大きな病院に務めている時は、手術をしてもいいか、術後に発症した心不全の紹介、難治性疾患の紹介、など循環器医として、様々な疾患の紹介がありました。 難しい病気に関しては時間もかかり、なんとか診断するわけですが、口頭で「こういう患者さんがいるんだけど」という場合、循環器内科医以外の医師からの質問にストレスを感じた事はありません。 分からない場合もあり、今すぐは分からないから明日院内の紹介状書いて! という場合もありますが、ほとんどは、ポータブル心エコーでその場で解決していました。 循環器内科医が悩むレベルではない質問だからです。 それが専門なのです。 時間をとられるのを嫌がって、答えなかったり、無視を決め込む医師もいましたが、時間の代わりに友人をなくしていました。

今現在は、紹介することの方が多い(当たり前ですが)のですが、もちろん紹介されることもあります。 また遠方の友人から電話などで、質問を受ける場合がありますが、私は自分の分かる範囲で、と前置きして、全て答えるようにしています。 その上で、その医師が判断を下し易いようにサポートするのも、日本の(?)医療の良い所だと思っています。

「時代遅れ」という河島英五の歌がありますが、少しの手間(おせっかい)をおしむ医師に対する医師の信頼は少ないと思っています。 自分の仕事を後回し、なかなか出来る事ではありませんが、一流の医療従事者を目指すものにとっては必要絶対条件だと思っています。 自己防衛、自分のことで精一杯、、、 そんな時代ですが、専門外からの簡単な紹介に必死に答えようとしてくれる医師もいて助かっています。 ただ、必死すぎると、こっちまで恐縮してしまう場合もあるので、簡単な質問に対しては、ポイントで教え合う、のが良いスタンスだと思っています。

自分本位の医師は、結局まわりまわって、損をする、と思っています。 自分が出来ることは当然して、他人に教えることができない医師が、患者さんの治療などできるはずがないからです。

肺は主に、空気をはこぶ気管支、血液をはこぶ血管と、それら中間の間質に分かれます。 これがくっきりわかるのがCT検査です。 CT検査を何枚見たかも大事ですが、1例を掘り下げて、事の成り立ちを理解すると、レントゲンでCT検査を想像できるようになるのですが、当たり前ですが限界があります。
ただ、数学の公式のように、また歴史学の4大文明のように、「このパターンのCTなら、これが考えられる」と言えるのが医師であり、なんでそういう風に見えるのかも説明したいな、と私は思っています。 例えば「モザイク・パターン」という、CTの所見があります。 一見、両方の肺に薄いすりガラスのような病変がみえるので、間質の病気、間質性肺炎と間違えられやすいのですが、モザイクであるということは、気管支や血管が運んできたものによって、病気が出てきている、という証拠なのです。 よって、アレルギーのように、抗原を吸い込むことによってモザイクにみえる「過敏性肺臓炎」、喘息がひどいときに、空気を吸い込める場所が限定されてしまってモザイクに見える「喘息発作」、めずらしいのですが、血栓(血の塊)が飛んで行ってモザイクにみえる「肺塞栓症」などが鑑別に上がります。

こういったことは、一回患者さんの治療を上級医と経験して、自分で調べて、二度と忘れないようにすることや、どうしてそのように見えるのかを自分で勉強することが大事です。
私が患者の立場なら、答えだけを教えてもらうより、理由を教えてもらった方が、納得するからです。
そのためには、自分だけでなく、他人(医師)に教えてもらうことも重要です。 一人で、すべての疾患を見ることは到底無理な話で、全知を振り絞った結果の診断で治療をすることが大事だと思う次第です。
そう、まずは「診断」なのです。 ここが入り口です。 内科の醍醐味であり、患者さんに信用してもらえるかどうかも、「診断」なのです。

正しい「診断」さえつけば、「治療」はほぼ決まっています。
その正しい診断は、その時、その瞬間につくこともありますが、治療していく経過でわかることも知っておいてほしいことです。

ゴールデンウィークが過ぎ、明日から仕事という人も多いのではないでしょうか?

