全てのスポーツの中で唯一審判がいないのが「ゴルフ」です。 自分に厳しくないと駄目、ということで、医師向きです。 勝負する相手は「地球」ということもみりょくですよね。 私は留学中やその前後にしていたこともありますが、上手でないのでしませんが、スポーツ全般において、自分との勝負と思ってしまうとその時点で負けが決定すると思っています。 あくまで「自分は味方」です。 自分との勝負といっている時点で楽な方向に向かっているように感じるからです。

ゴルフが趣味だけど、心臓病を持っているから、といってしない方もいますが、ゴルフは途中で飲むビールをやめ(ひかえ)、水分をとれば、非常にいい心臓リハビリにもなります。 どのくらいしたらいいか、を決めるのが、心リハです。 例えば、ハーフに今はしてください。 移動はカートにしていください、脈を測定しながらプレーしてください、など具体的なことが言えます。

そのためにゴルフを経験した(これからもするつもりですが、やや時間がありません)のです(留学中は18ホール回るのに1500円(日本だと1万円以上かかりますよね)だったので、結構色んなところにいっていました。

私たちは、相手の立場に立って物事を考えるように、と教えられて来たと思います。

それも正しいけども、人によっては基準も違うでしょう。

私は3つの原則に基づいて行動することにしています。

自分の中で正義なのかどうか。 現時点か少し未来での社会で最適かどうか、相手の立場にたつ

の順番です。 なので、心臓リハビリテーション学会が作った、訳のわからない「医者が最初にみて、最後にみる」のが望ましい、は無視しています(高知県で唯一の学会の評議員医師なのに、です)。 自分はリハビリテーション中に診るのが一番良い、と思っていますし、安全だと思っています(ちなみに学会は、リハビリ中はどんな大きな建物でも医者が建物内にいれば行って良い、としています) 治療においても現時点ではもちろん、少し先を見据えた治療を心がけ、温故知新も忘れずに治療すると、抜けがなくなる、と思っています。

医療の現場において相手の立場に立つ、というのは説明が上手かどうか、メリットばかりを話してないか、デメリットを話したうえで、それを大きく超えるメリットを提示でき、その上で、患者さんの意思を尊重しています。 私がいくら胃のバリウム検査は全く意味がない、と言ったところで、患者さんが意味がある、と思って入れば胃カメラはしないほうがいいでしょう。 ただ、胃カメラで超早期の食道がんを先月指摘でき、癌がなかったことにできる治療が受けれる人がいるのも事実です。 最初から「うちは循環器だから、検診は自分でしてね」は私の中の正義ではありません。 なので、当初消化器内科医だった経験でずっと胃カメラ(大腸カメラも)、腹部エコー(これも私が考えた膵臓の尾部を診る方法が最新のエコーの一種ではなんと取り入れられています。 私は7年以上前からこのことをマニュアルでしていました。

押し付けがましい文章になってしまいましたが、私の「現時点」での行動原則です。 医療以外でもなにかしら、自分の行動原則を持つことは、誰かの影響、書物を読み漁る、経験、で身につけることができると思っています。

Stop SU剤、を掲げて、当院では、グリミクロン、アマリール、ダオニールを処方している患者様は一人もいませんが、コントロールは上等です。 中には当院では心臓のことでかかっていて、他院で糖尿病を診られている方で、HbA1cが6.1%なのに、グリミクロン(その前はアマリール)が今も出されている方が一宮地域では非常に多い! 20年前の処方です。 低血糖のリスクや、膵癌の可能性をあげる危険な処方です。

インスリンを当院では外来で導入(指導して自分で自宅で安全に注射できるようにすること)をしています。

「インスリン治療になったら、一生か」と思っている患者様は当院で初めて糖尿病でインスリン治療が必要な方はほぼ全員、インスリンを離脱でき、内服薬でコントロールできています。 それどころか、治ってしまい、薬がなくなる人もいます。 10人中8人が当院初診の方で、他院でSU剤で治療され続け、膵臓がボロボロになった状態で来た人はインスリンが一生必要になるケースがあるのが10人中2人という状況です。

確かにグリミクロンを超低量なら、それほど問題ない、という専門医もいることも事実ですが、専門医でないクリニックがHbA1cが6.1%で、いくら低量でも、許される処方ではありません。

