本日、開業医としては異例の御推挙をいただき、支部幹事として「心臓リハビリテーション学会」に、幹事、座長、演者(開業医では唯一演題をだしました)として出席しました。

座長をするにあたっては、担当するセッションの演題の勉強をする必要があります。

今回の学会としては、「心不全パス」(パスとは、決まった治療を日程を決めてする、ことです)がおもだった気がします。 あとは、学会が推奨する医師主体ではなく「多職種でのカンファレンス(例えば週一回の話し合い)」などが当然のように発表されていました。

心不全パス、については完全に決まった治療をするわけではなく、個別、ケースバイケースでパスの内容を変更するのは当然のことですが、この「パス」にこだわり過ぎるのもよくないかな、と思います。 私個人は、心不全パスに不備があったときに、今後のパスをどんどん変更するべきだと思っています(もちろん、そういったことはされているとは思いますが)

あとは、大病院では、多職種でのカンファレンスが当然のようにおこなわれている時代ですが、私が四国こどもとおとなの医療センターで勤務しているときは、集中治療室にいる患者さんは毎日朝一番にカンファレンスに出ていましたが、慢性期になった心リハをするようになった患者さんに対しての、カンファレンスは意味がない、と思っていましたのでしていませんでした。 それよりも、その日に担当した看護師や、私個人が心リハ中に見回ることで、その日にカンファレンスをすます、ということが、医療者の負担も減らすし、なによりも患者さんへの対応が早くなるからです。 現在もそういったスタイルがいいと思っていますし、診療所レベルではそちらの方がいいと思っています。

よって、ガイドラインは、大病院と診療所のダブルスタンダードがいいと思っています。

なんでも「ガイドラインに書いてあるからそのとおりに」では、ガイドラインが改定されるまで患者さんが恩恵をうけることがありません。 自身で研究をして、日々の診療をアップデートするべきなのです。

先週の土曜日の夕刊に、私が理事を務め、理事長を父親が務める、社会福祉法人秦ダイヤライフの施設の一つ、特別養護老人ホームである「あざみの里」が載っていました。

なんでも四国初が多い、父親がすることですが、今回のすべての個室(あざみに里はすべて個室です)のベッドで、安全確認ができる、というものです。

これは利用者の方の安全をより違った角度から見えるとともに、介護者として働く方の労力軽減にも繋がります。

これを施設すべての個室に入れたのが四国初だそうです。 他は、2ベットだけ、などだそうです。

 

4/14に心臓リハビリテーション学会が香川で開催されます。 私は高知では唯一の評議員であり、学会運営については四国では高知大学教授以外では医師としては1人だけの幹部会に出席します。 そのため、土曜日は前乗りして会議にでる必要があります。 一町医者としては異例のことですのが、逆に大きな病院や大学病院で決める決まり事には、開業医では無理、なことがあるので、そういったことを話せれば、と思っています。

さて、私はそれ以外にも座長(演題発表の司会進行役)や、自分自身で演題をだしています。 その演題が過去2008年に英語で発表した内容です。 心臓リハビリをしていると、モニター心電図をしながら運動をすることがほとんどです(逆にモニター心電図をしない心臓リハビリは意味がない、と思っています)が、そこでわずかな不整脈の出現時に、心臓超音波検査の指標で半年後に心房細動になる10%の人を拾い上げることができる指標です。 独りよがりな指標ではなく、普通に論文でいくつも発表されています。 私のデータで上司が男女差(女性の方がなりやすい)については論文化しています。

心臓リハビリをするには、心エコー検査に精通していないといけない、という発表です。

徳島大学では、軽症のものはフォロー(経過観察)が必要、ということになっています。

微量なものは、生理学的に、特に問題ない、とします。

さて、心エコーは、撮る技術もそうですが、レポートを書く技術が最も大事です。

例えば、逆流が微量でも、弁の接合不全や逸脱があれば、軽症に格上げして1年後フォローが鉄則です(施設によって変わってくると思いますが、ほったらかしにして、5年後10年後に取り返しがつかないことにならないようにしないといけません)

閉鎖不全と逆流がごっちゃになっているレポートをよく見かけます。 閉鎖不全があっても、逆流が微量ならフォローの必要は基本ありませんし、患者様が気になるなら1年後のフォローでいいと思っています。

4つの弁で、もっとも逆流が見えやすい(というか必ず見える)、三尖弁での逆流が変な方向に向いていると、僧帽弁や他の弁でも6-8割の確率で接合不全か逸脱症がみられる、という剖検(解剖)での報告があります。 つまり、一つの弁だけをみるのではなく、他の弁の逆流をみると、僧帽弁の見方が変わってくるのは当然です。

こういったことは基本なのですが、逆流なし、とするか、逆流はない程度だが、弁組織そのものに接合不全があるのでフォロー必要、と書けないと患者さんのためになりません。

あとは、微量と軽症の違いが明確にされていません。 教科書には、カラードプラ(逆流した血流の色)の占める割合、などと書かれていますが、これは全くの間違いです。

「なんで軽症なんですか? 微量を軽症としていませんか?」「本当に経過観察は不必要なのですか?」 と思う場合があります。

CT検査では、単純性嚢胞(水や血清成分が袋状になったもの)はそのサイズのみをレポートしますが、中に隔壁(部屋の仕切り)があったりすると、Bosniak分類によって分類されます。 実は造影剤を使わないとわからない部分があるのですが、私はエコー検査でも、「嚢胞あり」とは書かず、単純性なのか(Bosniak分類 I)なのか、それ以上なのかをエコーである程度見分けるように心がけています。理由は高齢であったり、CT検査が受けられない方がいるからです。

Bosniak分類では、IからVIまで、IIFを入れると5分類に分かれます。 I(単純性)、II(隔壁(嚢胞の部屋を仕切るもの)が多い)のものは、悪性度は低く良性とされます(そもそもBosniak分類はCT(しかも造影剤を使用しての検査)での分類です)

IIFは造影CTで造影効果があり、Fはfollowの意味であり悪性になる可能性があり、IIはフォローの必要性低く、IIFはフォロー必須です、IIIは隔壁が非常に厚く、形も不整なもので、IV型は内部に腫瘤(ポリープのようなものです)がある、と分けて考えなければなりません。 IIFですでに5%の癌の可能性があり、IIIだと50%の確率で癌、IVだとほぼ悪性(癌)であるため、CT検査を造影剤をしながら検査(もちろん、造影剤を使わないCT検査と比較してが重要です)が必要です。

嚢胞があるね、水たまりの袋があるね、 だけではなく、 賢い患者になるには、悪性度はどのくらいですか? と聞く必要があります。

本来はエコーで分類するものではないので、より詳しくみる必要があります。

※2019年のブログを改変しました。IIF以上でフォロー必要です。 IIでフォローが1年後に必須かと言われればIIかIIFか造影剤を使用しないと不明な場合があったり、放射線科専門医でも造影剤を使用しないと判別困難な場合があり、造影剤が使用できない患者さん、専門読影医がIIかIIFで迷う、という場合は1年後以内のフォローが必要ということです。 当院ではエコー検査をしていますが、CT検査(造影剤を使用しない)を福田新造消化器内科で行うことがあります。 IIの場合にフォローが必要と2019年に書いたことで混乱をさせて申し訳ありません(2022年)。 エコーでフォローせざるをえない場合や上記に該当する患者さんについてはIIでもフォローしているとIIFの可能性がでてくる、ということから、単純CTでIIと診断され、IIFの可能性がありえる場合フォローが必要と思う次第です。 エコーなら尚更、ということです。