心臓・血管の疾患

hANP(ハンプ)外来投与にて入院するような心不全を予防できたケース

大塚製薬(など)から「エンリスト」という薬が8月下旬に世に出そうです。 すでに海外では200万人の人が内服されているそうです。

昔(今も)、日本ではANPを点滴としてアンジオテンシンIIやアルドステロン、交感神経の興奮という心臓にとってはよくないものを抑制する治療として、心不全の方にはhANPを使用していました。 最近はサムスカという腎臓を痛めにくい利尿剤(これも大塚製薬です)の存在でhANPの利用が減って来ています。 hANPの弱点は何と言っても点滴であること、です。 徳島大学病院時代に2ヶ月もしないうちに入院を繰り返す心臓病の方がいて、入院する、ということ自体が「相当悪くなって来ている」ということもあり、上司の発案のもと外来でhANPを4時間週に2回点滴していました。 すると1年半以上入院がなくなりました。 患者さんにとっては入院するよりは週二回外来に来る方がいい、と思っており感謝されたものです。

「エンリスト」はANPの代わりに、海外で使用される、BNPを経口内服できる薬です。 ANPの方がBNPより治療薬としては優れている点がある、という結果はあるのですが、内服できるのは非常に大きな強みで、多くの心不全の患者さんにとっては恩恵をうけることができる可能性が非常に高いとおもっています。 最近では「コララン」という血圧を下げないで心拍数を下げるという薬もでていますが、あまり高知県内では処方例がないようです。

ただ最近の薬は非常に高い。 これはネックだと思っています。 それ以上の効果はあると思っていますが、薬代のことは非常に重要なことだと思っています。