製薬会社が薬を開発し、特許を取得します。 およそ10年でその特許がきれます。 そうすると、どことも知れぬ会社が「ぞろぞろ」と特許のきれた新薬の真似をした薬を製造・販売することから、ゾロ薬と呼ばれています。 あまりにも名称が悪いイメージのため、国はジェネリック医薬品と名付けています。

さて、特許がきれたのだから、全て同じ真似が出来るか、というとそうではありません。 製法一部は通常公開されていないので、ジェネリック医薬品と新薬(普通のお薬)では、違う部分が出てきます。
同じ部分は、「有効成分」だけ、です(効能・効果についてはゾロ薬では違う場合があるので要注意です)。
違う部分は、「原薬」「添加物」「製法」「製造工場」です。「原薬」とは、有効成分を含めた言葉ですが、同じ有効成分が入っていても、違う成分も入っている可能性がある、ということです。
添加物が異なっていると、効果が全く変わってきます。 とくに「侍」が宣伝している会社など、有名なところは、患者さんの期待とは裏腹に、効果に疑問を呈さずにはいられない場合があります(理由は例えるなら、同じベルトコンペアで、沢山の薬を作るので、混ぜ物が多くなる、などです) また、得体の知れない会社も要注意です。 私は処方箋にジェネリック希望なら「サ○イ」以外で、と書く事も極稀ですがあります。 薬剤師の方も知っているはずです。 凄く値引き率が高いことを。 薄利多売をし、その一部が「お侍」の懐に入っています。 そして同じ値段で買わされることになりますので、薬局は大もうけ、となります。 しかし効かない…
同じジェネリック薬品でも、「原薬」「添加物」「製法」が同じ、オーソライズドジェネリックというものがあります。 値段もゾロ薬と一緒。 これは処方する側としても安心して処方箋をかけます。
高知県のとある薬局では全てが「お侍」の薬であることもあります。 そうすることで薬局がより値引きしてもらえることになるわけです。
私なら、血液をサラサラにする薬は絶対に普通の薬を内服していただきたいと思います。 ゾロ薬だと危険きわまりないからです。 その他のアドバイスとしては、「オーソライズドジェネリックはありますか?」と聞くのもいいですね(まだまだ種類はかなり少ないですが) 「お侍」の薬が出ていたり、名前をだして申し訳ありませんが、「ロキソニン」のゾロ薬「ロブ」という薬は全く効果がないことで有名です。 これが出されたら薬局を変えましょう。 お侍ではなく、悪代官の薬局です。

当院で胃カメラ(「喉頭、声帯、食道、胃、十二指腸ビデオ」、と私は心掛けています)、腹部エコーをしている患者様がいます。 そんな中で「糖尿病、高血圧の治療も一宮きずなクリニックで」と言われる患者様もおられます。 長い歴史で、他院にかかっておられる方や、より専門性のある疾患に関しては、「長い歴史があって処方も決まっているので」と話すのですが、自宅が近いなどの希望があれば、当院で診れる疾患に関しては責任をもって診るようにしています。
そして時には、積極的に「この処方内容は15年前の処方で、私が診た方が、患者さんのリスクが軽減する」と思う患者さんに関しては、私が診させていただくことにしています(もちろん希望があってからの話ですが) これが「自分が診ないと、患者さんが不利益をこうむる可能性がある」ということです。 思い上がっている訳ではなく、例えば、もはや使用は推奨されない、もしくは出来るだけ少量か、より弱い薬にした方がいい、とされている、膵臓に無理矢理働きかけて、インスリン(血糖を低下させるホルモン)をださせる薬が増量されて、最大容量になっている方などです。 この手の薬は、グリミクロン、アマリール、ダオニールの三種類しかなく、強さも述べた順ですが、低血糖のリスクが非常に高く、近年はダオニールを処方することはまずないでしょう(処方された場合はかかりつけ医を変えるべきです) アマリールも最大容量は6mgですが、1mgでも私は出したくありません。 グリミクロンを仕方なく処方することがある、という状況です。 理由は、低血糖のリスク(高血糖より低血糖の方が怖い)、膵臓への負担などです。 最近は、こういった薬を減量できるような薬剤が出てきていますが、70歳台の方にアマリールが6mgでており、最新の薬は全く試みられていない症例がありました。 さらにがん検診も行われておらず、腹痛で来られた患者さんで、胆のうには、もうすぐ手術適応があるポリープが初めて見つかった方もいます。 あと2-3年していたら胆のうがんになっていたかもしれません。 この方から、「家が近いので」という申し出に関しては、「私が診た方が、安全だろう」と思った次第です。 もちろん、色んな経緯があって今の処方になったとは思いますが、あまりにも取り残された、悪い意味での昔ながらの処方だったので、私が診る事を承諾しました。
患者さんが低血糖で運ばれる前に…

私は発表や講演だけでなく、「論文をかく」ことを大事にしろ、と言われてきました。
この教えのお陰で、大学病院や医療センターから、診療所での勤務になっても論文をかく習慣がついています。

