ストイックに生きる人もいるかもしれませんが、少数に思います。 現代社会において怠ける=ストレスから身を守る とも言えます。

怠けるから病気になる、というのはイコールではないと思っています。

ただ、成人病の多くが食生活の乱れや運動不足からきていることは証明されています。

医療機関に求められているのは、ストイックに生活をすることを強要するのではなく、ほんの少しでも生活習慣を変える力になることだと思います。 それで得た成果は成功体験となり、他の習慣も変わってくる人も多いからです。

また、どうしても「このままでは脳出血になる」確率が高い場合や、癌検査をしないことが非常にリスクである、という場合も適切なアドバイスをおくれる、というのが、かかりつけ医だと思っています。 循環器、消化器、糖尿病などの診断、治療などをhigh levelで行えるように医療機関としてもアップデートしていく必要があると思っています。

高知県に長年すんでいる方はご存知のごとく、もう一段階寒くなることが予想されます。 血管が熱を逃がさないように交感神経の興奮などで収縮し、血圧がより上がる時期です。 年齢や持病で目標血圧が人によって異なります。 最もいい薬で治療をすることが望ましいのですが、あうあわない、もあるかと思います。 私の方からメリット・デメリットを説明し、血圧については二人三脚で治療を行なっていきましょう。

現在15時ですが、感染症の方をみる部屋(当院医師、看護師は防護してその部屋に出入りするようにしています)が埋まっています。 本日これからの時間は感冒症状や腹痛の患者様を診ることができません(その部屋の換気や消毒をするためです)

ご了承ください。

最初に断っておきますが、血圧の薬は大きく分けて2つに分けられるなどということは現代において絶対にありません。 様々な機序によって血圧を下げます。 細胞、分子、組織レベルでの降圧薬(血圧を下げる薬)の付加価値(血圧を下げる以外の人体にとって有益な効果)を詳しくしると、2つに分けられるという答えにはならないはずです。

血圧は心拍出量(1分間に心臓が拍出する血液量のことです) × 血管抵抗 で決定されます。

「きつい」というのが、「血圧を下げる力」、を指すなら簡単です。

常識的に日常臨床で使用するなら、「カルシウム拮抗薬(アムロジンなど)」が血管を拡張させる力が強いため「きつい」というか、「より確実な効果」が得られる、となります。 最も「きつくない」のは、尿にNaを排出する「サイアザイド系利尿剤(ナトリックスなど)」や、心拍数を少なくして血圧を下げる「β-blocker(メインテート」です。 中間にARBという「アンジオテンシンII受容体拮抗薬(〇〇サルタン」が入ります。

最初からサイアザイド系利尿薬やβ-blockerを使うことはまずないでしょう。 それは確実性がなく、副作用として、腎機能低下、尿酸高値、Ca高値、喘息の悪化、閉塞性動脈硬化症の悪化(医学生でもしっている副作用です)がありえるからです(全員に出るわけではありませんし頻度は少ないのですが、他の降圧薬に比べて副作用の頻度が高く血液検査などがより重要になってきます)。

心臓・腎保・血管護作用が最も強いARBで血圧が下がれば予後(長生きの度合い)が高くなることが証明されている(Ca拮抗薬でも証明されていますが、ARBには叶いません。ちなみに、高血圧だけを考えると利尿薬はあまり推奨されません)現在において、特別な事情を除いてARBかCa拮抗薬から開始するべきです。 論文を読むだけでなく米国留学時に基礎実験でARBのもつ動脈硬化(心臓を守る動脈や腎動脈も含む全ての動脈)を予防する効果を実際に「見て経験」したからより強くいえます。

「きつい」「きつくない」は副作用や臓器保護作用を考えると、ARBやCa拮抗薬を少量で使用するなどが「効果がありきつくない」と言えます。

ちなみに今後の降圧薬の主役は「エンレスト」という、ARB+サクビトル(心臓病で入院すると1週間は点滴する薬が飲み薬になったもの)になるでしょう。 これは心臓病の入院治療をより重症な患者さんで経験しないと使いこなせない薬だと思います。 またミネブロという薬もARBのような効果をもちつつ、コルチゾールという人間が自分でだすステロイドホルモンを介する血圧上昇を下げてくれます。

採血結果だけでなく、心エコー検査ができないと、昨今の降圧薬を使いこなせず、10年以上前の薬をずっと飲み続けることになるのではないかと危惧しています。

そういった選択肢を詳しく説明できる専門医がいないのが現状の問題だと思います。 まずは提案をできないと、患者さんも新しい情報がはいってこないからです。

オリオン座の左上がベテルギウス、リゲルが右下になります。 夜空を見上げて星座を観察すると平面のように見えますが実は奥行きがあります。 2つの星は350光年離れているので、「近そうで実は遠い」ということです。

医師と患者さんも診察室ではそうなっていないでしょうか? 近くに座っていても実は話している内容が医療用語だけで分からない、ということは、必ず存在すると思います。距離をゼロにすることは不可能だとは思います。 少し前はTV番組、最近は漫画、アニメなどでも医療知識が誰もが知り得るところとなりましたが、実際のところはこの10年変わってないな、と思う次第です。 それは医療の進歩が早く、さらに細かくなり、またどうしてもそのようになるのかが、解明されないまま進歩を続けているからだと思います。

ではどうすればいいか? それは医師がまずそういった事実を自覚することからはじまります。 その上で、最後に患者さんが理解できたかどうかを確かめる努力をするべきです。 途中の経過としては、「医師は知識力」を高めて、「真実を例え話などで分かりやすく説明」することだと思います。
一度の説明で分からないこともあるはず、というもの医師は理解するべきです。 なので、次回の診察時に質問がされやすい雰囲気を作ることが重要だと思っています。