相手コートにボールを叩き付ける、脳をはじめとする全身の組織に血液を供給する、のはアタッカーである左心室になり、左心室に血液をトスするのが、セッターである右心室ということになります。 右室に血液をくみ上げる、レシーバーの働きをするのが、筋肉の収縮(muscle pump)です。 心臓リハビリテーション(心リハ)で、有酸素運動をすることは、酸素の受け入れを容易にする治療であるため、相手チームのブロッカーを減らすことになります。 Fontan手術でほぼ右心機能がない症例もあります。 しかし、運動療法をしていれば、QOLが高まるという報告があります。 つまり、心リハで、筋トレ(レジスタンス・トレーニング)をすることはmuscle pump をきたえ、セッターがいなくても、アタッカーが打ち易いレシーブを上げることができる、と言い換えることが出来ます。 その他、塩分制限はセッターとアタッカーのシューズを軽くて良いものにする、など色んな表現ができると思います。

心エコー検査と握力で、どれくらいの能力が、アタッカー、セッター、レシーバーにあるかが分かります。

高価な機械がなくても(その機械で超重症例から軽症例までの研修をするという)知識があれば、心リハを実施することは可能です。
私は「四国こどともおとなの医療センター」で立ち上げた「心臓リハビリテーション部門」で高価な機器を購入し、研修をして、さらにその機器は当院関連の、福田心臓・消化器内科にも同様に存在します。 しかし、その機器だけが全てではありません。 前述のように、心エコー検査と握力測定で、どのような運動療法がいいのかが分かるのです。 「当院には最新の心リハの機器があります」と宣伝するような行為は、知識がない証拠だな、と私は思います。

私が、18歳で医学部に入り、サークル活動などはせず、毎日部活のバスケットボールに明け暮れてました。 医学部は6年制で、留年しなければ(結構留年生もいましたが)、普通に24歳で医師免許を取ることが出来ます。 さて、医者は「コードブルー」などのドラマ(観てませんが笑、違うドラマを観たりしてだいたい想像はつきます)とは全く違う世界観です。 医者の本音など出ていません。 実際は3Kの仕事であることを皆さん知りません。 きつい、きたない(感染症に自分がかかる可能性もある)、きびしい の 3Kです。 しかし、私は友人に恵まれ、5年制の夏から、そういった病院で仕事をしないと自分のため、ひいては患者さんのためにならない、と知り、色んな病院の見学に行ってました(当時としては珍しいと思います) 劣悪な環境のもと仕事をして、職人芸を自分のものにする訳です。 たとえば、日直・当直というのは、外来や入院を寝ないで診る、というのが法律なのですが、形骸化しています。 次の日に手術があった場合36時間勤務になり、手術した患者さんの様子を見るため、36時間以上ではすみません。 四国こどもとおとなの医療センターでは、当直が月7回あり、内科の当番、循環器の当番(2日に1回)があり、入院患者さんのために、入浴時も携帯電話を近くにおいてすぐに出られるようにしていました。
大病院で、入院患者さんを受け持たなくなった時点で、医師の緊急時の力量はおちることが多いのが現状です。 もちろん技術はます方も多くいますが、少ないと思います。 急変時の対応ができなくなるからです。
現在、40歳手前で開業する友人や後輩が多いのは、自分の力量がもっともピークな時に開業する、という意味では理にかなっています。 昔は50歳以上や時には60歳近くで開業する場合もあると思いますが、大学病院や救急病院で実績を上げてた人以外の開業は、40歳の開業でも「?」がつきます。 居場所がなくなっての開業の可能性が高いからです。 大病院でしたことのない医療を、突然「専門」にする開業には辟易します。 循環器内科では、「心臓リハビリテーション」でしょうか。 これを専門にするには、他のカテーテル治療や心エコーにも精通しなければいけませんが、開業直前までしていたのかどうか? 非常に不思議に思います。 このブログを読んでいるのは、MR(薬品会社の営業の方)が多いようですが、患者さんも見てくれているようですので、書きますが、少なくとも、私が大病院に勤務しているとしたら、この診療所には「絶対に」循環器の患者さんを送りたくない、というクリニックも、多く存在します。 自戒の念も込めて、昨日も今日も、明日までの連休は、論文(もちろんですが英語です…)を読んで、自分でも書いて、という作業をします。 家族サービスは基本しない、のが、私がみてきた理想の医者である父親の背中だったからです。
遊び回っている医者にろくな医者はいません。

