尿酸の論文を書いたり、新型コロナウイルス の論文を読みながら、連休中は溜め込んでいた本を3冊よんでみました。 その中に、「ブランド力」というものがありました。 何かに一点集中した方が、経営は安定する。 ということも書かれていました。

ただこれは医療において、とくに「内科」に関しては全く意味ないな、と思いました。高知県では、マイナー科で特殊な名前で○○ならここ、みたいな「ブランド」があると思いますし、正しいと思います(患者さんにとっては分かりやすいので) ただ、循環器というのは、実は、外科と内科の中間のようなことをする上に、実際は心臓カテーテルだけだった、とか、心エコー検査はするけどもほかはしない、などと偏った医師がいる(最近は心臓カテーテルだけ、がどうしても多いのは仕方ないことですが)ことも事実です。 肺炎をみない循環器内科医もいましたし、腹痛は苦手だからみない、という循環器内科医もいました。 これは最終拠点病院や大学病院では「正しい」のです。 しかし私は開業したら、どういう患者さんがくるのか、が分かった上で研鑽していましたので、大学や病院のエコー室に泊まり込んで圧倒的な人数をみて来ました(もちろん最初の方は専門医と共診ですが、最後は血球貪食症候群(血液内科です)は私、など自分自身で詳しくなった病気は一人で最終拠点病院でも見ることができていました。 徳島ではよくある、「胃腸科・循環器科」などは高知では、福田心臓・消化器内科だけだと思います。 私は消化器内科学会と内視鏡学会、動脈硬化学会に入っていましたが、どちらも入るのが遅くて専門医は循環器専門医と、超音波専門医だけしかとれていません。 徳島大学では、ダブルライセンスといって、循環器専門医と消化器専門医をとる医師が多いのですが、維持するためだけに学会に他人に行ってもらったりする(今はそれは許されないようなシステムになっています)のをみて、専門医を絞ったのですが、今になって考えれば、維持するには論文をかけばいいので、「とっておけばよかったな」と思います。 ただ、それは患者さんを安心させるだけの免罪符みたいなものであり、私は心臓リハビリテーション指導士をとっていますが、「これって医者にとっては価値ないな」と思っています。 今までしたことがない人が、99%の確率で受かる試験(しかもほぼ勉強しなくても、医師なら99%受かるのです)の専門医みたいなものに意味があるでしょうか? きちんと研鑽したものにだけ与えられるのが専門医や指導士という資格だと思います。
さて、じゃあ当院のブランドは何か? それはもう決まっていて、いろんな事情(大腸カメラをする機械がない、心臓リハビリより栄養指導の方が地域医療には大事など)で、消化器科と心臓リハビリテーション科(高知市(高知県と言ってもいいと思います)で外来の心リハを始めたのは私です)はいれませんでしたが スローガンとして「がん検査を疎かにしない専門的循環器診療」としました。 循環器内科には癌がありません。 なので、他の内科だと見つけてくれる癌を循環器科(しかも一点集中などしていると)だけしかみないと、「悪くなってから紹介」という自分が最もされたくない(自分の身内がそうされました)医療をうけることになります。

なので、中小企業には「ブランド力」が大事、という趣旨の本は面白かったですが、医療においては、とくに内科を標榜するなら、それは間違いである、と思います。
奇しくも、昨年、私の世界初の論文である、心臓病後に心臓リハビリテーションを受けている患者さんに癌検査(検診)をすると、22%の人が5年で癌が早期で見つかるという、ことが報告できました(今までは講演会で喋っているだけでした) 循環器は当然心エコーと心臓リハビリなら県内トップクラスであり、内視鏡検査(研修会に今でも行っています)やレントゲン・CTの読影(これは徳島大学とタイアップしています、勉強する機会を同時に作っています)も最終拠点病院でしていた腕を落とさず、より高い次元で行うようにできるクリニックがいい、と思っています。

日々、本当に新しい知見などがでてきて、前の報告が否定されたりしているのが現状なのが、新型コロナウイルス です。

ただ原理原則として、持病(基礎疾患)は必ずコントロールしておかないといけない、ということは重要です。

新型コロナウイルス が出てくる前も、風邪をひいて心不全、気管支炎を発症して心不全(これは集中治療室に入って治療になる確率がより高い)、という方は、血圧が高めの方に多い、というのが医学の常識です。 体がピンチになると、central volume shiftが起こって、心不全ということがあります。 これは体の中心に血液を集める、という防御機構が働き、処理しきれない心臓に血液が入っていかず、肺に水が溜まってしまうことです。 新型コロナウイルスの出現で、2009年の新型インウルエンザが今や定着しているように、今後定着する可能性がある、また定着しなくても今現在猛威を振るっているため、心不全になる要因が増えた、という状況です。

何が重要かというと、高血圧、心臓病、肺疾患、糖尿病などの持病をきちんと治療しておくことが、万が一(コロナウイルス にかかった有名人のセリフからすると「まさか自分が」と言っています)新型コロナウイルス (そうではない感染症でも)にかかった場合に、その感染症だけでなく、心不全、腎不全、心・脳梗塞を防ぐ可能性が高い、ということです。

最近わかってきたことは、サイトカイン(体内で産生される様々な機能をもったタンパク質、免疫にも関与)・ストーム(免疫系の暴走)が、新型コロナウイルス感染症では重症化の原因とされています。 このサイトカイン・ストームにも急性に起こってしまう場合と、ある程度時間が経ってから起こる場合があると報告されています。 後者の場合に持病の管理、が非常に重要です。

