本日の「徳島新聞」の一面は、医局の私の後輩でもある楠瀬賢也先生でした。 心臓超音波検査の世界に人工知能(A.I)を持ち込んだ論文が一流誌に掲載されたのです。

これは画期的なことです。 だれも思いつかなかったことで、思いつくのが5年は早い、という感覚です。

それを支えたり指導している、先輩の山田先生、世界でも有名な教授の佐田先生、他の医局員の先生方の支えもあった、と楠瀬先生は質問に答えていました。

一緒に徳島大学病院で働き、留学時期も一部かさなったりと、縁がある先生です。

ここまでの傑物とは思いませんでしたが、また学会などで教えを請いたいと思います。

風邪の症状でこられた場合、ほっとけば治る、という単純な考えを持っている医師はいないと思います(?)

私は、最も診断、診療、治療が難しいのは風邪の症状できた患者さんだ、と教え込まれました。

それは、本当に、ウイルス性咽頭炎、ならいいのですが、その後、心筋炎、心不全の合併などの重症疾患だった、またその他の結核をはじめとする、重症疾患だった、さらに来院時にお粗末な診断で気管支炎を見逃していた(これは後からわかる場合もあるので、偉そうなことは言えませんが、来院時にある程度予測できることでもあります)ケースがあるからです。

まずは咽頭の所見をきっちり見ないと始まりませんし、聴診技術は、心音や心雑音も大事ですが、一般診療では、肺雑音の方が大事な場合が多いけども、そういったトレーニングを積んでない、積めないのが現在のアナログな医療の限界です。 私の著書「恋する心エコー:実践編」には、心音だけでなく、肺雑音がなぜ発生するか、を音響のプロと話し合い、3つのパターンで執筆しています。

肺雑音が聴けないと、気管支炎や肺炎を見逃します。

肺炎は死亡原因にもなりますので、気管支炎の段階で治療をしないといけません。

心臓と肺の音を聴き、どういう音が聴こえたか、また現段階では問題ない、と基本私は言わせていただいています。

だいたい、年齢や基礎疾患を考え、3日経っても治りが悪かったり、熱は引いたが咳・痰がひどくなってきた、場合は既にウイルス性の感染症ではないことを念頭におくべきです。

70歳、平熱より1.3℃高い微熱、3日で明らかな改善がみられない場合は、予約にこだわらず、すぐに来院してください。

そこでお薬をださせていただき、飲み始めて3日目にだいたい改善することが多い、感覚がありますが、来院して3日後に改善がなければ必ず増悪しているので、その旨も話しています。 その場合も再度来院してもらって、再度の聴診、場合によってはレントゲン検査、採血検査 (初診でさせていただく場合もありますが)が必要な場合があります。

1円を笑うものは1円に泣く、という諺がありますが、「はい、風邪ですね、薬だしときます」で、適切な薬がだされていない場合、腹立たしく思います。 自分の身内がそうされたら、怒るでしょう? 私の患者目線です。 そういった医者は、風邪をみないで、研究室にこもって外来は専門外来だけをしてもらいたいものです。

 

その場で漕げて、動かない自転車、エアロバイクですが、これは大腿四頭筋の筋肉トレーニング(レジスタンス・トレーニング)にもなっているので、ウォーキングに比べると「エアロバイクは純粋な有酸素運動だ」とは言えません。 私も講演で、有酸素運動はエアロバイク、レジスタンス・トレーニングはゴムチューブ を使って、と説明していますが、病院ないを走ることもできませんし、地面がうごくウォーキング〜ジョギングマシーン(トレッドミル)は、事故が起きやすく心臓リハビリでは私は用いたくありません。 もちろん、閉塞性動脈硬化症(ASO)にはいい、とわかってはいます。

さて、最近自転車での通勤(クリニックに泊まることもありますが)を、再開して見ました。 かなり以前に買った「ロードバイク」です(とある店で在庫処分品を買いました) 自転車といっても昔は、ロードバイクは非常に珍しかったのですが今はかなり増えてきていますね。 ちなみに道路で速度規制が60kmまでなら、自転車は60kmだしてもいいのですが、原チャリは30kmです。 おかしな法律ですよね。 たしかにロードバイクは「速い」く走れるようにいろんな箇所が設計されています。 私でも40kmは出せます(非常に怖いですが)

