私は発表や講演だけでなく、「論文をかく」ことを大事にしろ、と言われてきました。
この教えのお陰で、大学病院や医療センターから、診療所での勤務になっても論文をかく習慣がついています。

多い時は1年に8枚書いて、掲載された事があります。
今まで書いた論文のうち、診療所勤務時に書いた、

心臓リハビリテーションをうけている糖尿病をもつ患者さんで、「心不全の傾向があるひとほど、有酸素運動をしても血糖低下の程度が低い」という論文(英文)が、Journal of Diabetes & Metabolismという一流雑誌に紹介される事になりました。
発表や講演は誰にでも出来ますが、論文を書く事は、時間もかかるし、心リハならそのことに深く精通してないと掲載されません(もちろん雑誌の程度にもよるのですが)
「論文を書いた」→「どこの雑誌ですか?」と聴いてみるのも良いかもしれませんね。 私は留学後、日本語で論文を書く事が逆に難しくなり、英語でしか書けなくなってしまいました(書き方が、実は英語の方が論文向きなのです)
さらに、一流雑誌への投稿は、なかなか時間がなく、思うような雑誌には掲載されないのですが、今後は以前のように一流紙への掲載を目指したいと思います。

開業して10ヶ月が過ぎました。 当院は水曜日の午後が休診で、金曜日の午後は私ではない医師が診療を担当しているのですが、私はその時間は、福田心臓・消化器内科で、高知で初めて外来心リハを開設・運営したものとして、心リハ、検査、診察にいっています。 この金曜日は違う医師に心リハを任せて、学会に参加しました。
私にとって開業するまでは、演題の発表がない出席、は考えられなかったのですが、開業後は演題が採択された場合、診療時間内であれば取り下げを行わなくてはいけないので、演題の発表を学会では1年弱していません(今後はしていくつもりです。講演会はもの凄い数をこなしているのですが、、、)
医師の勉強方法ですが、大きな病院だとカンファレンス、学会に参加、病院図書にある医学書での勉強などでしょうか? 開業するとそういったことがなくなるので、サボる医師は能力がのびない、と言われる所以です。 そういったことが絶対に私は嫌なので、香川の医療センターで働いている時から、「技術」の習得はもちろん、開業後の「勉強方法」も考えていました。 医学書をよむ事、厳選した医学雑誌や英文の論文を定期購読し(英語は疲れますが)よむ事、そして、相談出来る先輩・同僚・後輩に直接聴く事、が重要だと思っています。 また年に8枚論文を雑誌に載せた事がありますが、今は年に1-2枚程度です。 こういった論文を書く事は、勤務医はもちろん、開業医ほど必要なのではないでしょうか? ただ単に、毎日の診療を勉強なく続けるのは、患者さんに失礼だと思っています。
「月刊 血圧」のインタヴューでも話した事ですが、私はいずれ開業することが分かっていたので、研鑽する病院の業務は当然こなし、いつ開業しても良いように逆算して研鑽していたので、人の倍働いていたと思います(相対的にです。 もちろん私よりも働いている人もいました。 そういった環境でしたから、勤務医時代にサボっていると、どうしようもないと思ってしまいます。 開業後に勉強しようとしても伸びしろは少ない、と現在感じています)
あながち、そういった方が、スキマ産業的なことで一発逆転を狙うのは、もはや医療ではなく、医療を大義名分にした、単なる金儲けですね。 そういった医療があっている方や、そういった医療に魅力を感じる方もいるかもしれません。 私にとっては不思議な事ですが、これも事実なのです。

先日、右の頸動脈に雑音が聴かれた方がおり、超音波検査をすると、50%狭窄(血液が通る部分が半分になっている状態で、手術の適応はない)が判明しました。 脳梗塞などの予防に、EPA/DHA製剤や抗血小板(血液をサラサラにする薬)が良いこともあります。
さて、私は師匠から必ず頸動脈の聴診だけでなく、視診、また頸「静」脈の視診までをみる訓練をすることを義務づけられ、その見方のコツを、循環器専門医が勉強する雑誌「Heart View」や「循環器」、「月刊心エコー」に寄稿しています。
私にとっては、頸部の聴診は当たり前になっていることや、短い診察時間で頸部の聴診をしないことは、患者さんにとって勿体ないとすら思います。 問題がなければそれで良いし、その後の経過で雑音が聴かれることがあれば、異常事態ですので検査が必要です。 胸の聴診で心臓と肺の音だけを聴くのは当たり前(それもしない方もいますが)で、さらに聴き方も上手な人と下手糞な方がいるのも事実です。 当たり前ですがトレーニングをしなければ上手く聴く事はできません。 私は日本でもトップレベルの聴診技術と心エコーの技術をもった、福田信夫先生とマンツーマンでトレーニングを5年間させていただきました。
ときどき、「首に聴診器を当てる先生は名医って週刊誌にかいてたよ」と言われる患者さんがいますが、私にとっては「普通」であり、なぜ頸動脈の音を聴かないか、が疑問に思う程です。 そこから得られる情報は計り知れないからです。
同じ血圧の薬をもらうにしても、聴診の技術がイマイチだと、支払うお金は同じと考えると、自分なら上手な人に聴いて欲しい、と思い、修行を積んだ次第です。
ちなみに、現在ではトレーニングするとこもできない、心尖拍動図を記録していました。 このことで心臓の硬さが分かります。 触診や聴診で代用できますが、新鮮拍動図で答え合わせが出来ない最近の医師には難しいことかもしれません。
どんな職業でもそうですが、教える側、教わる側の相性以上に、情熱があるかないかが重要と思います。
聴診のことについては、私が34歳と36歳のときに出版した「恋する心エコー」のコラムに詳しく書いています。

