肝腎要ともされ、最も重要なこと、という意味です。 脳も肺も腸も大事じゃないか、と思っていますが、とりあえずは肝臓、心臓、腎臓が重要視されている臓器のようです。 略して「肝心なのは〜」ということがありますが、実は私は使い分けています。 物事を大きく捉えるときは「肝心なのは〜」といい、物事を掘り下げて詳しく言いたいときは、「肝心要なのは〜」と言うようにしています。 理由は、要は扇子の付け根の部分をさし、特定の部位・部分をさしているからです。 そして、要をつけるときの臓器は肝臓と心臓にしています。 理由は、要にすでに腎臓の意味が含まれている、と私は感じるからです。
腎臓の傍糸球体細胞という細胞にたどり着く血流の多さで、ホルモンが調節され、血圧が決定されます。 つまり、要には腎臓の要素も入っているので、肝腎要は臓器がだぶってしまうな、と感じてしまうからです(恐らく私だけでしょうが)
循環器診療で肝心なものを、心機能とすると、それを知るための肝心要のツールは、「心エコー検査」だと思います。

心臓リハビリテーションで肝心なものは。心機能の維持・もしくは改善、とすると肝心要なのは、どのようにするのかを決定する医師を含めたチームですが、やはり最終責任者である医師ではないでしょうか? なので、私は医師が超重症例までを心臓リハビリの経験がないと出来ない、と危惧していましたが、紹介した先でそういう事態が起こっており、「やはりな」と思っています。 「全身が弱っているから心リハはしない」これはあまりいい傾向ではないと思います。 そういった方が対象患者様なのが心臓リハビリだからです。
あとは香川、徳島、愛媛を見てきましたが、開業医の先生が心臓リハビリを開始しているのが、10年以上前で、高知では私が、香川の善通寺病院(現:四国こどもとおとなの医療センター)で、心臓リハビリのセンター長として、責任をもって入院・外来の心臓リハビリを開設し、高知県では始めて外来(入院もですが)心臓リハビリを7年前に開始しました(もちろん高知ではあまり知らない先生や心臓リハビリに従事している方は知らないことでしょうが、事実です) この大きな病院、診療所での開設からした経験をもつ医師は非常にすくないと思われ、今まで私が知る中では私だけのようです(2018年現在)

診療所では、「要」なのは、いろんな職種がいないので、医師が最重要になってくる感は否めません(もちろん、関わっている職種全員が要でないといけないのですが) さて、ここ数年、高知県でも大病院が、入院患者さんだけでなく、外来でも心臓リハビリをするようになり、福田内科にも見学に来ていただきました。 「高知県では診療所でするところが少ないのが弱点です」という、診療所での心臓リハビリの経験のない方の学会での発言があり、悲しくなりましたが(せめて、しているところもある、くらいは言って欲しかったものですが(頑張ってしているなどのお世辞は抜きでも))、当院が開業時にしなかったのは、心臓リハビリテーション学会の規制が大病院では簡単にクリアできても、診療所ではクリア出来ないので開設しにくいことをしならいのかな? と思っています。
そのため、その学会では、まさに東西奔走した、坂本龍馬のごとく、ガイドラインや規制を変えるべき、と訴え続けた発表をした後の発言だっただけに、残念でなりませんでした。 義憤心があれば、医療者に投資する人がいるので、出資してもらい「心臓リハビリテーション専門クリニック」を立ち上げれば良いと思います(実際にそういう人がいます(責任をもって経験をしたか、見切り発車なのかは置いておいて)) しかし、数だけ「心リハ専門」が増えても意味はありません。 きちんと重症例を数年責任をもって経験しないと意味がありません。 そういった開業をしているところもあり、上記のような悲劇が生まれてしまいます。 なのでこの「高知の心リハ弱点発言」、私は大きな意味も持っていると思います。 まさに裏を返せば「高知の心リハは10年遅れている」と言っている発言であり、その方もそういう意味も込めてのメッセージだったのかもしれません。  しかし、私は外来の心臓リハビリには次のステップがあると思っており、開業医の先生が「見切り発車」でする外来心臓リハビリが「意味もなく増えるだけ増えて」、結局経験不足で患者さんのためになっていないことも分かっているので、質の高い、先を行っている心リハをしている自負があります。 なので、福田心臓・消化器内科での外来心リハは、決して10年遅れではなく、香川で私が勉強したことを持ち帰っているので、10年遅れ発言には当てはまらないので、先の発言は誰に向けて言ったのか… 「意味なく見切り発車で増えても意味がないんだぞ」という趣旨で言ったのなら、とても頭の良い発言で、先を見ているな、と感心させられます。
最後に、医師として心臓リハビリに関わってきて、恐らく世界初の発表となったはずですが、心臓リハビリを受けている人のなかで、検診などをうけてない方は、5年以内に悪性腫瘍が早期で見つかります、見つけてきました。 最近「腫瘍循環器学」といって悪性腫瘍になったあとの心機能はどうか、血管はどうか、という分野がでてきましたが、私の発想は全く逆です。 心臓病があるなら、糖尿病に近い体質になりやすく、免疫能がおちてしまい、癌になりやすい、もしくは既にもっていて、心臓病になった、と考えています。 「癌検診・検査をおろそかにしない、専門的循環器診療」が私の信条ですが、私の心臓リハビリテーションの「肝心なこと」は、心臓病ばかりに固執しないこと、です。 そういった意味で、医師が、心臓リハビリの「要」と言えると思います。

