聴診は内科の基本と医師になるときに考え、開業する時に備えて勉強し、開業後も「音響学」などを勉強して、執筆した本に「心音」だけでなく、「肺の雑音」がなぜ起こるか、とその分かり易い例えを考えていました。
循環器内科は内科の中では特殊で、所謂「一般内科」を見る傾向が少ないのが現状です。 例えば、肺炎と心不全は合併し易いのですが、「心不全ではない、肺炎だろうから内科医に」と言った発言をする大病院の先生と一緒に働いた経験もあります。 循環器内科兼内科医として働いていた私は、当直医からは呼び易い医師だったと思います。「どっちも私が診させて頂きます」で経験を積んできました。
さて、心音を聴いて、超音波検査を推測する会があり、何度も参加させていただき、凄い!と思ったものですが、ややマイナーな感じの疾患も多い、と感じることもあります。 ただ毎回基本ばかりでは飽きられてしまうので恐らく複雑な疾患も取り入れているのだろうと思います(裏方に参加する機会を頂いたことがあり、そこが最も勉強になりました) ただ、この会では、心不全の時に絶対に聴こえるはずの、肺の雑音で、心不全の重症度を判定することはレクチャーされていないと思います(最近参加できてないので詳細は不明ですが)
また、私は心音を聴いて、その所見をもってして、心臓の超音波検査のレポートを作製しています。 これは非常に大事なことです。 教科書には書かれていません。 恩師に教わったことです。
さて、医師の診察行為で、目のしたの部分を「アッカンベー」をさせて、「貧血」をみる行為がありますが、海外の有名な成書(教科書)でも、明確な診断方法は、よっぽどの重症でないと分からない、と書かれていて、それをみた(?)日本の偉い医師も同じようなことを書いています。 私は疑問に思い、何百人も連続して、貧血の度合いを推測する「特許」を取得しています。 この医療行為を初めとして、私もやや「儀式的」にしている医療行為があることは否めないと思います。 折角診てもらうなら、心音だけでなく、肺の音、貧血の推移などを検査なしで推測する技術で、診てもらうことが非常に大事だと思います。

大分寒くなり、血圧手帳を持ってきてくれる患者さんの手帳を一緒に見ながら「少し高くなってきました」「そうですね。 夏の頃と比べたら10くらいは上がってきてますね」という話をしています。
血圧の測定方法は、二の腕で、座って測定。 私は平均を取る必要はないのと思っているので(学会の推奨は2回の平均、だけども面倒だと思いませんか?)、2回目が低くなることが多いため、低い方をメモするようにお伝えしています。 1回目は測り方や緊張でかなり高い値がでることが多いのも平均をとらなくていい、と言っている理由です。 そして、朝食前が基本です。 何かを口にしてからだと。腸の方に血液がいってしまい、筋肉に血液がいかないのと、副交感神経が興奮して、高いはずの血圧が低く出てしまうからです。 最後に1日2回測るなら、夜、寝る前、ですね。 3回なら昼いつでも、という感じです。 よくあるのが、「血圧どうですか?」「ええ、自宅では130前後ですよ」という患者様に、「朝食後ではないですか?」と聞くと、「ええ、朝食前は忙しいので、何か問題でも?」という方もおられます。 基本は朝食前です。 そこを医者は知りたがっています。

さて、デパートにも冬物が並んでいます。 夏用の服はもうならべられていませんね。 血圧の薬も、私は「夏の時の少ない量」と、血圧が上がる「冬用の、服を一枚羽織ったように、半錠か1錠加える、多い量」を使い分けてます。 春には夏用の薬に戻して行くつもりですが、上記のように、「今現在、血圧が上昇中の患者様は、これからさらに寒くなって血圧が上がるので、1ヶ月後に再診してもらうときに140を超えないように、先手をうって、半錠だけでも内服薬を増やすことを説明しています。
一度増やすと、どんどん増えていく、患者さんが懸念されているのは、その点だと思います。 確かに、年齢や遺伝、環境因子で、春や夏にも薬の用量が増えていく人も中にはいますが、大半はもとの薬に戻せます。 私自身は、減塩食にして、出来れば栄養指導を毎年うけてもらい(毎年受けると、薬が増えにくい報告があります)、春にもどして、来年の夏には血圧の薬をさらに減量できるようにするつもりで診療に当たっています。 ただ、環境を変えても、年齢とともに血圧は上がること、遺伝の力には勝てないことから、完全な中止は難しいのも事実です。 突然、血圧が下がって、脈拍が速くなった人、それはひょっとすると、心臓の機能が落ちているかもしれません。 心臓の超音波検査、心電図検査を受けてください!

