納得してもらえるようにしています。

GWはいかがお過ごしでしか?

ゆっくり休めた方も、仕事があった方もおられたと思います。

ちなみに私は後者でした(笑)

現在、医学出版社からの依頼があり、今年から執筆中の「心エコー」の医学書を書いていました。

著書を出されている医師がたまにいますが、多くは自費出版で誰でも出せる自己満足の本ですが、依頼をうけて商業出版となり印税をもらう医師は私の年齢では少ないと思います。これも、よい指導者、環境に恵まれたからだと思っています。

ちなみに私の医学書の印税は今までの2冊も今回も全て震災の義援金にしています。今回の本は恐らく9月頃出版予定ですが、同じく寄付しようと思っています。

(その著書は自費ですか?商業ですか?と聞くのは野暮ですが… なにせ商業出版となると敷居がかなり高いので、書き手である私も相当勉強しないと書けません)

 

さて「心臓内科」と「心療内科」ですが、間違えやすい字面ですね。

私は、(おそらくですが、)父親が20年以上前に「心臓・消化器内科」という標榜(簡単にいうと看板のことです)を日本で初めてしたことに感動しました。当時は、普通は「循環器内科」は何をみるところなの?という疑問に「心臓が専門です」と分かりやすい標榜だったと思います。

その後、一旦高知の行政にたいした理由無く一旦認めたにも関わらず、“前例がないから駄目”と途中で突然言われたのですが、なんと大阪にある国立循環器センターが「心臓内科」を標榜すると、手のひらを返したように高知県でも、“心臓内科は問題なし”となったことに遺憾を覚えます(当時の責任者が誰か分からない、というのは本当に行政の駄目な部分ですね)

 

私自身も、専門は循環器内科というより、より分かりやすく「心臓内科」と標榜したのですが、看板の字が見えづらい事や、「きずなクリニック」と「きずな」いう想いを込めた名前から「心療内科」と勘違いされる方がたくさんおられます。

 

ちなみに、私の専門は、心臓、なのですが消化器内科も専門としています。(循環器学会、消化器学会、内視鏡学会、超音波学会に所属しています)

これは47都道府県で唯一、徳島大学の第二内科(今は臓器別に分かれて一緒にはしていませんが)では、循環器内科と消化器内科が一緒という、もの凄い臨床に強い医局に入った事が自分を成長させてくれました。

 

私は京都で消化器、糖尿病、救急医療、そして循環器を研修後に徳島大学第二内科に入局(今現在は循環器内科になっていますが)し、香川の四国こどもとおとなの医療センターで、循環器に重きをおきつつも、消化器内科を始め、内科一般について修業しました(月に当直が7回あり、全ての研究会、学会(海外含む)で発表や論文執筆と、全く医学以外の時間がない生活をしていました。過労死するかもしれないとは思いませんでしたが、今考えると良かったけども、医師の働き方については問題があるなと感じます)

胃カメラと腹部エコーは医師になってから、留学しているとき以外は、ずっと続けています。

 

目指すところは、年下ですが「すごいヤツが現れた」と思う、野球界の投手と打者の二刀流の「大谷選手」です。投手(循環器)に重きをおき、打者(消化器内科)も一流である、さらに守備(糖尿病治療を含めた内科全般)でもゴールデン・グラブ賞を目指すつもりで現状に満足する事無く、生涯勉強だと思っています。