当院では、一宮地域での診療所では恐らくですが唯一予約制を導入しています。 これは予約している方を優先的に診させていただく、ということで、「完全」予約制ではありません(歯医者さんなどでは「完全」予約制のところが多いですよね。また大きな病院も「完全」予約制以外は恐らくない、と思います)
ただ、緊急性があったりする場合もあるので、予約にはある程度余裕をもたせているようにして、緊急性がない方でも、予約外の方を先に診させていただくこともあります。
私は予約制にしたのには理由があり、予約した人は時間がある程度予測できる、当院では専門的な検査があるので予約をしてないとそういった検査を受ける方が大変なことになる、患者様の1年の計をもって治療にあたるとなると予約制が適している、ということです。 他にもメリットがたくさんありますが、上記が主な理由です。
ただ、お仕事の都合などで、どうしても予約ができない、という方もおられますので、お薬がなくなる前に予約を電話でとりなおしてもらうか、予約なしできてもらうようにご説明させていただいています。 予約の方の間にそういった方をみさせていただくようにしています。
一点、午前・午後の一番早い時間に予約の方よりも早く来院された方については、「早い時間が予約で埋まっていた」ということもありますので、検査がない場合などは予約の方より早く診させていただくように心がけています。 この場合に検査がその方にあったりする場合は、検査に要する時間などもありますので、時間の前後があることをご了承いただけると幸いです。

今年はいろんな事情でワクチンが少なく、かかっているクリニックでうてない、という人がいます。 私はある程度この事情が予想できたので、ワクチンを昨年より多く「一宮きずなクリニック」に納入していました。 多くのクリニックでも予想できていても納入できなかった、というのが実際のところだと思います。 私自身はかなり早い段階で納入の契約をしていたので、他院でうてなかった方が当院ならうてる、という情報をえた方が多く来院され、また当院にかかっている患者様の分も確保することができています。 ただ、先週土曜日からはさすがに納入の時期も不明になってきて、完全予約制とさせていただきました。 ただ以前から予約していた人の分は確保しています。 また当院で乳幼児の2回目の接種もできるように計算はしていますが、状況も変わる可能性があります。

さて、「インフルエンザのワクチンをうっても感染するんだろ、だからうたない」という患者様がいます。 これは間違っていないと現時点(10年前から私の意見は変わっていません)でも言えると思います。 なぜなら、ワクチンで出来る抗体は「IgG」という血液中で威力を発揮する抗体です。 感染するのは、口の中や鼻の粘膜からです。 その部分の免疫を担当しているのは、「IgA」という抗体なのですが、ワクチンではIgAは産生されません。 なので感染率は同じなのです。 ドクターによっては「かかりにくくなる可能性はあるよ」という意見もあると思います。 間違ってはいないかもしれませんが、詳しく論文を読むと、統計学的に少なかった可能性があり信憑性には疑問、と書かれています。 つまり、インフルエンザに感染しても、ワクチンをうっているので普通の風邪と思ったり、病院にいっても、迅速キットも100%の検査ではないので、「陰性」となってしまうケースがあるからです。
理屈的には、「感染」の確率は同じなのです。
ではなぜワクチンを受けた方がいいのか? それは、感染し、血液中にウイルスが入った時に、重症化しにくいからです。 重症肺炎、脳炎などになりにくいからです。
インフルエンザワクチンを受けない、という主義の方もいると思います。 リスクを考えて、それはそれでいいと思います。
ただ、インフルエンザにかかった場合は、ご高齢の方などはすぐに医療機関に受診されることをお勧めします。 昨年、高知新聞のコラムに載せましたが、私は喉の奥をみることで、インフルエンザの可能性が高いかどうか、が判断できます。 これは自分で気づいたことですが、北海道の開業医の先生が論文にしていましたので、先をこされた笑、という感じです。 一般の内科医ではその所見はわからない方が多いと思います。 感染症専門医なら知っていることでしょう。
余談ですが、最近私は、風邪が今猛威を振るっているのか、治りかけなのか、が分かるようなサインが診断できることに気づきました。 このことはまだ誰も論文にしていません。 私は胃カメラをしているので、この所見の理屈に気づきました。 実は「インフルエンザは喉をみてもわからない」と、なんと内科学の教科書に「間違って?」書かれています。 インフルエンザの所見とあわせて、風邪の所見も、きっちりと見ていき、自身のスキルを高めていくことが重要だと思っています。

私は、全身を診たい、と思い、消化器内科で研鑽した後に、循環器内科で全身管理ができるようになり、心エコー検査を専門としましたが、「四国こどもとおとなの医療センター」では、循環器内科+全ての内科、を診ていました。 消化器内科(がん検査、がん治療含む)、血液内科(がん治療含む)、糖尿病内科(効果的なインスリン治療の導入や、中止も考えた治療まで)、呼吸器内科(カビによる肺炎や、特殊な肺炎、気管支鏡もしていました)、放射線科での研鑽などを、開業することが分かっていたので、「逆算」して、専門性は高めながら、専門以外も研鑽していました。 全ては開業後に、訪れた患者様の全身が診れるように、鍛錬をし、今も勉強する座学だけでなく、自身が「情報発信型」の医師であるように務めています。
かかりつけ医とは、、、 色んな先生の意見もあると思います。 私は、患者様の体の一部だけしか診れないのは、どうも「かかりつけ医」とは言えない、出来るだけ広範囲のことが適切に診断できること、が大事だと思っています。

