心臓・血管の疾患

神経調節性低血圧

校長先生の話を真夏の暑い日に、水分補給禁止で、姿勢を崩さず聞け、は「自律神経」が未熟な小学生には拷問です。 さらに、そこで気分が悪くなった、という生徒に根性がたりない、最近の子はゲームばっかりだから、という教師は即刻解雇、というか、昔はそれは正しかったのですが、今の時代はそういう校長先生も教諭もいないと思います。

ずっと同じ姿勢でいると足に血液がたまってしまい、大事な脳に血液がなりなくなり、交感神経が興奮して、ピンチに思った心臓がすごい勢いで血液を拍出しようとします。勢いが強すぎると脳にダメージを与えてはいけない、と頸部(首)にある「圧受容体」が反応して、副交感神経が急激に刺激されます。 そのため血圧が急に下がり、脳に血液がいかず、失神してしまう場合もあります。 状況的に、この病気だな、と思う人はたくさんいます。 ただ転倒したりして、その場の状況を他の人がみてない場合は頭部MRIを取るべきだと思います。もっというなら頸部のMRAも必須です。 その後普通に戻ったとしても、一過性脳虚血発作で、今後脳梗塞になる可能性があるからです。
個人的には、徳島大学病院勤務時代は、「ヘッドアップチルト試験」という、脱水状態にする注射(といってもニトロの注射で、下肢の静脈を開くだけなので、一時的なものですが)をして、40分暗闇の中でたってもらうだけ、の検査なのですが、この検査をする人は、ストレスなどで自律神経が障害されているので、見事に10人6-7人は倒れます。 心電図や酸素飽和度を測定し、転倒しても抱えられる様に2人の医師がそばで待機し、部屋の外から光を調節したり、台座を横にしたり立たせたりする医師が必要、つまり医師が3人必要な検査です。 一時的な心肺停止状態になるので、医師としても本当に焦りますし、心臓マッサージしたり、あらゆる薬剤や蘇生術を行える状況で行うべきです。 最近はしないのかな、と思います。 状況証拠でわかるので。 ただ、この試験は循環器専門医が経験するものであり、最初にした人が、「えっ、入院した時はそんなことが全くかんじられなかったのに!」という人が、先輩医師の「おい、そろそろやぞ」という予言通り、本当に失神を起こすので驚いたものです。
治療法は失神まで起こす人は薬剤投与や訓練法もあるし、ペースメーカーが必要な人も担当ではありませんがいました。
この季節、体の水分が不足しがちで、仕事をずっと同じ姿勢でして、急に立ち上がる、などの行為は結構危ないものです。