昨年は、地方自治体では、市の健診で、通常はバリウム検査だったのが、「胃カメラ」も選択(費用は同じ)できるところが多くなりました。 高知県ではそういうふうになっていません。 先進国で、バリウム検査をしているのは日本だけです。 なので、今の流れは当然だと思っています。
そんなに遠く無い時期に、胃カメラは3Dでみれるようになるとされていますが、心臓のエコーと同じく、3Dで見るのが実際に必須なのかどうかはまだまだ不明確です(ちなみに心臓のエコーで3Dは、私は必要無い、と思っています。 大きな病院で大きな手術をするときだけに必要な可能性がある、程度だと思っています)
当院では、患者さんによって、胃カメラが変わって、性能の差がでて、不平等にならないように、今現在、最も最新で、かつ細いものを使用しています。

バリウムは私自身は受ける気がしませんし、お勧めも絶対にしません。 喉頭癌、声帯癌、早期食道癌を見逃すからです。
「胃カメラはつらいので」という患者様もいます。 開業してから、4回勧めて、その時は「しようかね」となるのですが、一回もしようとしない人がいます。 これ以上勧めるのは、本人様にとってストレスになっても仕方ないと思っていますが、辛く無いようにします。 癌検査をほったらかして、がん細胞がお腹の中にまき散らされて、腹水がたまって、相当しんどい思いをする、、、そんな人をたくさんみてきました。
丁寧に検査、説明もするように心がけています。 胃カメラで開業して指摘された癌は、通常、癌がありそうな人(ピロリ菌感染症で除菌した人など)100人で1.5人が毎年見つかる、というデータがあります。当院では、開業後、連続80例で4例の癌がみつかり、すべて早期がんでした。 現在は、2回目のカメラ、という周りになってきたので、全国のデータと比べてやや癌の発見率が高い程度になっていますが、指摘件数は多いと思います。
検診のオプションで1万円か1万5千円だして、色のコントラストのないカメラで、異常があった場合2度手間になることを考えると、3割のかたで3500円で胃カメラができ、怪しい場所があれば組織をとる(3000円)をした方が、明らかにお財布にも優しいと思いますし、見逃しも少ないと思います。 実はバリウムで正常と言われ、私が胃カメラをして、早期の食道癌だった、という例が多々あり、私はバリウム検査をしない、と決めています。
患者様は「先生は癌を見逃さないですよね」という思いに応えるべく、今まで研鑽してきました。 胃の萎縮の程度を学術的にみることも大事ですが、最も大事なこと、癌の見落としがない、ことを今後も続けていきたいと思っています。

後から診る医者ほど、病状が悪化したりするので診断がつけやすい、という意味であり、最初に診た医師に責任はないのに、「見逃しだ」というのは医師としての資質にかける、と思っていました。

ただ、この言葉、最近は3つの意味で使われるようになったと思います。 前述の後出しじゃんけんの意味、2つ目は「最初の医師が、適切な診療をしていない」場合には、当然、見逃しにつながるのではないか? と思います。 最近、インフルエンザの流行で当院に初心となった患者様がいて、聴診でおかしな音が聞こえるのでレントゲンをとると肺がんがみつかりました。 普段は近隣の病院にかかり、2-3ヶ月の変わらない血圧の処方をバイトの先生が代わる代わる診ている状況で、「5年前に皮膚科主体でその病院にかかりだしたのだが、レントゲンは一回もとったことがない」とおっしゃっていました。 1日40本タバコを吸う方で、健診の有無を聴かず、レントゲンをとらず、後から見た私が「後医は名医」とはあまりにも患者さんに失礼な気がします。 名医などではなく、普通の診療をしていれば、もっと早く見つかっていたはずです。 血圧の薬を寒くなってくる時期に2〜3ヶ月も処方するのはあまりにもいい加減だと思います。 夏服と冬服がちがうように、血圧の薬も秋用、冬用、その上にコートを着る外行き用があり、春になったら、一枚ずつ脱いでいくように、血圧の薬も減薬する微調節が必要なのは循環器専門医としては当然のことです。
最後に3つ目の新しい「後医は名医」ですが、「もはや紹介状を書くだけのマシーンと化した、自分ではなにも出来ない医師」です。 これは実在する医師が何人もいますが、少しでも異常所見があると、大きな病院やその他の病院にところかまわず「治療をお願いします」という、最初から、「後医は名医」と言われないようにする、完全自己防衛医者のことです。 もちろん、開業医にそんな医師はいませんが、勤務医にひそんでいます。 あまり勉強する機会がなく40半ばになってしまったのか、師匠が悪かったのか、本人のやる気がなかったのか、、、同情するくらい医師としての能力に欠けます。 まぁ間違ったことはしていないと思いますが、人を助ける、治す、という医者の志は少ないのかな、と思ってしまいます。 そういう医者には、上の先生も教えたがらないものです。 だから、学ぶ機会も少なかったのかな、と思います。

