日本でも研修病院で有名な「亀田総合病院」が、地域の抗生剤の効果について報告をしていました。

私も開業して1年が経ちますので、「勉強しています」「研鑽しています」というだけでなく、実際に患者さんの役にたつことを統計解析してみました。
すると、当院から上記の範囲に住んでいる65歳以上の方は、気管支肺炎のときにクラビット、オゼックス、クラリスは9割以上効果が望めません。 知っておいて損はない情報だと思います。 膀胱炎に関しても、クラビット、オゼックスは6−7割効果がありません。 耐性化ができてしまっているからです。
ジェニナック、グレースビット、オグサワ(サワシリンとオーグメンチンの半錠ずつを1錠としたもの)などのペニシリン系は全く耐性がないことも不思議です。

私は「研鑽します」というのは、学会や研究会で聴講するだけではないと思っています。 「情報発信型」であることが、最も研鑽している証拠だと思っています。

研究会にて私がお呼びさせていただいた森沢先生から、貴重な講演をしていただきました。 急性期から回復期へ、さらに在宅での心臓リハビリテーション(心リハ)の在り方、実践方法を、最新の知見とともに教えていただきました。
講演後、「基本は急性期で良いのでしょうか?」とお聞きしたところ、やはり基本は急性期のようです。
私は、全くの心リハ素人が1週間から2週間の見学で、心リハをしてはダメだと思っていますし、その点をお聞きしたら、心リハ学会でも問題視して、簡単に専門として開業はさせない方向のようです。
さらに、今、心リハの中心を担っているのは間違い無く「理学療法士」の方です。 我々医師ではありません。 医師といっても循環器の専門家です。 癌がもっとも少ない科です。 癌治療にほぼ関わらない理学療法士が中心となり、癌に無関心な医師がバックに控えている、この状態はかなり危険です。 心リハチームには、「癌検査はできているのか?」と言える人が必要だと思っています。 それは医師でないとムリでしょう。 なので、まだまだ心リハ専門で癌検査も考えた医師、はまだまだ流行ってないようです。 私はそのことを流行らせたい。

明日、私が世話人をして座長をする、高知の心臓リハビリテーションの研究会があります。
私自身も発表をします。 その発表の内容は、「心臓病が生まれて初めて患った方は、4−5年後に20%の確率で癌が見つかる」という、世界初の発表です。 もちろん、きちんとがん健診・検査をしていることが前提です。

何が言いたいかというと、ほとんどの循環器内科医は「がん治療」や「がん検査」を経験したことがないので、心臓病をみる観点からしかものが言えないことが多いのです。 多くの報告が、心臓リハビリテーション(心リハ)を行うと、心臓病の再発が少なくなる、というものです。 「運動はがんを減らす」という報告がありますが、これは健康な人での報告です。 心臓病の方は糖尿病の気があるので、癌になる確率が高いのです。 心臓リハビリテーションをすれば癌の確率がへる「かも」しれない、という根拠のないことが言われることがありますが、証明されたことは今までありません。

そして実際に心リハを行って、体力がついても、癌になる確率は変わりません。 心臓病を患うと、どうしても患者さんは心臓のことだけを考えてしまいます。 その気持ちも十分わかります。 しかしこの発表、論文を読んだ方が、少しでも、心臓以外のことを考えてくれると、世の中も変わるかもしれません。

聴診器で心音を聞くのが最も大事です。 0歳児なども昔診に行っているときは、股関節もみていました。

それに加えて、耳腔鏡を使い、鼓膜や、外耳炎がないかどうかもみています。

聴診器も小児用を使い、見逃しがないようにしています。

100人診ると、1人は異常心音が聴かれることがある、と思っています。

その子供さんは心エコーをして、異常がない心音、かどうかを診ることにしています。

実際に、「心雑音がある」という紹介があり、「15歳まで言われ続け、音の正体は分からない」という方もおられましたが、その心雑音は、スティル雑音という、無害な雑音であり、年齢とともに聴こえなくなるので安心してください、と言うこともできました。

患者さんは病気を治すために病院にくるだけではなく、「安心」するためにくることも多いことが事実です。 「分からない」ということも、もちろん私も、誰しもがあると思いますが、その時は、その道の専門家に紹介できるかどうか、が最も大事だと思います。 患者さんの精神面も考える必要があると思いながら、日々の診療を心がけています。

私自身は、急患で急性心筋梗塞を自分一人の責任で治療していたので、その経験から、開業し、特殊な薬を使うことは控えています。 そういったことは大きな病院で、カテーテル治療をする医師が必要と思えばするだろうし(私もしていました)、その後は、今の私の立場のような開業医に任せる、ということをしていました。

つまり、同じ医師でも、勤めている病院、現在の立場、実際に研究だけでなく臨床で集中治療室に篭っているのかどうか、などで、意識が変わるのは当然のことと言えるでしょう。

私個人は、四国こどもとおとなの医療センターで、「手術適応」や、手術中のエコー検査もして、再手術をその場でするかどうかの判断も外科医と相談して決定していました。 なので、専門の心エコー検査をして大きな病院に紹介するときは、「違った目でみてもらって、どう診断が変わるか、変わらないか」のための紹介がメインです、それ以外は自分自身で適切な診断ができるからです。 大きな病院では、たくさんの医師が一人の患者さんを見る機会が多いことを知っているからです。 しかし最近、心エコーは大きな病院でも技師さんがとることが多く、医師はその結果だけを見ることがおおくなっている印象です。 以前より危惧し、心エコー図学会のシンポジストとして、「最近は医師は、医師だけができる仕事、外来、心カテ、だけをするように病院から言い渡されているので、心エコーの判断ができない医師が今後増えてくる可能性が高い」と発言しました。

香川の医療センターで気をつけていたことは、開業医の先生が、普段見ていて、色んな経緯があって処方をしていることは当然のことなので「この処方は意味がありませんね」とはとても言えません。 自分自身が町医者として、「意味のない処方」などしないからです。 もし、処方内容が大きな病院の検査で違う処方がいいと思えば、そのことを詳しく患者さんに話し、開業医の先生にも、理由を説明していました。 これは患者さんにとって、「診療所、大病院で言っていることが違う」となると医療不信になるので、いいことは全くありません。

患者様も、大きな病院では言いにくいこともあると思います。 なので私ども町医者に相談してください。 分かる範囲で説明をさせていただきます。