新聞などをみていると、ピロリ菌がいなければ、まるで胃カメラをしないでいいかのように言う(医師の中にも?)方がいますが、じゃあ酒を飲む方の食道がんのリスクを考えているのか甚だ疑問な論調の人がいます。

胃カメラは胃だけを見るものではありません。酒飲みはそれだけでも、胃カメラで、食道を毎年見てもらった方が良いでしょう。
私は必ず、声帯と喉頭をみて、おかしな所見があれば耳鼻咽喉科に紹介するようにしています。 実際に声帯癌、喉頭癌の方をみてきたので。
最近は、ピロリ菌と胃がんの話ばかりで、そこからあまり伸展がないような気がします。 声帯を必ずみること、喉頭もみること、と教えてもらってない方はいないと思うのですが、、、
あと「胃は丈夫だから」といって検査を受けない方は過信しすぎかもしれません。 胃が丈夫な根拠がないからです。 痛くない時に、上手な人(挿入も癌の発見率も)に胃カメラをしてもらうのが一番いいのです。 確かに麻酔して寝てする胃カメラは楽かもしれません。 しかし誤嚥や麻酔による心臓機能抑制があるため、私は胃カメラごときで麻酔はゴメンです。 自分が自分にされたい、と思う程カメラの修行や勉強はしてきたつもりです。 実際は私は自分の胃カメラは妹にしてもらい、父親、母親、妹、その夫も私が胃カメラを担当します。

心臓リハビリテーション(心リハ)をしているということは、保険がきく適応の心臓病を持っていることになります。 そのほとんどが生活習慣病です(なかには全く関係ないものもありますが)
心リハは「すべてひっくるめた治療」という「包括治療」では決してありません。

心リハと「サムスカ」という薬は、循環器内科の医療を劇的に変えた素晴らしい治療法・薬剤ですが、私の心リハは、心臓病を治して、血圧、糖尿病をコントロールして、心リハをすれば良い、というものではありません。 「がん検診」または「がん検査」を念頭においてもらうのが、私の特に糖尿病を持つ「心リハ」をしている方へのメッセージです。

循環器内科医は癌を(ほとんど)みませんし、治療にも参加しません。 なので、クリニックで心リハや血圧、血糖値をして、大病院で年に1回詳しい心臓の検査をするのは、患者さんにとって一種の安心感を与えることになって良いのですが、肝腎の、「糖尿病は癌の確率を上げる」ことがやっと周知されてきました(私は10年以上前から口酸っぱく上司の先生から言われ、胃カメラ、腹部エコーもしていました)
私の解析では、心リハをしている人は、安心してしまって、逆にがん検査が疎かになるし、かかっている循環器クリニックが検査が出来ないのであれば、自分の身を自分で守るしかありません。 ちなみに私は必ず「がん検診を疎かにしないように」と声をかけるようにしています。 とくに過去にピロリ菌がいた人や、糖尿病がある人で以前所見があった人は、胃カメラ(バリウム検査は意味がありません)、腹部エコーを責任をもってします。 異変があれば大病院に紹介し、100人ピロリ菌に感染した人の胃がん発見率が1.5%と言われてますが、開業後、連続80人で4人の方の胃がん、食道がん(全て早期で良かったです)を指摘できました。 そして、そういった方のなかには、福田心臓消化器内科で、私が心リハを行っている人もいます。 心リハをしていれば、それだけになってしまい、お金もただではありませんから、時には心リハよりも大事なことがある、と言う医師にかかりたいと私自身がそう思います。 悪性腫瘍について、人任せな循環器内科クリニックにかかるのであれば、自分の身は自分で守るしかありません。 ご注意を!

※ちなみに、ここ最近、診療時間外の私有地への不法駐車が多く、中には常習犯の方もいて、警察の方がおり、オープンスペースでないことを意味するポールと簡易型のプラスティック・チェーンをしているにも関わらず、駐車をする、当院には関係のないモラルのない方もおられます。 この場合、現行犯なら不法占拠罪で立件されます(自分の庭に車を止められると、危険な状態であることから立件されます) 私は歩行者のスペースを守るため、交通量のことなどを考え、他のクリニックのように金属製のポールやチェーンをしなかったのですが、常習犯は「お前も商売してるんだから、サービスしろ」と言われ悲しくなったこともあります(不法駐車している方に、言われたのです) 私は商売はしていません、医療で人の役に立ちたい、と思っているだけです。 地域密着の医療と不法駐車を容認することは全く筋が通ってないと思います。 当院に通院されている方には大変申し訳ありませんが、通院されてない方で、一部のモラルの欠如した方のため、仕方なく、ポールを立てることになると思います。 不法駐車すると、車が出られないこともあるかもしれません。 この文章を読んでおられる方には当てはまらないと思いますが。 何十回も止めている方が数名おられました。 中には診療時間内に止めている方もおり、これは営業妨害になりますので、警察を呼び、立件してもらうことにしましたが、会社の上司が謹慎させるから、ということで立件を見合わせることにしました。 ちなみに、私の車の真後ろに止めた車があり、私はタクシーで移動をすることになりました。 診療時間外は一宮きずなクリニックの敷地は私有地です。 人の家の庭に車をとめる、また「駐車禁止」と書いてある真ん前に無断駐車、また普通に考えて駐車してはいけない、と思うのが正常の人間の道だと思っていたのですが、そうでない人はたくさんいるようで、残念です。