私は頸動脈に聴診器を当てるように教育されてきました。 もう癖になっています。 慣れた患者さんは、私が「はしょって」通常の胸部の聴診をしようとすると、首の部分をだして待ってくれていたりします。

さて、昨年は「初診」できた高血圧をもつ患者様で、主訴は感冒だったのですが、血圧も今後は当院で、ということだったので、頸動脈の音をきくと、、、右の頸動脈で雑音がします。 左の頸動脈は全く雑音がないので、感冒も大事だけど、「首の部分のエコー検査をさせてください」で、エコー検査をしてみると、血管の内側にひらひらした紐状のものが見え、即刻、脳神経外科に入院の依頼をしました。 入院後2日目で脳梗塞を起こしたものの、すぐに対処でき、後遺症なく退院され、今は高血圧と血をサラサラにする薬を飲みながら、半年後にMRIをその病院にとりにいくことになっています。
頸動脈エコーでは、中膜内膜複合体(IMT)の厚さで、だいたいその方の血管年齢がわかります。 治療は食事をかえたり、もっとも効果があるのは、EPA製剤、EPA/DHA製剤、血圧が高いなら下げる、糖尿病を良くする、高脂血症をよくする、などです。 血管年齢をよくすると同時に、プラークといって、1mmを超える厚みは、時に中身の脂成分が飛んで行って、脳梗塞を起こします。 これが、頸動脈 から 脳内の動脈 の 脳梗塞です。
頸動脈エコーは非常に大事な検査だと思います。 実は心臓の血管の狭窄度とも関係していると報告もされているのです。 実際にEPA製剤、EPA/DHA製剤を内服すると半年後にはIMTが薄くなり、プラークは安定化して中身が飛び出さないようになっています。 私の論文では、飲みだして、2ヶ月後にはすでに動脈硬化の指標である、PWV(動脈内を動く血流の速さです。 これが遅いほうが、血管がしなやかと言えます)が統計学的に良くなっているという論文が認められて、世に出ています。

雑音が聴かれて、そのままにしておくのは怖いことだと思います。 なぜなら普通は雑音は血管に異常がないと絶対に聴かれません(心臓の雑音が伝播する場合を除いて) そして「検査でお金は減るけども、健康寿命は増える(個人のお金、資産も大事だと思います。 しかし結果、大きな病気が発生して、よりお金がかかってしまう場合もあります。 命あっての物種ではないでしょうか?)」のは間違いないとすでに報告されているのですから。

