その他の疾患

一番難しい病気は、風邪、でしょう

風邪は万病の元、とはよくいったもので、私は風邪を見るのが最も難しいと思います。 「風邪」できて、実は髄膜炎だった、実は脾膿瘍だった、実はサイトメガロウイルス感染症で、特殊な治療をしないと死亡してしまう、というのが「風邪」です。 ここまで見て「風邪じゃないじゃないか。 風邪っていうと、ウイルス性感冒、ウイルス性咽頭炎のことでしょう」と反論が来るかもしれませんが、ではまずなぜウイルス性と言い切れるのでしょう? その風邪、細菌性にすでになっているかもしれませんよね? さらに上記の難しい病気も感冒の症状、発熱、関節痛、頭痛、咳を患者さんは訴えてくるわけです。 なので「風邪」は難しい。 私は、いろんな症例、報告(論文)、感染症専門医の話、などから、「まず診断をつける。 次に適切な抗生物質の投与が必要か考え、必要ない理由があれば、投与はしない。 さらに詳細な検査や経過を追った方がいいのかどうかを考える」と思いながら風邪を見ています。 適当にみられていませんか? その処方なら「ルル」飲んで家で寝てた方がまし、という医者にはかかりたくないですよね(実は結構そういう医者っているんですよね、最初から風邪をみないか、見せたら最悪、とかです)? ちゃんと私は答えを話し、その後どうすれば良いかを、風邪以外でも話すことが医師の務めだと思います。 エコーで分かりづらかった脾臓の影を造影剤を利用したCT検査で診断し、最終的には脾臓を摘出までしました。 最初は「風邪をひいた」だったんですね。 もし入院でなく、抗生剤も投与をしていなければ、、、 膿(うみ)が全身にまわって死亡していた症例です。 38.4℃が昨日からですかぁ、じゃあ熱が上がった時にカロナールをだしときます、ではダメですよね。 聞いてみてください、なぜその処方なんですか? って。 抗生剤を出すのがまるで「悪」のように言われているのが最近のトレンドです。 自分で痰を染色できる医者はほとんどいませんし、私は教えてもらって一時期はできましたが、もう忘れましたし、実際の外来ではそんな暇ないのが現状です。 しかし、一度でもできるようになっておけば、想像はできます。 教えてもらうだけなら、その医者よりも上手に見ることはできませんし、説明も下手になります。 説明が上手な医師ほど、名医なのではないでしょうか?
あなたが対峙した医者は、耐性菌ができてしまいますよ、という理由以外の「抗生剤はダメ」の理由が言えるでしょうか?