一昔前は、薬をきちんと飲むことを、コンプライアンスが高い、と表現していましたが、近年、アドヒアランスが代わりに使われています。 小難しい定義があるのですが、私は上記(私の造語です)で考えると、アドヒアランスという内服薬の飲み忘れに対する言葉として、わかりやすいと思っています。

患者さんが薬剤を内服することに納得しないと、アドヒアランスは上がりません。 なので、特に命に関わる薬については、投薬時はもちろん、その後も患者さんの疑問点に答えなければなりません。 肝(キモ)は投薬の最初です。 ここを大きく勘違いされておられる医師がいることにびっくりしました。 患者さんや、認知症の方については家族の方に、メリット・デメリットを十分な時間をとって話すことが重要で、ここを人任せにすることは医師としての資質にかけます。 その理由が、忙しいから(?私にはあらゆる意味で理解できません)と言う方(敢えて医師とは言いませんし、言いたくありません)は、本当は忙しくありません、これは医師の裏側の鉄板です。 面倒だからか、理解できてないから喋れない、のどちらか(おそらく後者)、もしくはどちら「も」でしょう。

さて、アドヒアランスを高めるには、アグリーメントを高めるだけではなく、1日2回の薬と1回の薬があれば、同じ効果であれば、1回の方がコンプライアンスが高まり、結果アドヒアランスが高まる、ということです。 ここを理解しないまま、アドヒアランスという言葉だけを使う方が多いのではないでしょうか?

全てを考え抜いて、そのことだけを考える時間を作り、自分なりに他の人にわかりやすく、説明する力が医師には必要だと思っています。 医師は理系の力も必要ですが、実際に職業上は、文系の力も大事なのです。 頑固、なのは時にいいこともありますが、人間味にかける人とは、「話にならない」ということが多々あります。

昨日、「アドヒアランス」の講演会の座長(司会進行役)をさせていただいて、思ったことです。

医療相談などのことについては電話対応をさせていただいているのが現状で、これは患者さんの当然の権利だと思います。

しかし、一日になんども電話をかけてこられ、その内容が医療行為についてではない、雑談であることが多い方が一部おられます。

孤独感、過剰な心配で、かかりつけ医に電話をする行為は、当院の診療に他の患者様には迷惑行為になります。

心配ごと、薬の摂取方法など、必要なことについては対応をさせてもらうのが当然と心得ています。

しかしながら病院、診療所は、電話の相談相手ではありません。 医療とは関係性が薄い電話は控えてくださいますよう、お願い致します。

今年も紙面では認知症を取り上げると聞きました。 認知症になってから、も大事ですが、認知症にならないように、が最も大事ではないでしょうか? とりあえず、認知症になる因子が決まっている、「脳血管性認知症」と「アルコール性認知症」は、予防できます。

高血圧、糖尿病、脂質異常症などにならない、なっても検査も含めて治療をきちんとすることが、脳血管性認知症の予防になります。 ではアルコール性認知症はどうでしょうか? イッキ飲み防止連絡協議会「アルハラ度チェック」のなかには、「上司からの酒は断わってはいけない」「お酒は飲んでいると強くなる」「吐くためのバケツなどが用意されている(ドロメ祭りではついに医師が用意されています)」などがあれば、アルコールハラスメントになります。

つまり高知県は酒文化という県策をかえて、最もお酒を飲まない県をめざすべきです。

医師という職業はかなり特殊で閉鎖的です。 そのため「白い巨塔」などの医療界の暴露話がうけるのでしょう。
ただ言えるのは、医師、医者 は、東京大学医学部を出ていない限り、研究者にならないかぎり、ほとんどが臨床という場で、患者さんと接して働くことになります。 脱サラする、ということは開業医になるようなもので、やはり医者は同じ医療行為を続けることになります。

私自身や他の医師でたまに見かけるのは、執筆業をしたり(幅がかなりあります)、特許をもっていたり(やはり医療に関係するものが多い印象です)します。

ちなみに私の特許は「貧血チェッカー」というもので、結膜をみて、ヘモグロビン値を推測する、というものです。

特許の案は実に医療以外でも20個以上あり、「貧血チェッカー」を「誰か」が世に出してくれれば、次の特許を出そう、と思っています。 1社、誰でもしっている大手の会社から連絡があり、一度売られかけたことがありましたが、社内のプレゼンで最終選考に落ちたそうです。 医師としては、こんなに便利なのだけど、と思う一方で、売る壁は高いな、と思っています。

認知症の6割以上はアルツハイマー型認知症であり、確固たる予防法はなく、閉じこもりはよくない、DHA製剤がいい、などの報告もありますが、どもれエビデンス(医学的根拠)は乏しいのが現状です。

では、予防できる認知症2つとは、「脳血管性認知症」と「アルコール性認知症」です。

高血圧・脂質異常症・糖尿病の「適切な」治療で、脳血管がつまらないようにする、また不整脈で脳梗塞を発症することがあるので、当院のような循環器内科での予防が必要になります。

アルコール性認知症は、男性、女性で一日(毎日飲酒するとして)のアルコール量が一定以上だと脳の萎縮があり、将来的に認知症になることが証明されています。 特定健診だけでなく、普段の診療でそういったことを言われない、それは貴方の将来を見据えてない、「その場しのぎ」の治療を行なっている、ということではないでしょうか?