当院ではからなず、動脈をみて動脈硬化や動脈瘤をみています。 膀胱もみて、検診を受けている方で「問題ない」と言われている方の膀胱癌を見つけたこともあります。
検診のガイドラインでは、そういったところをみることが推奨されていません。 なぜか?
私なりの考えですが、動脈硬化を見る技術がない、また動脈は長いので、流れ作業のように行う検診では時間的にみない。 膀胱癌の半分はポリープの形をとらないので、エコーでわからないことがあり、「問題なし」と言えないから。 だと思います。 全身見ることが売りの検診。 漏れがない、と患者さんは思っていることが恐ろしい。
あとは、先進国で胃のバリウム検査をしているのは日本だけ。 超一流の放射線科医がみて、「あれ、へんだな?」と思うものを胃カメラでみると全く問題ない、といった場合や、私も以前はしていましたが、胃にポリープがある、ので、胃カメラをしたら、早期の食道癌がありました。 ちなみに胃のポリープは基底腺ポリープといって問題ないものなのですが(だいたい見た目で分かります)、検診で見つかったものは、組織をとる決まりになっているので、二重に無駄だし、ポリープがなければ、食道癌がわからなかった恐ろしさ。 それ以降私は、胃のバリウム検査をすることをやめました。 あれは意味がない。 検査技師学会などが、職をうしなわないため、と、胃カメラをする人物がたりない、胃カメラの方が時間がかかる、などが原因でしょうか。
国民の健康を考えると、「安く」検診で胃カメラをするべきですね。 ピロリ菌を除菌した方や、胃の症状がある方は、わざわざ検診でバリウムや胃カメラをする必要は全くありません、無駄です。 かかりつけ医で胃カメラをしてもらってください。 組織もとれますし、心臓のことなど詳しくわかっているので、検査の前にする処置で間違いが起こりません。 とりあえず、国会議員で「胃のバリウム検査は反対」法案をだす人は、、、いないでしょうね。 放射線技師学会から総スカンをくらうでしょうから。 ただ、そういった忖度をするのがいけないのではないでしょうか? 残しておいても良いけども、「胃カメラに負ける検査」という位置付けを、早急にしないと、俗っぽい言い方ですが「ヤバイ」ですね。 胃カメラを数千件した医師(私もそうです)をかかりつけ医にするべきです。

