先日、とある学会で座長を務めてきました。
ありがたい役目ですが、正直、なかなか骨の折れる仕事です。

自分の発表と違って、座長というのは、人の発表を見て、時間を守らせて、質問が出なければ自分で話題を振って――
言うたら、会の流れを裏で支える黒子的な存在です。

ただ、今回ちょっと思うところがありました。
発表の内容が、どうもピンとこない。
せっかくの場なのに、「これは誰のためになるんやろう」と思ってしまうことが続きました。

でも、それを経験して気づいたんです。
自分もいつか、どこかで、同じように“誰のためにもならん発表”をしてしまっていたかもしれん。
だからこそ、これからは――
学会でも、診療でも、「相手に届くもの」「役に立つこと」を伝える側でおりたい。

それは、普段の外来でもまったく一緒やと思っています。
患者さんが「わかりやすかった」「来てよかった」と思えるように、
一つひとつの診療に、ちゃんと中身を込めたい。

今回の座長経験は、「自分が場のレベルを引き上げる側に立たなあかん」と改めて感じるきっかけになりました。

学会でも、診察室でも、
ちゃんと伝わる言葉と態度で向き合っていきます。画像が生成されました

 私は医療を「ドラゴンボール」で例えると、悟空が気を感じ取るように、聴診器という拳で患者さんの病気を知る修行をしてきました。 しかしそれだけではフリーザのような強敵には通用しないことも同時に分かりました。

だからこそ私は、心エコー図検査、腹部エコー検査、などの各種エコー検査や、胃・大腸カメラ、嚥下ファイバーでの嚥下評価、という かめはめ波、界王拳などの必殺技を駆使するための修行も重要視してきました。

そういった、問診や聴診などの身体所見に加え、検査の精度を高めることで、フリーザが変形して強くなる前にやっつけることが、医療では、こと開業医では大事だと思います。 悟空のように相手が強くなるのを待つのが正解ではありません。

さらに最もドラゴンボールの世界で大事なものは、最強の技、ではないことも医療の世界ではあります。 患者さんの不安を和らげ、活力を回復させる“仙豆”だと思います。

私は医師として、検査だけの技術者(戦士としての戦闘力)だけでなく、仙豆というものの力をより発揮できるように、修行・研鑽していく必要があると思っています。

大変申し訳ありませんが、院長が研修で県外に行く日になったので、福田心臓消化器内科の吉村先生が外来を担当してくださいます。
何卒ご容赦のほどお願い申し上げます。

当院でもすでに使用されている方もおられます。 ボルタレンとジクトルテープの成分は同じで、ジクロフェナクナトリウムです。
主な違いは ボルタレンは内服薬で、ジクトルテープは貼る製剤 ということです。

ボルタレンは当院では使用するとなると、25mg製剤1錠を食後3回で1日量が75mgになります。 ジクトルテープは1日貼って同様の75mgになります。
(両者150mgも可能です。なのでジクトルテープは1日2枚でも問題ありません)

副作用ですが、胃腸障害と腎障害について例えると、

胃腸障害は「スマホの保護フィルム」に例えてみます。

内服薬は直接胃に到達して、スマホの保護フィルムを研磨剤のように剥がしてしまい、スマホ画面に傷をつけるように、胃酸によって粘膜が剥がれた部分に胃潰瘍や胃腸障害の原因になりますが、ジクトルテープだと胃を介さないため、胃の保護フィルムを剥がすことはありません。 内服薬は血液中の濃度が高まる時間帯があるため、胃への血流も悪くなってしまいますが、ジクトルテープはそのような副作用が少ない利点もあります。

腎障害については、「温泉」で例えてみます。
ボルタレンはNASIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs:非ステロイド性抗炎症薬、ロキソニンも同じです)という薬剤です。 温泉で例えると、排水ポンプがキュッとしまってしまい、濾過されにくくなり、老廃物が温泉内に溜まってしまい腎障害が起こりやすくなります。 さらに新たに給湯もされないためより濁ってしまいます。 ジクトルテープは排水ポンプを閉めない濃度なので濾過に問題なく、また外部から温泉が少し入るイメージで濁りがなく、血流(綺麗なお湯)が足されるので、腎障害が起こりにくい、ということになります(わかりにくいかもしれません、申し訳ありません)

最後に内服剤では、胃薬が必要になります。 一緒に内服しないと胃腸障害が起こる報告もあります(Primary gastroduodenal prophylaxis with omeprazole for nonsteroidal anti-inflammatory drug users(1998年の古い論文ですが、ガスターやムコスタよりもNASIDsを内服するときの第一選択となったガイドラインの根拠となった論文です。 これ以外にもガスターやムコスタではなく、PPI(ネキシウム、パリエット)の方がいい、という報告があります))
ちなみに私の調べた範囲では、Vonoprazan(タケキャブ) prevents ulcer recurrence during long-term NSAID therapy: randomized, lansoprazole-controlled non-inferiority and single-blind extension study(2018年)という報告があり、ネキシウム、パリエットとタケキャブはNASIDsと併用して胃腸障害と同様に抑制した、という報告もあります。

完璧に薬ではないものの、痛み止め=内服薬 の イメージが変わってくる時代になってきそうな薬剤です。

わかりにくければ、また当院で聞いてください。

ロトリガは商品名で、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(イコサペンタエン酸)と言うω-3系多価不飽和脂肪酸が合わさった薬剤で、エパデールはEPAのみのω-3系多価不飽和脂肪酸です。 サプリメントとしても一般的に売られていますが、保険が効かない、有効成分が少ない、などで高額になってしまいます。

頸動脈エコーでは、動脈硬化を示す、内膜中膜複合体(血管血液と接するの一番内側の部分の厚さ)を6ヶ月内服することで厚みを減らすことが報告されています(2015年の論文です)。
Does Omega-3 supplementation decrease carotid intima-media thickening in hemodialysis patients?
上記は透析患者さんを対象としており、動脈硬化の進行にとっては不利な対象であるにもよらず、平均0.14mm厚みを減らしています。 つまり頸動脈エコーをするときに内服をしていれば、厚みが増えている、と言うのは検査者の測定の仕方が悪い、可能性が高いと言えます。 当院でも6ヶ月後に測定してみると大体0.1mmは改善しています(ただ元々年齢不相応な厚みであった人が多く、年齢相応まで改善すれば、それが維持できていると言う感じです)

さて、EPAと違ってDHAは心臓にも親和性があり、不整脈を防いだり、心拍数を安定化(心拍数を下げる)させることがわかっています。 ちなみに心臓リハビリテーション中、つまり運動中の心拍数を下げる、報告は2015年に世界で初めて私が論文にしています。 また2018年には運動中でも心室性期外収縮を減らしたことを世界初で発表しています。

どちらがいいか、は患者さんによって違いますが、心臓を専門とする私にとってはEPA単独製剤よりも、DHAも配分されているロトリガを説明した上で処方する機会が多い結果になっています。

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