本格的な夏になってしまうと暑すぎるので、室内での運動に変えようとは思いますが、、、

もともと、四国こどもとおとなの医療センターでは、循環器兼内科 を していましたので、抗酸菌治療もしていました。 本日の学会で発表されていた結核性心膜液貯留ですが、徳島大学病院勤務時は、非結核性の抗酸菌の心膜液貯留という非常に稀な疾患を担当していました。

私自身も心臓リハビリテーションの極意の一部を発表させていただきました。

私の発表は、目新しいものですが、心臓リハビリをしている施設では忘れがちに思える内容だと思います。

結核については、常に疑う、また疑わなくてはいけない疾患です。 レントゲンで異常がなくても、です。 肺以外でも結核はあるからです。 そのため私は「痰」の検査(場合によっては尿の検査)で、結核を否定することを必ず心がけています。

T-spotという採血検査がありますが、これは「感染しているかどうか」だけしかわかりません。 「結核を発症しているかどうかは分からない検査」です。 いい検査ではありますが、本来の使い方は呼吸器内科では、結核患者さん(あとでわかる)に接触した医療従事者などにする検査であるのが基本です。

心エコー検査は、M-mode心エコー→断層像エコー→連続波ドプラ→パルスドプラ→カラードプラ→組織ドプラ→(角度依存性)ストレインエコー→2Dスペックルストレイン→3Dエコー、となっています。

2006年ですが、月刊「心エコー」に、ストレインエコーなどがある時代に、「M-modeは必要か?」という執筆依頼があり、「古くからのM-modeならではのサイン、またその特性(時間が横軸で経時的な評価が可能))から必要」という内容を書かせていただきました。 実際に現在も使用している施設しか私は知りません。 さて廃れた技術としては角度依存性ストレインエコーですが、2Dスペックルストレインと3Dエコーは今後も発展していくと思います。 弱点として、2Dスペックルは機械が自動的に心機能を測定する、のですが、綺麗に描出することができなければ、人間の手で心筋を同定するため「ズレ」が生じることと、研究のための研究・診療の域を脱していない段階だと思います。 3Dエコーはフレームレートといって画像処理に手間取り、パラパラ漫画のようにエコーの画像は見えるのですが、その枚数が圧倒的に少ないため、それが弱点ですが、私は弁膜症・心臓腫瘍などの治療には欠かせない存在になってくると思います。 3Dスペックルトラッキングも実用化されると思います。

心臓はポンプとして収縮するときに、心臓の先端部は体の下から見ると時計回転、心臓が体についている根元部分は反時計回転のねじれをしながら収縮しています。 そして拡張して血液を吸い込むときは、まずは収縮した勢いを利用したエネルギーを使わない「recoil」という「ほどけ」で吸い込み始め、その後収縮するよりも何倍ものエネルギーを使って「suction」、吸入することで血液を取り入れ、最後に左心室の硬さ、「stiffness」によって、血液が受け取りやすいかどうか、が決まります。

心エコーをしながら、「見た感じ」(実はあとから画像さえデジタルで取り込んでおけば、当院の最新のエコーなら2Dスペックルは得意とするところです)でねじれが悪くなってないか、左心室の硬さはどうか、などを総合的に判断して「レポート」を電子カルテに書くようにしています。

徳島大学の心エコー班50人(これ以上は増えません。歴史もあり私は47番目の末席です)がいますが、それらの先生方の協力もあり、弁膜症の程度(grade)をしっかり書くように、見るようにしています。 それに照らし合わせると、正常範囲のものが、経過観察が必要な「軽症」と根拠なくされていたり(徳大では軽症、とした場合、僧帽弁の場合は経過観察が必要、と意味します)するのを見かけます。 各施設での取り決めがあるので、一概にどれが正しいかがわからない、というのが現状の問題点かもしれません。 ただ唯一いれるのは、医師が心エコーを必ず自分でとる(たとえ技師がとったあとでも)というトレーニングを徳大では必ず関連病院でもします。 技師の意見をそのまま患者さんに伝えないのはおかしい、と思う次第です。