開業医は研究会などや、製薬会社からの情報提供などで勉強し、新しくなった治療方針に沿って治療するのが基本です。 これは当然私もしています。 しかしこれは、野球のバッターでいうと、打率2割5分、ホームラン5本、打点20の技術にとどまると私見ですが思っています。

私は、一町医者ですが、大きな病院の医師とは同じ治療はできませんが、一町医者として、打率4割、ホームラン55本、打点120を目指しています。 具体的には、私の書いた論文で、新しくなる治療方針(ガイドライン)が変わる、糖尿病の新しい効果的な治療法の報告、インフルエンザの見方の改定に携わる論文、などを執筆することを心がけています。 地域医療に関しても、「なぜ、開業医がしないのだろう?」という、抗生剤の耐性化の地域性について、統計をとることで、「適切でない」抗生剤を処方することがないようにする努力をしています。 これって、実は当たり前のことですよね。

かつ、私の経験(心臓超音波、心臓リハビリテーション)について、新たな執筆依頼があり、自己満足の自費出版ではなく、初学者でも読めるような工夫を凝らした本を執筆中です。 ほぼ、毎日いろんなことをしていますが、それがたたって、風邪気味になったので、昨日は執筆活動を久しぶりにしませんでした。

患者様の思っている以上の、高い水準の医療ができなければ医師失格だと思いながら、治療に今後も当たりたいと思います。

現在は、5日間飲み続ける「タミフル」、同じく吸入し続ける「リレンザ」、1日(1回)だけ吸入する「イナビル」、1日(1回)点滴する「ラピアクタ」があります。 今後、1日(1回)の飲み薬がでる予定です。

リレンザを使う医師はいないと思いますし、飲み忘れがなく、一回ですみ効果も強い「イナビル」が主流で、「ラピアクタ」も使いこなせないといけません。 ただ注意して欲しいのは、「喘息」の方は、「イナビル」(と「リレンザ」)は使用してはいけません。 吸入した粒子が気道を刺激して、ぜんそく発作を誘発してしまいます。

なので、「タミフル」も必要となってきます。 「喘息」の有無を聴かれない場合は、ちょっと待てよ、と思って頂いて構わないと思います。 患者さんからすると、自己防衛になるからです。 知っておいて欲しい必須の知識だと思います。

本日、勉強会にて大分からお越しの斉藤先生のご講演を拝聴し、その後質問攻めをさせていただきました。 それというのも、当院では、ビスホスホネートは基本的に勧めていませんが、顎骨壊死という副作用が、注射薬だとより怖いという方に処方をしています。 そのなかで、当院で新しい薬「プラリア」で半年の治療をして、骨密度が上昇しなかった方がいて、ご家族の方が心配されて、とある整形外科に連れて行ったところ「これでは駄目だ。 本格的な治療をしましょう」と言って、プラリアをやめて、ビスホスホネートの静脈注射に変え、ビビアントよりも効果のおとるエビスタ(私は処方しません)に変更されていました。 ご家族は納得されていますが、ビスホスホネートは諸外国では3年あたりで効果が頭打ちになることも報告されており(日本では7年とされている)、その方の骨折のリスクが高まってしまったかもしれません。

骨の強さ、骨強度は、骨密度だけでなく、骨代謝も大事です。 プラリアは骨密度だけでなく、骨代謝を良くするため、副作用も少なく、効果も続ければ期待できる最新の薬であることを理解していただければ幸いです。