私自身は実際の患者さんを診ておらず、座学でしかレントゲンやCTのパターンなどを勉強してはいないのですが、濃厚接触の定義が変わったりと、国としても忙しい月(4月)だったと思います。

さて、微熱で相談センターに電話してもかかりつけ医に、と言われた方ですが、私からしてみたら多種多様な人と会って話す職業であり、嗅覚異常もありませんが、レントゲンではコロナウイルス を否定できないパターンでした。 患者さん自身もコロナウイルス ではないか?と思う節があったようで、私から電話をするとなんと「それはコロナウイルス かもしれないので、PCR検査をしないといけないですね」となった人もいました(結果は陰性)

3月末までに3人私の方から電話をすると「今日(もしくは明日)PCR検査に来てください」ということがあり、ホームページを変更したりしています(全員陰性でした) 自宅安静を県から指示されている方からも何人か電話で、「コロナと違うと思うから一応みてほしい」という方がいましたが、私が全員に顔をあわせて、また電話での対応ができないこともあり、申し訳ありませんが、自宅待機と言われている方に関しては、今すぐ診るわけにはいきませんので、「相談窓口に電話をしてみてください」という対応しかとれません。

また、意外と患者様が電話したら自宅待機したほうがいいです、と言われた人からの電話が多く、理由も熱だけではない場合もあります。 相談窓口が完璧でもなく、私どもではコロナウイルス かどうかは診断・治療ができず、またPCR検査自体も100%の検査ではありまんせん。 ただ、当院としては念のために、自分では問題ない、と思っていても、私や相談窓口からしたら、自宅待機、もしくはPCR検査がいい、ということが、全員や10人に1人ではありませんが、必ずいるという経験から、まずは相談窓口に電話をしてもらって、その結果を当院に、という手順をとらせてもらっています。 当院の判断に納得がいかない人もいるかもしれませんが、その手順だけをお願いしています。 本当にわずかな手間ではありますが、面倒で煩わしいと感じたり、嫌な思いをさせることもあるかもしれませんが、何卒当院での現時点での中にいる患者さんや職員を守るための、決まりごととして、考えていただければ幸いです。 局面は毎日変わっていっています。 何卒ご理解、ご協力のほど、お願い申し上げます。

 

相談窓口も保健所も対応した職員によって、全く違う、ということが分かりました。 非常に親切で、患者さんのことを親身に思ったり、診療所のことを考えてくれる対応をしてくれる方がいる反面、患者さんとの訴えをほぼ聞かず、また質問もろくにせず、大丈夫、コロナじゃないから受診しなさい、だけの人。 PCR検査の結果が20時になることもあり、直接電話をしてくれる人もいれば、医師から直接電話をしなさい(色々理由はあると思うのですが)、という人まで。 陽性ならまずは本人にどういう風に、どこへ行けばいいか、を伝聞ではなく直接伝えないと時間的なロスもあるだろうに、と思います。 現状は基本、保健所にPCR検査をお願いした診療所に結果を返す、というお粗末なものです。

高校教師の方がPCR陽性とでていましたが、周囲の人は誰一人、PCR検査をうけなかった、という報道がありました。
どんな事情があれ、絶対に濃厚接触者に近い人はPCR検査をするべき、いやしてあげるべき、と思いましたが、保健所からの報告で、報道では「問題なかった」ということでしたが、その2週間後に、濃厚接触の定義が変わりました。 今からでも遅くないから検査を診療所や病院からの紹介に任せる、よりも、1日5件という検査の日もあります。 どんどん検査をするべきと思っています(人的資源もあると思いますが、あえて言わせてもらうと、「あなたは可能性があります」という人がすり抜けている印象です)
高知県として、検査をして、陽性の方を増やしたくない、という意図に見えます。
ここに政治的なことは書かないほうがいいのかもしれませんが、有事の際にトップの力量が問われる、と思っています。

では、今、南海トラフの問題が同時に起こったらどうするか? などはシュミレートしているのか? など考えています。 それを考えるのが政治だと思います。 いくら忙しくても、考えておくべきことだと思います。

新聞では、「診療所や病院で、風邪をみないようにしているため医療崩壊がすすんでいる。 診ないようにしている医療機関ほど、感染症対策ができていない」という高知県の記事ではないのですが、そういった論調をみかけました。

高知県でも診療所、病院によっては、「院内感染」を防ぐため、「診ない」というところや、「全くの無防備でそのままコロナ感染症の可能性がある患者さんも院内で待つ」ところまで、千差万別です。

当院では、「コロナ感染症が疑われる方は、相談窓口に電話してもらい、そこで問題ない場合に診させていただき(十数人に1人はPCR検査ができる医療機関に行ってください、という場合があるからです)、院内でも待合室では十分な距離をとり、咳などをしている方や、この時期なので、感染症の疑いのある方は隔離部屋で待機してもらっています。 また、車内で待機してもらうようにも、全員声かけをしています。

次亜塩素酸(またはアルコール消毒))で消毒を朝、昼、夕として、感染症対策はできうることはしています。

当院のスタイルは、「コロナウイルス 感染症の可能性が低い方と判断された患者様でも、他の通常の定期受診の方への院内感染を防いだ上で、診させていただく」という方針で、風邪や気管支炎症状の患者様も診させていただいています。

定期受診の方に対しては十分な配慮をしています。