色んな映画でも、最終的な「悪もの」の最終目標は「不老不死」でしょう。 でも、映画は人間が作るもの。 いつ死んでもいい、と思う方もおられるのかもしれませんが、健康で不老不死、も悪くはないのではないでしょうか?
例えば数年前、脳内のアミロイド蛋白を除去する注射薬が臨床で実用化されるかも、という論文に胸躍ったのですが、実現はできていません。 つまりアルツハイマー病などの認知症は、今の所「完全に治す」ことは出来ないが、「今後に期待」できる、と思っています。 そのためには、今現在の認知力を保たなければ、精神的な健康がどんどんと損なわれてしまいます。 認知症は、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症における行動と心理症状、かつての周辺症状)という、介護する人がこまる症状、具体的には、暴言・暴行、夜間せん妄、昼夜逆転、興奮、幻覚、抑うつなどのことです。 つまり、人間関係、周囲の環境、で出てくる症状と言えるでしょう。
それに対し中核症状とは、一言で言えば、記憶障害、です。 私自身の治療方法としては、実は1番にBPSDを、2番に中核症状を中心に治療を考えています(2018年3月現在) すでにBPSDがある方には、原因となる薬を「減らす」こと、漢方薬や、糖尿病の有無によって内服薬を追加すること、一時的に興奮を抑えること、抑うつに対しても漢方薬やある種の認知症の薬が少ないので増量すること、で対処します。 あとは介護者が大変になり、認知症患者様の治療にとって悪循環となるので1番に、と考えているのですが、例えばデイサービスを変更する、「お試し」といって、ショートステイを使用してみる、など環境面で介護者を守ることが大事ではないでしょうか? 中核症状を治す薬は3種類ありますが、私自身は2種類を使い分けています。 「アリセプト」という飲み薬が基本です。 この薬を上手く使えないと、抑うつ状態のときに対処できません、ピック病にも現在日本では、保険適応が通っているという点、一日1回の内服ですむのが良い所です。 BPSDがでそうな人には、イクセロンパッチという張る薬を私はかなり長い期間で増量をするようにしています。 理由は、通常容量の18mgになる前の9mgから、13.5mgに増量したときに、元気がない、などの症状が出る方がおられることが経験的に分かっているからです(その場合9mgで維持します) そうでない方には、最近は9mgからの開始も認められていますので早めの効果を期待して処方することがあります。 「レミニール」は施設に入っている方などではいい薬だと思いますが、なにせ一日2回の内服であり、自宅で過ごす人には不向きだと感じています。
さて、なぜ認知症の薬を内服した方がいいのか、それは、現在の薬は、野球で言うと、「中継ぎピッチャー」の薬だと、私は思うからです。 いずれ「治してしまう」薬が出るまでの間、できるだけ、中核症状を進ませたくない、ということ、また逆に認知力が良くなりますので、それも期待して処方します。 認知症の方は、時間、場所、人の順番に忘れて行きます、最後には体を動かすことをわすれてしまし、寝たきりになってしまいます。 それを防ぐ為に、中核症状の薬も必要となってきます。 昨今、BPSDが一人歩きし、認知症の薬が良くない、とされていますが、そんなことはありません。 実際に、認知症の試験だけでなく、家族の方からの「出来ないことができるようになった」や、心臓リハビリテーションをしていて、口数が増え、予約の時間を忘れることがなくなった、ということで実感をしています。

7−8年前は、食物アレルギーがあり、食事直後に激しい運動をすると、呼吸困難などのアナフィラキシー・ショックを起こすことが、小児だけでなく成人でも問題になっていました。
最近では、スギ花粉症の方は、トマト(キューイも)を煮込まないで食べると、10%の確率で口の中がピリピリするという、口腔内アレルギーが有名になっています。 その10%の中のものすごく少ない人数では呼吸困難などを引き起こすという報告があり、TVで紹介されたようです。
さて、リーキーガット症候群も、そろそろTVで出てきてもおかしくないな、と思っています(もうすでに紹介されているのでしょうか?) 下痢・便秘を繰り返したり、アルコール・甘いものを食べる人に、腸の働きが弱ってしまって、体調が悪くなる、という病気です。 大きな原因の一つに、腸内のカンジダという真菌(カビの一種)がいることが報告されています。 検査は、採血検査でできますし、症状から診断することもあります。 治療に関しては、食事療法(当院でうけられます)もですが、一般のサプリメントなども紹介されているようですが、海外の報告では、「ロトリガ」という、EPAとDHAが腸内フローラをよくするので効果があるとされています。

私は糖尿病治療に関しては、ただ単に血糖値を下げればいい、は間違いで、同じ下げるにしても、その過程にこだわる治療を心がけています。 糖尿病の治療薬には色々あり、膵臓を酷使して下げる薬で血糖値をさげてもいいことはありません。
さて高血圧はどうでしょうか? これは、過程も大事ですが、目標値まで下げること、が優先されます。 もちろん患者さまにあった治療薬を選択するのですが、最終的にどこまで下げたか、でその方の長生き度が必ず変わります。

私は上記を念頭において、さらに新しい知見を勉強しながら治療していますが、上記と逆の考え方で治療されている患者さまがおられる場合があり、危惧しているのが現状です。

※血糖値は最終的にどこまで下げたかが大事、血圧はそこそこ下げていれば症状もないから大丈夫、といった具合が良くない、と言い切れます。 最近の潮流は私の意見で間違いありません。 古い治療をされているな、と思ったら、相談に来てください。