米国では、10%以上の大腸がんになる可能性がある、出血傾向がない方に、以前は「狭心症」の再発予防だけだった、「動脈の血をサラサラにする薬」が、「大腸がん」が発生率を下げる可能性が示唆されており、現在治験が米国で始まっています(結果は2019年くらいになりそうです)

日本では、大腸のポリープを内視鏡でとった方に、内服してもらった方が、2年後に飲まなかった方より、40%再発が少なかった報告があります。 これは、血をサラサラにする薬が、痛み止めほどではないが、炎症を抑える効果が良かったのでは、と考察されています。

今現在では日本では、大腸がんの予防には適応は通っていませんが、将来的に、リスクが高い人には適応になるかもしれませんね。
さて、心房細動につかう薬は「静脈」をサラサラにする薬です。 私が調べた範囲では、TNF-αという炎症物質を下げるという論文もあったのですが、「癌」の発生そのものに、血液をサラサラにすることが良い可能性があるかもしれません。
がん細胞は、血小板で血栓ができた中に入り込んでしまうと、NK(ナチュラル・キラー)細胞というリンパ球の一種が、がん細胞を認識できませんが、小さな血栓が出来ないと、血液中を回るがん細胞をNK細胞がみつけて、免疫力でがん予防になる、という理窟です。
血をサラサラにする訳ですから、副作用もあるわけですが、時代は大分かわってきたな(2016年に動脈のことは言われていましたが)、と思う今日このごろです。

8月23日は水曜日で、兼ねてから「市立宇和島病院」の先生方から御依頼を受けていた「心臓リハビリテーション」と、「心房細動に対する抗凝固療法」について講演させていただきました。 高知市を出発し、須崎インターでおり、そこから下道で合計2時間30分でつくことができました。
今年の1月の「心臓リハビリテーション学会」の私の教育講演を聴いてくださり、それで依頼をしていただいたようです。 自分なりには、自身の経験、データの解析結果、現状の心臓リハビリテーションをしていく上での注意点や、ズバリ「学会」のガイドラインの「雑さ」などを喋ってきました。 聴講者の方のなかには、言いたくても言えなかった部分があったようで、納得された方もおられ良かったです。
さて、写真は、愛媛大学出身の、大木元先生(奥)と大島先生(左手前)と講演後に飲み会を開いてくれました。 お二人とも非常に、人柄がよく、また会話も面白いだけでなく、アカデミックであり、私の方が勉強させていただいた結果となりました。
さてこれで、私は、香川、徳島、高知(自身の診療所だけではなく、はた多県民病院)、そして、愛媛での心リハの講演・立ち上げの手伝い・アドバイスを行うことをすることとなり、冗談ですが「四国を制した」ような気分でもあります。
私の講演がどれほど役にたつかは不明ですが、「心リハ」と、循環器内科だけをみていくクリニックや、大病院でもそういうふうに落とし穴に入ってしまわないように、これからも望まれれば講演していきたいと思います。
「心リハ」を、自分のスキルがたりないので、「スキマ産業」として、開業する「輩」が後を絶たないようにしないと、患者さんが「心リハ」しておけばいい、というふうな風潮になり、本当に危惧しています。 大病院で重症例を経験せず、「私は『心臓リハビリテーション指導士』で専門です」は、もはや詐欺に近いのでは、と思います。 医師であれば、誰でもすぐに取れる資格に意味はありません。 重症例に対して論文を読んで考え、多くの医師や他の医師や他職種との話し合い、責任をもって「心リハ」をおこなった経験がないと、「専門」ではありません。 開業した時に「経験人数は?」「どこで修行を何年積んだのですか?」「心エコーは専門ですか?」 是非、聞いてみてください。 高知県にも、そんなところがあるかもしれませんよ
心臓血管外科でも、一例も手術経験がないのに「私はこの手術の専門です」はおかしいですよね? デザインの世界でも、油絵を書いたことがないのに「セミナー」や「体験レッスン」をうけて、「私は専門なので、教室を開きました」みたいな心リハ・クリニックは「専門」の看板を何とぞ降ろしてください。

現在、論文にして「impress状態」(掲載が決まったがまだ学会誌に載ってないもの)になった私の論文を紹介します。

今まで、がん検診をしてこずに、心臓病にかかり(大きな病院に救急搬送されたり、徐々に心臓に負担がかかり心不全になった人や、心臓の手術をされた方などです)、心臓リハビリテーションに参加された患者さんのうち、5年間の間に悪性腫瘍が見つかった人は実に、約7%でした。 がん検診(検査)を行っていない人はもちろん0%なので、検査を行っている人では、約22%でした。 これには理由があり、心疾患を持つ人は、糖尿病の気があったり、実際に糖尿病の方が多く、糖尿病の気がある方は約35%に跳ね上がります。
つまり、心臓のことばかり気になってしまい、がん検査をうけないと、早期でみつかる癌を、放置する結果となる、世界初の論文となっています。
心臓リハビリテーションをするなら、「落とし穴」がある、と言い続けていますが、そのうちの一つが上記の内容です。 「心リハは癌の可能性も少なくなるし、死亡率もさげますよ」という古い有名な論文は、やはり循環器医が書いているので、癌のことなど触れていません。
癌検診をうけない、そういう信念を持っている方を否定する訳ではありません。
ただ、癌について、話すらせず、「心リハ」だけを押し進める循環器クリニックは0点だと思っています(データが実証しています)