多い時は1年に8枚書いて、掲載された事があります。
今まで書いた論文のうち、診療所勤務時に書いた、

心臓リハビリテーションをうけている糖尿病をもつ患者さんで、「心不全の傾向があるひとほど、有酸素運動をしても血糖低下の程度が低い」という論文(英文)が、Journal of Diabetes & Metabolismという一流雑誌に紹介される事になりました。
発表や講演は誰にでも出来ますが、論文を書く事は、時間もかかるし、心リハならそのことに深く精通してないと掲載されません(もちろん雑誌の程度にもよるのですが)
「論文を書いた」→「どこの雑誌ですか?」と聴いてみるのも良いかもしれませんね。 私は留学後、日本語で論文を書く事が逆に難しくなり、英語でしか書けなくなってしまいました(書き方が、実は英語の方が論文向きなのです)
さらに、一流雑誌への投稿は、なかなか時間がなく、思うような雑誌には掲載されないのですが、今後は以前のように一流紙への掲載を目指したいと思います。

開業して10ヶ月が過ぎました。 当院は水曜日の午後が休診で、金曜日の午後は私ではない医師が診療を担当しているのですが、私はその時間は、福田心臓・消化器内科で、高知で初めて外来心リハを開設・運営したものとして、心リハ、検査、診察にいっています。 この金曜日は違う医師に心リハを任せて、学会に参加しました。
私にとって開業するまでは、演題の発表がない出席、は考えられなかったのですが、開業後は演題が採択された場合、診療時間内であれば取り下げを行わなくてはいけないので、演題の発表を学会では1年弱していません(今後はしていくつもりです。講演会はもの凄い数をこなしているのですが、、、)
医師の勉強方法ですが、大きな病院だとカンファレンス、学会に参加、病院図書にある医学書での勉強などでしょうか? 開業するとそういったことがなくなるので、サボる医師は能力がのびない、と言われる所以です。 そういったことが絶対に私は嫌なので、香川の医療センターで働いている時から、「技術」の習得はもちろん、開業後の「勉強方法」も考えていました。 医学書をよむ事、厳選した医学雑誌や英文の論文を定期購読し(英語は疲れますが)よむ事、そして、相談出来る先輩・同僚・後輩に直接聴く事、が重要だと思っています。 また年に8枚論文を雑誌に載せた事がありますが、今は年に1-2枚程度です。 こういった論文を書く事は、勤務医はもちろん、開業医ほど必要なのではないでしょうか? ただ単に、毎日の診療を勉強なく続けるのは、患者さんに失礼だと思っています。
「月刊 血圧」のインタヴューでも話した事ですが、私はいずれ開業することが分かっていたので、研鑽する病院の業務は当然こなし、いつ開業しても良いように逆算して研鑽していたので、人の倍働いていたと思います(相対的にです。 もちろん私よりも働いている人もいました。 そういった環境でしたから、勤務医時代にサボっていると、どうしようもないと思ってしまいます。 開業後に勉強しようとしても伸びしろは少ない、と現在感じています)
あながち、そういった方が、スキマ産業的なことで一発逆転を狙うのは、もはや医療ではなく、医療を大義名分にした、単なる金儲けですね。 そういった医療があっている方や、そういった医療に魅力を感じる方もいるかもしれません。 私にとっては不思議な事ですが、これも事実なのです。

先日、右の頸動脈に雑音が聴かれた方がおり、超音波検査をすると、50%狭窄(血液が通る部分が半分になっている状態で、手術の適応はない)が判明しました。 脳梗塞などの予防に、EPA/DHA製剤や抗血小板(血液をサラサラにする薬)が良いこともあります。
さて、私は師匠から必ず頸動脈の聴診だけでなく、視診、また頸「静」脈の視診までをみる訓練をすることを義務づけられ、その見方のコツを、循環器専門医が勉強する雑誌「Heart View」や「循環器」、「月刊心エコー」に寄稿しています。
私にとっては、頸部の聴診は当たり前になっていることや、短い診察時間で頸部の聴診をしないことは、患者さんにとって勿体ないとすら思います。 問題がなければそれで良いし、その後の経過で雑音が聴かれることがあれば、異常事態ですので検査が必要です。 胸の聴診で心臓と肺の音だけを聴くのは当たり前(それもしない方もいますが)で、さらに聴き方も上手な人と下手糞な方がいるのも事実です。 当たり前ですがトレーニングをしなければ上手く聴く事はできません。 私は日本でもトップレベルの聴診技術と心エコーの技術をもった、福田信夫先生とマンツーマンでトレーニングを5年間させていただきました。
ときどき、「首に聴診器を当てる先生は名医って週刊誌にかいてたよ」と言われる患者さんがいますが、私にとっては「普通」であり、なぜ頸動脈の音を聴かないか、が疑問に思う程です。 そこから得られる情報は計り知れないからです。
同じ血圧の薬をもらうにしても、聴診の技術がイマイチだと、支払うお金は同じと考えると、自分なら上手な人に聴いて欲しい、と思い、修行を積んだ次第です。
ちなみに、現在ではトレーニングするとこもできない、心尖拍動図を記録していました。 このことで心臓の硬さが分かります。 触診や聴診で代用できますが、新鮮拍動図で答え合わせが出来ない最近の医師には難しいことかもしれません。
どんな職業でもそうですが、教える側、教わる側の相性以上に、情熱があるかないかが重要と思います。
聴診のことについては、私が34歳と36歳のときに出版した「恋する心エコー」のコラムに詳しく書いています。