選挙と重なったり、台風の影響は高知では無視できません。 9月の台風が拍子抜け(高知市内では)だったので、余計に自然の脅威を恐ろしいと思います。 備えあって憂いなし、でしょうか。

さて、この備えは健康にも言えることです。 採血検査を健診や病院で行っても、記号と数字の羅列でわかなない、という方がおられます。 私もその場でたとえ話で説明するのですが、やはり数ヶ月すると毎日携わっていないことには疎くなってしまい、「これはなんだっけ?」となるのは当然と思います。

今日は一つ、腎機能の検査についてご説明させていただきます。

主はCre(クレアチニン)と、eGFR(イー・ジー・エフ・アール)でしょうか? 加えて、BUNもあります。

CreとBUNは血液中のゴミ、と考えてください。 Creが1.0になるとゴミが溜まってきている、2.0になると相当たまっている、5.0になると透析の準備(腕に「シャント」と呼ばれる、透析するときの血管の手術をすること)をしないといけません。 6.0-7.0で透析を開始しないと、心臓が止まってしまいます。
eGFRはCreから年齢・性別から算出された値で、ゴミを押し出す腎臓の力、と思ってもらって良いと思います。90以上が正常、60〜89が保たれている(軽度低下)、31-59は腎機能が中等度悪い、30以下は相当悪い、という感じです。 日本人でなんらかの慢性疾患を持っておられる方は、eGFRが60-89の方が最も多いとされています。 この時点では、あまり症状がでないことも多いので、採血検査で初めて判明することがあります

Creは濃度ですので、脱水のときは高くでます。 測りなおすと、eGFRが70だった人が90以上で正常、ということもあります。
さて、治療ですが、まずは塩分制限です。 その次、または同時に高血圧、糖尿病(、最近は脂質異常症も)などの治療が大事です。 運動は有酸素運動が推奨されています。
なぜ、腎機能が低下したかを、自宅血圧、糖尿病の検査、超音波検査などで腎臓を直接みること、が重要です。
ご不明な点がございましたら、医師に相談してください。

医師によって意見が違うと思いますが、私は、ワクチンをうけても「罹患する(かかる)」確率は同じだが、「罹患しても」重症化しにくい、という意見です。 (※ただ、根強い「罹患しにくい」という意見や報告もあり、確率を全くの同じとは言えず、かかりにくくなる可能性はあるのかもしれません)

ワクチンをうけたのに、罹患する確率が同じ、には明確な理由があります。 医学部の授業を受けて考えればすぐに分かることですが、口の中の粘膜の抗体はIgAというものが担当しています。 ワクチンで出来る抗体はIgGといって、血管内にあるものなので、粘膜への感染は防げないが、そこから血液内に入っても重症化しない、という理窟です。 他の説明や理窟は私は聞いていても、あまり納得ができるものが今の所ありません。 もちろん私は感染症専門医ではありませんが、「なんとなくかかりにくくなるよ」という根拠がない説明をうけて、ワクチンをうけるのと、理窟を聞いてうけるワクチンとでは、その後の生活スタイルが変わるはずだと私は思います。
なので結論としては、インフルエンザワクチンはどこでうけても一緒「ではない」、ということです。

持病を持つ方が、インフルエンザを甘く見ていると(診られていると)非常に危険です。 かかりつけ医も、そういったことを踏まえて考えた方が良いでしょう。

かかりつけ医として、通院中の患者様に、どのようにがん検診をされているか聞くことがあります(当然のことと思っています) がん検診そのものを「絶対にしない」という方もおられます。 昔、私が胃のバリウム検査をしていて、胃にポリープがあるな、と思った方に、胃カメラをしたら食道癌がみつかって、胃のポリープは「胃底腺ポリープ」という全く問題ないポリープだった経験から、バリウム検査を勧めることはやめました。 胃カメラで昔つらい思いをされた方が多いのか、どうも一宮地区では胃カメラだけはうけない、という方が多いことも事実です。 開業して1年と1ヶ月が過ぎますが、当初、胃カメラを80例目まで悪性疾患のパーセンテージを調べていましたが、80例中4人が早期の胃がんと食道がんで、お腹を開けずに内視鏡で手術ができ、今も通院されています(腹部エコー検査をいれると、ものすごい人数の方が悪性腫瘍を持っていました)
地域性もあるのかもしれませんが、がん検診をうけることの重要性を感じています。

ちなみに、胃がんが発生しそうなヘリコバクター・ピロリ菌を除菌した後の患者さんで、100人胃カメラすると、1.5人が悪性腫瘍がみつかる、という報告があるので、80人で4人は多い数だと思った次第です。

私は、四国こどもとおとなの医療センターで、心臓血管外科の先生との打ち合わせで、私の心エコー検査(食道から胃カメラのような「飲む」超音波までを含めることもありました)をして、その結果で「手術の適応があるかどうか」を決定していました。 また、手術中・後の異常についても同様に、カテーテル検査室で検査をしたりして、その後の経過を診ていました。 なので、「心臓専門」として開業しているのです。

今は、一町医者ですが、上記のように、通常の心エコー検査をするのですが、手術の適応が近くなったりすれば、心臓外科のある病院に紹介をするタイミングを逸することはありません。

少し勘違いされておられる方もいるかもしれませんが、「手術適応を大きな病院で決定していた」私が心エコー検査ができるのが当院の心臓専門としての大きなメリットです。 逆に当院で手術の適応がない方を大きな病院に紹介して、半年に一回、大きな病院で心エコー検査をする、というのは患者さんの負担にもなりますし、「違う医師の目でみる」ということ以上のメリットはありません。

当院で「私」が心エコーをする場合は、手術適応が近づいてきた、術後の不具合の可能性(大きな病院では、様々な検査ができるので(私自身がしていたことです))などで紹介のタイミングを逸さずに診療しています。

もちろん患者様の意向や、手術をした病院の意向もありますので、上記がすべてではありません。

6月からはいくら診てもらっても咳がとまらない、という方を当院で私が診させていただき、2名、百日咳の方がおられました。 流行りの時期で、典型的な症状だったのですが、すぐに診断ができる疾患ではないので、「後医は名医」のごとく、後から診察した私が診断に関しては有利だったわけですが、少しは疑っても良かったのかな、と思ったことでした。

10月も中旬になり、寒暖の差で、風邪が流行っています。 私は呼吸器科の先輩医師から「内科で最も難しい疾患は、呼吸器の私からすると風邪だ」と聞かされて研鑽していました。 香川の四国こどもとおとなの医療センターでは、救急車でくるような方に対して、髄液をとり、髄膜炎の診断にいたり、治療をしたこともあります。 なかには、「肥厚性硬膜炎」という珍しい疾患を診断し、治療にあたったこともあります。

想像は知識に勝る、という格言があります。 休日はもちろん、平日に、風邪で診療所や病院にかかる人は、相当しんどい思いをしているのだろうと思って治療にあたるのはもちろん、その方が、今後どうなるのか、を予測する治療をしないといけない、と思って治療することが、私たち町医者の使命だと思っています。 これは大きな病院の救急外来などでは、そういう風に考えられないことも事実です。 実際に、夜間救急外来にいき「こんな症状でくるな」という態度をとられた! と怒って当院を来院される患者さんもおられます。 病院の規則や医師の本当の勤務時間でない夜間(実際は診療をしないことになっているが、これを厚労省が認めてしまうと、医療崩壊がますます進むので多くの医師が過労死するわけです)の気持ちも分かります。 ただ、そういう態度をとる医師や、普段でも同じような態度・処方をする医師は、なぜ医師になったのだろう? と不思議に思います。