1年半前から依頼を2冊うけ、御監修やお世話になった先輩、後輩の教えをすり合わせながら、私自身の経験を書き、仕上がりが近そうです。 流行り廃りではなく、2013年、2015年に書いた本(全て、今回も、自己満足の自費出版ではありません、さらに印税は全て義援金にしています)もそうですが、医学の普遍性を書いています。
そして、2013年はおそらく世界初の推理小説調で萌え要素が入り、恋愛ドラマ、高知旅行記をいれた医学書となり、沖縄中部病院という、日本でおそらく最も研修医が過酷な(過労死したことで有名、でも人気)病院の循環器の先生から、教科書代わりに使っている、とおっしゃっていただいて嬉しい限りです。
今回の本もそのようなみんなの役に立てて、被災者の方にも役にたてる本になるように、と思いながら、やはり、世界初の叙述トリック(叙述トリックマニアとしても、おそらくこれが初めての叙述トリックだと思います。編集者から、もはや小説として別に売ったほうがいいのでは?というレベルになってしまい、だいぶ削らなくてはいけませんが)を取り入れて、一気に読めるように工夫してみました。
クリニックに来年の早い時期には置けると思いますので、見に来てください。

高知県でもいよいよ流行ってきたインフルエンザです。 当院は昨年、高知新聞社に寄稿した、咽頭所見も重要視しながら、インフルエンザ迅速判定キットをもちいて診断しています。

インフルエンザ予防のワクチンを打っても、血管内の抗体しかできませんので、感染する口の中などの抗体はできないのです。 つまり、ワクチンを打っても「インフルエンザにかかる可能性は同じ」ということです。 重症化(時には死亡も)しにくくするためにワクチンは存在します。

さて、ワクチンをうつと、熱があまり上がらなかったりして、自分でこれは普通の風邪だろう、と思う人もいるでしょう。 もし持病が高血圧だけだとしても、クリニックにかかってください。 持病が高血圧で、冬の風邪で心不全、は非常に多いのです。

また、市販の薬のなかで、アセトアミノフェンだけの薬はドラッグストアにあまり売っていないため、インフルエンザの時に使用してはいけない薬が多いので、必ず診断を受けたほうが自分のため、また周囲の人のためになります。

この12月から2月末、3月初旬の感冒は、あれっなんだか変だなと思ったら「すぐに」来院をしてください。 インフルエンザで肺炎になると、病院は入院をさせてくれなかったりする場合が多いので、クリニックレベルで早めに治療して、自宅で治療できるようにしないといけません。

偶然、CT検査で異常がみつかることがあります(ちなみに米国では、ほとんど、肺がん検診ではレントゲンではなくCT検査、そして胃の検査でバリウムは使用しません(胃カメラだけです))
そういった病変に関しては、一般的に放射線科では、3ヶ月後に異常(変化)がなければ、そこから6ヶ月後、その後は1年後に問題なければ、その部分に関しては卒業というのが流れです。

また、心エコー検査で異常があったり、肺にダメージが加わる可能性がある薬剤を飲んでいる方、聴診で間質性肺炎(肺胞という呼吸をする場所の中間にある組織の異常)が疑われるとCT検査は必須です(採血検査で主に、KL-6で経過をみます)

間質性肺炎は時に急激な症状が出る場合があるので、聴診がいかに大事かが医師になるとわかります。

心臓の聴診だけでは足りない、ということです。

内科学会でも言われたこともある言葉ですが、測定に慣れてない専門でない医師が測定するべきではない、という報告もありました。 たとえ測ってもその解釈が曖昧になるからです。 正常値は18.4(だいたい20程度)です。 痩せている女性、高齢、腎機能低下、不整脈などで上昇する値ですが、何か心機能障害がある可能性が残されています。 実際に、心エコー検査で悪い、と思った患者さんでBNPが30程度。 知り合いの医師に相談したそうですが、「それくらいなら異常ない。 過剰診療なんじゃないか?」と言われたそうです。 患者さんは混乱します。 そこで再度当院に来院した時に、このままでは、心不全に10年後(患者さんは20歳代でした)以降なってしまうので、私がだした薬を必ず内服してください。 男性に関しては生死には影響ありませんと、はっきり言いました、その医師の見立ては責任もないし、心エコー検査もおそらく精通していないので。おそらく患者さんを安心させたい一心だったと思いますが、間違いで、本当にその患者さんのことを思えば安易な発言などするべきではないでしょう(大きな病院の先生でした) その上で、大病院の信用できる医師に紹介をして、私と同意見でした。 投薬により、心機能は改善し、BNP値も5.9未満と明らかに改善しました。
一般内科や循環器科でも詳しくなければ、救急の時以外では測られない方がいい可能性が示唆されています。 逆に心エコーを専門とする我々専門医は測定をして、原因を突き止めて、時には「この値だと正常です」や、「半年後に経過をみましょう」と言えるのです。
あと、NT-pro BNPという値を測るクリニックがあります。 海外ではANPが治療に使われず、BNPが治療に使われていた(腎障害をANPと違って起こすのでもう使われてないと思います)経緯から、BNPを測定しても、投与しているので意味がないので、NT-pro BNPという値を測るようになったのです。 これは簡易型のキットで測定ができますが、相当なれてないとその値は、直線的に上がるものではなく、また経験値もすくないはずなので、測られるべき医師は限られてきます。
私自身はBNPがわかりやすいと思っています(2018年現在) BNPとの換算表もあるのですが、同じ患者さんを見ていくには、BNPがいいと思うからです。
当院では15分でBNPが測定できます。

どの項目で引っかかったか、も重要ですが、基本は、心臓超音波が基本の検査となります。

例えば心電図や問診票で引っかかったとしても、超音波検査。 次に重要なのは、24時間心電図と運動負荷心電図です。

心臓超音波検査では生まれつきの心疾患があるかないか、24時間心電図では不整脈がないかどうかをみます。 運動負荷心電図では、例えばQT延長症候群の主な3パターンを分けるのに有用ですが、実際には3パターンを分けるには1ヶ月弱かかる遺伝子検査を行うのですが、家族歴が濃い場合や、24時間心電図で危ない波形が出ない場合は推奨はされていませんので、実際のところは、「これらの薬は飲まないで」「人と競う運動は中止してください」「飛び込みや潜水はやめてください」「めざまし時計をうるさいものにしないでください」という指導になることになります。
ただし、経過の観察は重要です。
全く問題がない、という期外収縮という不整脈だとしても、小学校1年生、中学校1年生、高校1年生でひっかれば、20歳までは1年毎に様子をみた方がいいと思っています。 自律神経で発生していた不整脈ならその頃から消失するでしょうし、突然死の確率も統計的に減るからです。