私は、①内科医、オールラウンダーとして、循環器内科だけでなく、消化器内科、糖尿病内科なども、大きな病院よりも、勉強して最新かつ、情報の吟味をして、腕を磨いて、私が年齢が上がっても、ますます治療の腕は毎年上がるように、情報発信型の医師になること(「スーグラ」と言う糖尿病の薬を「毒」と言ったのは、高知県(全国でも?)私が初めてか、毒と表現したのは全国で一人かもしれません)、②一宮地域の患者様の治療における注意点を把握すること(地域密着、とは耳障りの良い言葉で、具体的な案もないのに、掲げている診療所が目立つように感じます)です。例えば、気管支炎や肺炎は最悪の状況を考えて出来るだけ痰を調べてどのような薬が効かないのかを調べておくと、月日が経って2度目の診察の時に非常に優位な治療が出来ます。膀胱炎も同様です。また、地域の糖尿病の治療が昔ながらであることが少なくないことを把握し、血糖値を下げるだけの治療をしないことを心掛けています。③循環器内科で、これだけは町医者だけども、大きな病院と遜色ない治療・診断をする、もしくは高知では私がイニシアティブをとる(心臓リハビリテーションなど)の専門性を高めることを心掛けています。④最後に、人情味の溢れる、人格をもった医師を目指しています。これにはまだまだ修行が必要だと感じています。
さて、当院かかりつけの方が、仕事で街の病院で、風邪を引いて抗生剤を10日前に出されていましたが、全然良くならず、当院に来られました。 気管支炎を起こしていました。 抗生剤を処方されていたことに関しては、とくに問題はないと思いますが、実はこの患者様、今年の1月に気管支炎になっており、痰の中のバイ菌で、「効かない薬」があることが当院では把握できていました。出されていた処方は、全く効かない薬でした。なので当院では「効く」と分かっている処方が出来る訳です。 これは一つの地域密着型の優位性なのです。 後から診たから治し易かった、訳ではありません。根拠があるからです。
開業して思うのは、一宮地域では、ある種の抗生剤がご高齢の方ではほとんど効かない、のに出されていることが多く感じます。 これは多くの痰の性状をみて感じていることです。 また、糖尿病の治療に関しては、色んな経緯があるかも知れないのですが、漠然と、古い、もう処方はしない方がいい、とされている薬がだされていること、医師が怖がって、中途半端な容量の薬をだして、副作用の可能性だけが高まり、治療になってないことが分かってきました。 もちろん全ての医療基幹でそういう訳ではないことを明記させて頂きます。 多くの医療機関はそういったことはないのですが、「自分の身内は絶対にそのクリニック、病院いはかからせない」と、一患者(私が医師なので余計に)として思うクリニック、病院があることが心配です。
大きな病院でも、医師がちょくちょく変わったり、①を目指してないサラリーをもらうだけの勤務医、かかりつけ医(?)の存在、②を具体的な目標やビジョンもないのに「地域密着」とはいかに?という医療機関、③で医療機関の名前には「○○科専門」とかかれていますが、エコーが苦手(循環器的な見方をプラス出来てない)なような場合もあります。
町医者こそ、大きな病院の医師よりも優れていなくてはいけない、と思って医療に取り組んでいます。

大晦日の「笑ってはいけない」シリーズ。 非常に面白いと思います。 ただ、医師としては数年前に「笑えない」作品がありました。
山崎邦正さんが、恐らく「大腸憩室炎」から腸が破れ「腹膜炎」になった状態で、収録をおこなわされていたことです。 食事をとる訳にもいかず、点滴のみで栄養と水分をとって、絶対安静の状態で腸に血流をいかせないと、敗血症で死に至ることもありえます。 プロ根性で邦正さんは、それすらも「笑い」にかえていたようですが(周囲は病気の重大さを分かっていないか、分かっていたら罪は重いと思います)、私からすれば、それはプロ根性というよりも自殺行為です。

だいたい、腸が穿孔(破れる)する場所は決まっていて、ほとんどが十二指腸が潰瘍になって穿孔して腹膜炎になって、開腹手術が必要になります。 救急外来をしていて、お腹を痛がる人や、お腹を硬く触れる人のレントゲンで「free aer」という、見えてはいけない腸の外のガス、が映れば、主に、十二指腸潰瘍の穿孔、大腸憩室炎の穿孔、大腸がんの部分で圧が高まり穿孔、の3つを疑います。 一流のCT読影術を持っていれば、どの部分か、さらに造影剤を使用すれば、腸の壊死があるかどうかも分かります。 これらの腹膜炎で、いくら症状が軽くても外来でみていく、ということをしたことがありません。 入院することで、本人の「病気の重大さ、危険さ」を知ってもらうこと、「入院すると安静を余儀なくされるので、動いて筋肉に血液がいく必要がなくなり、腸に栄養・お薬がまわるから」です。 さらに、食事の管理(当初は絶食)なども徹底でき、最悪、死亡の確率をグンと下げることが出来ます。 医療は確率の技術です。 少しでも良い選択を患者様に施す、促すことが重要だと私は考えます。 もちろん、その方の意向もありますので、ラッキーなことに、十二指腸潰瘍が偶然見つかったりした場合には、生活の見直しも含めて入院治療が原則です。 胃潰瘍は外来でも治せますが、十二指腸潰瘍は出来れば入院が望ましい。 その理由は胃の粘膜は1cmありますが、十二指腸は「モツ」を食べたことがある方はわかると思いますが、非常に薄いからです。 それでも「入院以外で治療したい」ということを言ってくだされば、それにそった治療を行います。 その方の仕事などもあると思います、必ず私は確率の話をした上で、入院できるかどうかを、聞いています。 「入院した方が良いかどうか」を聞かれれば、医療は確率論ですから、「入院が望ましい」と言う訳です。