メンタルヘルスという観点から言うと、人に言うアドバイスとして、仕事をかかえて、ストレスが溜まっている人、とくに鬱状態の人に「ストレスを少なくしてね」というのは全く意味がないそうです。 なぜか? それは具体的ではないからです。 では具体的にストレスを減らすのには、、、休む事(寝る事)、嫌な人を避ける事になります。

医師から「血圧が高いからストレスを少なくね」と言われても、私が患者の立場なら何をすればいいのか分かりません。 休む事=寝る事、としたのは、「ストレス発散だ!」と旅行に行ったりすることは気晴らしにしかなりません。 私見ですが、逆に持っている元気が少なくなってしまうのではないでしょうか?
嫌な人に会うな、というのは仕事上難しいと思います。 そういう場合は、出来るだけ避ける、に限ります。 必要最低限の仕事の付き合いをして、他は話さない、これが一番だと思います。

ここでいう「嫌な人」とは、その人にとって、「立場上、自分より、上にいてパワハラをうけ、相談するのは、そのさらに上司になって本人には直接言えない」、もしくは、「同じ立場でも、集団でイジメ(大人の社会でも実際にあるので、この時代にこういう言葉を使うとは子供の頃は馬鹿馬鹿しくて思いませんでしたが、実際にありえますので、笑い事ではありませんね)をしてくる輩(やから)であり、同様に直接言えず、上司に相談するしか方法がない状態」が当たります。 本人に対して直接言えたり、陰口を叩けるなら、自分がそうなっているかもしれません(いじめている本人に自覚がない証拠ですね) 私自身も、傷ついた人の立場にたったりすることが重要と思っています。 何事も相談できる上司がいることは頼もしいことだと思います。

有名な医師は、教授などにならなくても本を出す時代になってきました。 ただ、ここで自己満足な「自費出版」を他人に売りつける行為はどうかと思います(その形態の方が安く仕上がり「売りやすい」のなら話は別ですが) 私は35歳と37歳の時に、印税(全て寄付しています)が入る、「商業出版」をしています。 つまり手元には自分の本はありません。 しかも講演会などでは、本の内容は私のものではなくなっているので、形式上は出版社に筋をたてなければいけません(本の宣伝になるので、今の所、「OK」をもらっています)

さて、3冊目は本当は書き終わっているのですが、仕上がりがまだです。 その途中に、30人ほどで書く、9月出版予定の本が先にでそうです。 「心臓リハビリテーション」の本ですが、開業医では私ともう一人だけ。 ちなみに四国でも声をかけていただいたのは私だけです。 これは、普段から前向きな姿勢と、なにより論文、学会活動が評価されてのことだと思っています。

どのような構成にするか迷ったのですが、始めての人でもわかるように、また読み手を想像して書いてみました。 また9月中旬頃になると思いますが、クリニックに1冊置こうかと思いますので是非みてみてください。

これは私が初めて世に出した「FIT index」というものです。 おそらく今年の9月頃に「心臓リハビリテーション」の教科書が発売されるのですが、その中でも紹介しています(著者のなかの一人で、四国では私一人、開業医では私ともう一人の二人だけです)
当院の心エコー機器には自動的に算出されるようになっており、その日の体調にもよりますが、「有酸素運動」の脈拍がこの、FIT indexで算出されるようになっています。 私はこのFIT index以外に、左室の機能をみる「SEA socore」なども論文化しています。

他にも、血液を調べるときに、貧血がなく、骨髄の病気がない人に限り、MCVという項目が必ず採血では出てくることが多いのですが、これを、食事でどのくらいタンパク質を脂肪や炭水化物との比較で摂取したかの指標として、「PIM: protein intake maker」として論文とし、糖尿病薬の効果が出やすいかどうかという報告も論文化しています。

つまり、糖尿病の薬を選ぶときに、色んな論文を書いているので、その人にあった薬を選択できるのが、私の強みです。 これは糖尿病専門医でも気づいてないこともあります。 例えば心機能や筋力の関係と、糖尿病薬の効き目などです。