なぜなら私の専門である、循環器内科には癌がありません。 癌検査や治療を経験(ここで言う経験とは、治しきるところまで、です)したことのある、循環器専門医は少ないと思います。
なので、当院では、「1年の計」を考えて治療することが多いです。 行き当たりばったりの検査などではなく、定期的に検査をすることが重要と思っています。 実際に、昨年は胃カメラで何もなかったかたが、本年は胃がんが見つかりました。 私が、血圧と心エコーだけをみて、薬をだしているのでは、何人もの方が、癌で亡くなっている可能性が高い、、、と思います。
もちろん、自分の守備範囲外のことは、大きな病院に任せたり、患者様の要望で、「私は検査はしない」ということであれば、その意向に沿った治療をします。 ただ、最善の治療を説明した上です。 検査を望まない方について、「手を抜く」治療も絶対にしません。 検査以外で「身体所見」を詳しく診て、治療にあたって行きます。

なので、どのような治療計画なのか、医師には言いにくいかもしれませんが、私の意見だけでなく、患者様の「私」の意見も、聞かせて頂ければ、それにそった治療計画を立てます。
全身を診ることの重要性、専門分野は情報発信型であることでさらに高めて行くこと、患者様の要望にたった治療

の三本柱が大事と思っています。

もし、私が「こうしましょう」と言ったことに疑問や、「したくない」といったことがあれば、忌憚のない意見をおっしゃって頂ければ、と思います。
※ただ、ワーファリンを飲んでいるのに、採血検査をしない、や、心臓弁膜症があり、定期的な検査が必要、胆のうポリープがあり、1年に一回は腹部エコーが必要、という特殊な場合は、医師である「私」の意見、根拠、を聞いて頂き、納得していただければ、幸いに思います。 私は、必要のない検査はしませんし、薬は少ない程いい、と思っていますので。 もし、「必要のない検査をされた」と思ったら、なぜ検査が必要か、できれば事前に、事後でも「なんで検査が必要だったの?」と聞いて頂ければ、お答えします。
恐らく、周囲の人は、その検査を、検診などでしているはずです。 それを私は自身のクリニックで、「検診」(保険がきかないので高く、異常があれば再検査になる)→胃がん、肝臓がんの可能性が高く毎年か2年毎に検査を当院で最初から「医療保険がきく検査」をしているだけの違いです。 検診には、もれがないようで、じつは何点か制約があります。 心電図やレントゲンも、悪くなっている最中の「正常範囲」なのかどうかが分かりません。 クリニックでとった心電図だと、「ここがこうだから、私の意見はこうで、今は異常があるんだけども、正常範囲、といえます」という説明ができます。 レントゲンも同じです。 説明付きか、なしか。
私のモットーは「がん検診を疎かにしない専門的循環器診療」です。 実際に開業後、そのモットーをもっていたから健康寿命が伸びた方をみると、自分がしてきたことは間違いではなかった、と思っています。

心臓リハビリテーション(心リハ)の「医師」が取得する資格「心臓リハビリテーション指導士」について、学会で定めた2年間以上の認定施設で研鑽し、試験を受けて取得する資格とされています。。 さらに、私は、この2年間は、急性期の病院で、心リハもしながら急性心筋梗塞を自身の責任で治療し、心エコー検査をし、そこで心リハをして、さらにその効果を重症例から軽症例までを診て、心リハはいい治療法だけども、限界もある、と感じた医師が取得するべき資格だと思っています。

実際に私は「心リハ」と「サムスカ」という薬は、循環器診療、教科書を変えた治療、だと思っていますが、やはり限界はあります。 いくら頑張って心リハを施行しても、ステント治療した部位が再度狭窄することもあります。 しかし、適切な心リハはその確率を下げることを説明し、運動療法を続けてもらいます。

また、近年、運動のしすぎ、これを「過負荷」といいます、が悪い、とされています。 重症例では大きな機械でどのくらいの運動がいいのか、や、軽症例でも大きな心リハ専用の機械がないと、過負荷かどうかが分からない、ではいけないと感じ、私は心臓カテーテルをした人は、心リハの大きな機械の検査、心エコーの検査を同時にしていました。 カテーテル検査がなくても、心エコー検査は必ず同時に自分でしていたので、エコー検査で、過負荷かどうかがわかるようになりました(論文として発表しています)

心リハの大きな機械は、患者さんのお金の負担もかかり、時間もかかる検査で、そんなにおいそれと何回もできません。 最近、心リハを卒業し、在宅で運動療法している人の糖尿病のコントロールが悪くなってきました。 運動中の脈を測ってもらうと、心エコー検査で推測した有酸素運動の脈拍を超えているので、少し遅く歩いてもらうことで、糖尿病のコントロールがよくなった例もあります。

昔の本などでは、10年も医師をすれば、ある程度同じレベルになる、という本を医学生時代にみたことがあります。 これは大きな間違いだと思います。 執筆された先生も後悔しているのでは?
私は、大規模な臨床試験の結果や、信用できるガイドラインを元に治療をしますが、私は自分の経験や私は統計学で論文を書くのが「趣味」ですので、自分の治療・経験を解析したものを重要視しています。 つまり、最新の他人がした大きな結果の論文も重要視しますが、プラス、自分の論文・解析で治療を考えます。

なぜか? たとえば、脳梗塞が非常に多い地方を中心に行われた大規模な試験と、自分が守るべき一宮地域を中心とした高知北部の患者さんとでは、結果が違うのは当たり前だと思うからです。 東京の結果と高知の結果では、論文の結果も、高齢化などで変わってくるはずです。

「こういう大きなデータがあるので、この薬にしましょう」という説明も大事ですが、そこに「私」の意見を話して納得してもらうことが大事だと思っています。
そういったことが、本当の「地域医療」だと思います。