私は池上徹さんの本が大好きで、8割とまではいかないが、最初の方は本屋に行って新刊が出るのを楽しみにしていた。 そのなかでもオススメは「宗教がわかれば世界がわかる」である。 この本が著者のベストなのでは? とすら思えるほど何回も読み返した。 宗教とは縁遠い日本人だからこそ、敬遠しがちな題名だが、内容は非常にわかりやすい。 例えば、「インドでIT企業が強いのはなぜ?」 私を含む多くの方が、インド人は数学に強いから、や、99×99までの計算が暗算できるから、と思いがちだが全く違う。 氏によると、「カースト制度」によってインドでは親の職業を必ず継がないといけない決まりがあるが、それでは一生貧乏で食っていけない。 新しい職業である、インターネットの世界にはそのカースト制度が通用しないため、貧乏脱出のためみんなが勉強して企業に競ってはいるからだ。 優秀な人材がIT企業に集まりやすい、ということになる。

さて、私は今、本を執筆している。 目的は非常にわかりやすい心エコーの本、だ。 だれが読んでも理解できる、という実戦向きの本を書くために四苦八苦している。 本を書くにはやはり出版社からの制限もあるし、「私らしさ」をだすために、知っている人はあまりいないかもしれないが、物語調で、しかも文章にしかけを作っている。 難しい本を書くのは結構簡単だと思う。 しかし誰が読んでも、なるほど、と初学者からある一定の、さらにいえばエキスパートの方でも気づかなかったことまで書こうと思っているから難しい。 私はおそらく、急性心筋梗塞の治療直後、48時間後、1週間後、3ヶ月後、1年後のエコーと右室カテのデータを世界で一番多く持っている。 特に治療直後のデータで病院内死亡率を回避するための因子、は私の「甲」の学位論文となった。 全例余すことなく、24時間365日(閏年は366日)、夏休みも半分にしてデータをどんな夜中でもとりまくった。 最終的にはICUの看護師がエコー機器を準備してくれるまでになった。 その経験や、日本でも超有名な心音、心エコー図に詳しい上司の先生とマンツーマンで1日8人心エコーをしていた。 そこで言われたことは全てメモした。 その経験を活かしたい、と思う次第である。

宮本武蔵の「五輪書」に記載されている言葉だそうです。 勝負事には、相手の体だけでなく、「心」も観る必要がある、という内容です。

これは医療にも発展させられる言葉だと思います。 病気を治すには、その方の病気だけでなく、その方が「どのように思って」治療をうけるか、が大事だと思います。

例えば、私の造語に、「納得できない検査は、あまり意味がない場合が多い」 というものがあります(もちろん急性心筋梗塞などで、治療をすぐにしないと死んでしまう場合を除いて、です) 医療の技術はもちろんですが、患者さんが、「それをしてもメリットがないだろう」と思っていると、検査自体が意味がなく、患者さんはさせられた、と思うでしょう。 それが医学的に正しくても。

なので、患者さんに納得してもらえるように、昼夜新しい知識を取り入れて、複雑化していく医療に対応するように心がけるべきだと思っています。 説明が上手ということは、医療の知識が浅くなく深いことを示すからです。 ガイドラインにこう書いていあるから、だけでは納得されない方もいるでしょう、なぜそういうことになっているのか、私自身も説明して欲しいと思うからです。

医療は数字だけでは語れません。 将来を見越して、良いことはどんどん取り入れるべきだし、医療現場のことを知らない人に、善意であっても間違った説明を聞かされることは避けるべき、という意味もあるのではないか、と「観見二眼」から受け取る次第です。 私はマイナス思考で最悪の場合を想定して医療を行なっています。 先行投資、というビジネスでも言われることは、医学では、古びた医療を行い続けることが間違っている、と思うので、他人の意見を聞くことは重要だと思いますが、自分で吟味して、間違ったことは取り入れません。 医療現場で瞬間瞬間に起こっている事象に数字は全くあてになりません。 医療をビジネスとして考えることはひょっとすると重要かもしれないし、考える人・事は大事かもしれませんが、私自身のスタンスは「医療はビジネスではない」と思っているからです。 いかにいい治療をうけてもらうか、その環境作りが大事と考えています(これを理解してもらえない方がおられるのも事実です。 医師でもいますし、医療業界に疎い方に多い傾向です)