連休はどう過ごされましたか? 連休明けも、暑く、そして時に激しい雨だったりと、過ごしにくい日々が続いています。

私はクリニックが休診している間はずっとクリニック内で、自分が講演する内容のスライドを作り、論文をよみ、間違いが無いか吟味し、自身の新しい考え方や、聴衆される方が飽きないような工夫も施していました。 お墓参りもせず、ずっと机(パソコン)にしがみついていました。 ご先祖様には申し訳ないと思う次第でした。

さて、健診結果が悪かったといって、その結果を持ってきてくださる患者様がおられ、結果をみてみると、「心肥大あり」と書いていますが、「心電図は異常なし」と書かれています。 ここまで読んで、「書いた医師が勘違いをしているな」と思われる方は相当の医療通です。 心肥大は「心電図」か「心エコー検査」でしか判断できないはずだからです。 一般的な健診では心エコーはされていませんし、レントゲンで分かるのは「心拡大」だけです。 つまりレントゲンと心電図を組み合わせて、「心拡大」+「心肥大』はありえるのですが、心電図が正常な心肥大はありえません。 ひょっとすると、患者さんを左側臥位(左側を下にして寝てもらう)にして、聴診器でIV音を聴いたか、心尖拍動を二峰性にふれているなら話は別ですが… そんな記載も無く、身体所見は「特記すべき事項なし」でした。

レントゲンでは、どこからどこまでが、心臓の筋肉部分で、内腔の血液部分との差が分からないので、筋肉が肥大しているかどうかは分からないのです。 ちなみに(造影剤を使わない普通の)CT検査でも貧血が無い限りなかなか分かりません。 CT検査で、心筋部分と血液部分が分かった場合は、「貧血あり」と判断出来ます。 これは私が放射線科で1年間研鑽を受けて理窟も教えてもらったのでそういうことが言えます。
間違った健診結果だったとしても、「心肥大」「心拡大」が書かれた場合は、私などの超音波専門医が直接心エコーをし、原因をつきとめ、治療が必要かどうか、経過観察で良いのかどうかを判断します。
以前、「循環器クリニックのキモは、心エコーは専門かどうか」と書いたのはそういった意味もあります。
大きな病院(私の場合は、現:四国こどもとおとなの医療センター)で、最終的なチェックを行っていたような専門性がないと、同じお金を出して検査をしても、悪い言い方ですが「いい加減」な心エコー検査を行われる可能性が高い、と思います。 自戒の念を込めて、来月、心エコーの講演会を高松で行います。 開業医こそ、本でみるだけ、ではなく、講演会での聴講はもちろん、自分から情報を発信できるようにならないとレベルはどんどん下がっていくことに繋がると思い、連休は連休とならなかったわけです。
※しかし、人の命を預かる医師が、普通の企業人と同じ休みを取ることは、私の中ではありえない、と思っています。 私と同年代の医師は、中・大病院で夜も寝ずに診療しています。 それに比べれば、私の仕事量は足りませんし、緊急性を要することもありません。 医師という仕事は、いつになってもサボった時点で駄目な職人芸です。 サボった医師は、だいたい分かります。 なので、そういう医師への紹介は私はしませんでしたし、今も、大きな病院でも、「ちゃんとした」病院を選んで紹介しています。

今日は花火大会ですね。 私もここ数日は診療後も、仕事や勉強会の講演の準備で自宅に帰れてない日が続いていましたので、本日は花火を楽しみたいと思っています。
当院は、8/11から8/15まで休診とさせていただきます。 ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、ご理解の程、よろしくお願い申し上げます。
通院していただいている患者様については、休診中に急変しないような処方、説明をさせてもらっているつもりです。 しかしもし何か体に不調を感じたら、我慢せずに救急病院の救急外来に受診するようにお願い申し上げます。

明日、8/10は診療をしています。 不安がある方は受診をされてください。 昨日(8/8)に受診された方で、お盆休みに一人暮らしということもあり、希望もあり入院を勧め、関連の福田心臓・消化器内科に入院となった方が2名いました。
こういったことも当院では出来るので、相談があれば言ってください。