当初は座学だけで、セミナーに行きまくったり、学会に行ったり、機械販売店の話を聞いたり、香川では研究会がなかったので、愛媛の研究会に行ったりしながら、四国こどもとおとなの医療センターで開設を入院・外来でしました。 運よく心リハ経験者の方を無料で週に1回来てくれることもあり、非常に助かりました。 心リハには、実は整形外科の知識が絶対に必要ですし、整形外科医にチームに入ってもらい、非常に有意義な心リハをすることができていました。 また、離床といって、「ベッドからお尻が離れる」ところ、つまり急性期の患者さんにマンツーマンで心リハをしていたので、著書である「恋する心エコー」の中の「心臓リハビリテーション」の章では、慢性期でも非常に状態が悪い方に対する心リハの仕方、を執筆することができるレベルにありました。

さて、人生半分くらい生きてくると、子供や20歳くらいの若者に、「こうしたら良かったよ」と言うことができます。 これが経験というものです。 失敗から学ぶことは多くあります。 成功から学ぶこともありますが、成功するためには、準備を万全にすることから始まるので、逆に成功しなかった場合が「おかしい」「何がわるかったのだろう」と勉強になるわけです。

私の知り合いのドクターで、一緒に働いていましたが、漢方薬など使ったこともない人が、開業時に「漢方科」を標榜していました。 これは正直、患者さんを騙す行為になるのでは? と私は思います。 心臓リハビリもそうで、漢方や心リハのセミナーは月に何度もあり、それを聞けばある程度というか、結構理解できて、開業もできるレベルになるのだと思いますし、勉強して続けていれば経験も増えてくるので、専門となるかもしれません。 ただし、カテーテル治療などと違い、慢性期の落ち着いている人なら、害になることが少ないから、ということがあるからです。 しかし急性期の治療(これは漢方も心リハもです)の経験がない場合、いくら落ち着いている患者さんに対しても、「このサインは悪くなる傾向」という経験がないので、見逃しがあるのでは? そういった場合、悪くなった時にどうしているのだろう、と思います。 なので、学会でも、きちんと責任をもって最低2年の経験をしないと、標榜は自由なので取り締まれないけども、できるだけ避けてください、という注意喚起がなされているのです。

これは、私が研修医で京都赤十字病院の糖尿病科で研修をしているときに、上級医から教わったことであり、実際に外来で外食が多い人にそういった説明をしていました。

あれから大分たちます。 デフレなどもあり、外食産業も変わってきていますので、上記が全て正しいとは思いませんが、「だいたいあっているな」と今でも感じています。

当院では、常勤の管理栄養士の栄養指導がきけますが、「忙しくて」という人に限って外食が多いものです。

そういった方には、「払った金額がだいたいのカロリーなので、○○円までに1日した方がいいですね」

ということもしています。

医師の外来のテクニックですね。 詳しく言うよりも、的を得ているし、金額と同時に「本当かな?」とカロリーも患者さんは気にして表示をみることになる、ということです。

頸動脈エコー、心臓超音波検査は、当院では、超音波専門医(高知では稀な専門医資格です)の私が責任をもって検査します。 他の病院(大きなところでも)では、技師がとることが多く(徳島大学では絶対に技師がとったあと、レポートだけみるなどありえず、また医師が画像をチェックするだけでなく、医師がダブルチェックとして心エコーを再度していました。 少し高知にきてカルチャーショックをうけています)、そのレポートだけをみて医師が判断することがあるので、検査をされた技師の上手下手で「貴方の」運命が変わります。 これは検診でもそうです。 下手くそにあたってしまえば大変です。 また検診では動脈、膀胱、前立腺をみないので、例えば、PSAという前立腺癌の採血をしたときに全く参考になりません。
当院では検査結果を私自身が施行したものを、画像を一緒にみながら、理屈を説明し、60歳の方でも、血管年齢は70歳ですね、と、心臓に関しても説明が可能です。

どうせ検査をうけるなら、丸投げの検査ではなく、本当の意味での「医師が責任をもつ」検査が重要と思っています。

また、医師がとるクリニッックもあるでしょうが、心エコーをしたこともない医師がとる心エコーは信用してはいけません。 血行動態に詳しくなく、アンチョコのマニュアル本をみているだけの開業医が実際にいますのでご注意を。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる方、「昼間眠い」「熟眠感がない」「いびきをかいて、息がとまっていると指摘される」「溺れたような、息苦しい夢をみる」などが症状で、ほっておくと血管疾患や糖尿病などの悪化につながります。 痩せている方でも起こりえます。

当院ではまず簡易型の検査キットをご自宅の玄関先でご説明させて頂くか、ゆうパックで説明書付きのキットをお渡しし、1日ではなく、サービスで2日間(これには理由があり、1日だと計測に失敗する事があるので)検査をします。

中等度以上のSASがある場合、1泊2日の詳しい脳波までをとる検査をすると、実は重症で治療が必要、ということが多いのですが、実際は入院まで出来る方はいないのが実際のところだと思います。

しかしこの度、入院しなくても、それも2日間(嫌であれば1日間)の、入院に準じた検査を自宅でして、解析は専門業者(医師含む)がするようにしました。

まずは簡易型の検査が必要なのですが、もし他院で入院を勧められたりしていたら、ご相談ください。 その結果があれば、当院で詳しい検査をすることも出来ますし、今まで当院で入院を勧めた方も、受ける事ができます。

ビジネス本では、「何でもトライしてみて、上手くいけばノウハウが分かってくる」という意見があります。
イチロー選手や三浦知良選手のような、一つのことだけをするのは、限られた天才のみ、という意見でした。

これは企業の企画ではいいかもしれません。 ただ、医師という職業は、「職人芸」だと私は思っています。

見切り発車で、したこともないことを「専門です」は論外で、ノウハウを学ぶ、、、患者さんを実験台としか思っていないように感じます。

医師にはその人の歴史があります。 さぼった医師が開業しても、何もできないので、流行りのものに手をだして、研鑽もしてないのに「専門です」といって、続けて行けばいずれ専門になる、という考えには賛成しかねます。

病院などで、多くの他の医師や重症例を経験しないと、応用がきかないからです。

心臓リハビリテーションは、循環器内科を開業するときに、実に簡単に「専門」と標榜することができる流行りの治療法ですが、本当にその医師が、開業する前に専門としていたかどうかが今後は問われると思います。 いくら期間がながくなっても、本当に軽症の人しか治療してはならないと思いますし(経験がないから)、軽症の人のなかにも重症が潜んでいる事に気づかないからです。