特に多いのが僧帽弁という左心房と左心室の間にある弁の「逸脱症」や「接合不全」に伴う痛みです。 ずっと痛いわけではなく、狭心症なども否定されていて、「気のせい」とされることもあるのですが、かなり昔からこの弁膜症と胸痛の関係は言われていました。 私自身は心エコー図検査で僧帽弁だけをみて診断するのではなく、他の3つの弁をみることで診断力が上がる、と思っています。 それは僧帽弁以外に逸脱症がある場合、僧帽弁に異常がある確率が60-80% という報告(論文)が数多くあるからです。 胸痛と最も関係するのは僧帽弁ですが、ただの逆流症では痛みはありません。 弁の接合がうまくいかない場合に生じることがある(ない人の方が多い)ということです。 原因はまだはっきりと決まっておらず、心臓内の力学的な問題、弁同士のぶつかるときに発する問題、ホルモンなどの問題、などがありますが、治療はβ-blockerで心臓が激しく収縮するのを少しだけ優しくする、というのが一つの治療になります。 もちろん原因が分かれば痛みがなくなる人もいるので、様子をみていただく方もいます。

表題の学会が1/30(日曜日)に終わり、私は医師になって初めての発表の賞「座長賞」をいただきました。

こういったことは大変励みになります。 今まで2回大きな学会で40歳未満の若手優秀賞の候補になったのですが、いずれも1/4の確率だったのですが、すり抜けていきました。

当時は8:30から18:40までほぼ11時間webの学会だったので、自宅でスーツを着て座りっぱなしで食事も朝食しかとっていません。 来年は私が大会長をする学会です。

 

デジタル・トランスフォーメイション(DX)や、ビジネスプロセスマネージメント(BPM)は医療には向いていないのか? 効率化をはかり、業務に変革をもたらす、というのに、デジタル化して、PDCA(plan, do, check, act)サイクルを回し続け、どんどん業務(医療行為)を良くしていく、ということです。

医療と効率化はあまり相性が良くない部分があるのは確かです。が、全く相入れないわけではなく、積極的に活用するべき考え方です。

例えば、私はDXを駆使して、開業後、クリニック周囲2.5kmに住んでいる人が気管支炎や膀胱炎になった(plan)ときに、抗生物質を使う(do)のですが、使った抗生剤が効果があったかどうかをcheckし、解析(DX)し(私の手法はプロセス重視というよりデータ重視なのかもしれませんが)、他の地域に住んでいる人との違いがわかり、効果のない抗生剤を使わないようにしました(act)。 これは数年で変わってくるもの、くるはず、ですので、時折抗生剤の効果、キレがよくない場合に解析をして、PDCAサイクルを改善していく、ということをしています。 逆にこれをしない医療ってありなの? と思っています。

他にも糖尿病の薬で本当にコマースされているような効果があるか、世界の人、また日本人でのビッグデータは知っていても、地域性ではどうか不明です。 特に高知県の人でお酒を毎晩飲む人は夕食後の薬を忘れる傾向があることは解析済みです。

その人その人にあった最もいい薬を処方できる、そしてその処方についても講演会を聞くだけの座学ではなく、解析して数値化して、本当に効いているのか? の繰り返しです。 循環器内科、内科全般 を していた私ですが、同時に 現:四国こどもとおとなの医療センターにいたときは、臨床研究部(といっても部長と私だけです)に所属していたので、データの解析ができるのです。 もちろんIT企業に勤めていたわけではないので、DX、BPMを本格的にチームでしていたわけではありません。

ほうれんそう を そうれんほう にして、まず報告するまえに相談、というのもBPMだと私は思ってしています。

実際に20本以上の短編、中編を書いたことのある私からすると、全く似ていない、です。 探偵役が医師なのか、と思ったのですが、はるかに読者が驚く仕掛けを書く推理小説作家の方が難しい。 かわって内科診察はある程度パターン化されてしまっているところがあるからである。 しかし、一点「事実は小説よりも奇なり」という諺のごとく、物凄く診断に苦慮する場合や、知らないと答えが出ない、ということもあるため、引き分け、でしょうか。

患者さんも温湿布が慢性期、慢性的な痛み、にいい、と思っている方が多いかもしれません。 私もそういう存在をしった京都第一日赤の研修医時代は思っていましたが、全くの勘違いでした。 温湿布に患部を温める効果はありません。

唐辛子の成分を、例湿布のメンソールの代わりにのせているだけです。

ちなみに冷湿布にも冷やす効果はなく、どちらの湿布も消炎鎮痛作用のみです。

が、ここで温湿布を私が使わない、勧めない理由。

それは、消炎鎮痛作用が第一世代のメチルサリチル酸などで、インドメタシンなどの第二世代の湿布の消炎鎮痛効果が望めないものが多いからです。

湿布には消炎鎮痛作用を求めるべきです。 なので温湿布を使う意味はあまりありません。