講演内容は「ロトリガ」という、サプリメントのような医薬品についてです。

よく似た薬で「エパデール」という薬があります。

違いは、「ロトリガ」には、EPAとDHAが入っており、「エパデール」にはEPAのみ、ということ、

さらに、ロトリガは1日1回ですが、エパデールは1日2回の服用となっています。

「エパデール」は非常に優れた薬で、中性脂肪を下げ、血管を柔らかくします。

ただ後から発売された「ロトリガ」ですが、私の論文で「エパデール」と全く同じ効果があることを報告しています。

また、DHAは血管だけでなく、心臓への移行性もあり、分かりやすく説明すると、心臓の細胞を改善する効果があり、

不整脈が減少します。 心臓リハビリテーション中での報告は私が世界で初めて報告しています。

私自身、患者さんが、医療に対して「情報弱者」になって欲しくないので、自分自身が循環器以外の分野に対しても、情報をお話しさせていただくことが重要と思っています。
上記のようなことを知らず、昔からあるから、というだけで、漠然とエパデールのみ出すのは、患者さんに失礼になるかもしれない時代が来るかもしれません。

台風の影響を高知市内はうけずに過ごせました。 その後数日暑い日が続きましたが、夜は肌寒くなってきました。
さて、寒くなってくると、熱を逃がさないように血管が閉まるので、血圧が高くなる傾向になります。

高血圧という病気は遺伝の因子と、環境因子があります。

私は環境因子が、非常に重要と思い、栄養指導を勧めています。 そうすることによって、その方の周囲の人の食事が変わり、間接的に多くの人の助けになると思っているからです。 特に食事を子供さんに作っているお母さま方には非常に重要だと思います。

それでも血圧が高い方には降圧薬を飲んで頂きます。 遺伝の因子や年齢には逆らえないからです。 「飲んだら一生で嫌だ」という方がいますが、飲まない方が「脳出血」や「動脈硬化の進行スピード」の悪影響がデメリットなので、内服した方が良いことは多くの報告で立証されています。 もし血圧が下がってきたら、中止も考えます。
寒くなってきて、夏に私が少し減薬した降圧薬を元の冬用に戻す人が増えてきました。 出来るだけ、自宅血圧を目安に、患者さんと話し合って、薬は決定しています。 衣替えのタイミングより少し早め、が降圧薬の変更時期だと思っています。

循環器内科(心臓内科)で、診察の中心は、聴診だと思っています。 心臓の打診は意味がないことがわかっています。 私の聴診と心エコー検査の恩師は、聴診・心エコーの世界では、循環器の医師なら「知ってないとモグリ」と言えるほど名医である、福田信夫先生です(徳島には福田性が多く、親戚ではありません) つきっきりで5年間(そして今も関係は続いています)教えてもらいました。 耳と耳の間には脳があり、聴診器で聴くだけじゃなく、その音を考えるようにトレーニングを重ねました(ちなみに、頸静脈の見方、は私独自の説明画像を作り、「これは凄いな」と20代のころ褒めてもらったこともあります。 その画像は福田信夫先生が今も使用しているとのことで大変光栄に思っています)

診察の中心を担う、聴診所見。 循環器内科でも苦手な人もいるでしょう。 ちょっと信じられない音を見逃したりしている例をみかけます。 これはある程度仕方ないことかもしれない現象かもしれません。 聴診は、スキルがない人は、自分では勉強できません。 一番いいのは、名医に自分が聴診した結果を話し、その後かわりに聴いてもらい、ディスカッションすることが最も効率的で、それ以上の勉強方法がないからです。 私はラッキーでした。 さらに認めてもらいたくて勉強も人一倍したつもりです。 聴診器を画像化した心音図もとり、講義をうけることができました。 私は開業することを念頭におき、心臓カテーテルはもちろんですが、聴診などの一見「地味」ともとれる技術(スキル)を磨いていました。

循環器専門医といっても、だいぶ差があるのです。 特に開業医で、専門医の資格をかざすなら、聴診がうまくなければ… 専門ではないような気さえします。 これは医療者としての意見です。 医療者の考えをもって、患者側にたったとき、「この先生、聴診上手じゃないな」と気づいてしまうからです。

昨年は、インフルエンザの問診のときに聴診器で、「肥大型心筋症」を診断しました。 ほっておけば突然死もありえる病気です。 すでに成人になっているので、「今まで健診していたときは、本当に聴診していたのか」と、本当に不思議に思いました。 毎年のインフルエンザの時にも気づかれなかったのか? 風邪をひいたときのかかった医師は気づかなかったのか? 自戒の念をこめて、今後も自分自身のスキルを自分で高める方法も学びましたので、高めていこうと思う次第です。