最先端でバリバリ昼夜働く勤務医、大学病院などで研究をする医師、開業医として日常の診療をする医師、知識も手技(主義)もなく「紹介状作成マシーン」で何もしない医師、、、色々、医師にもいます。

医師のセンスは、どれだけ多くの疾患をみてきたか、は一つのセンスが磨かれる要因だと思います。

一つのことだけを極めることは非常に有用だけども、それは開業医のセンスではありません。 逆に、さまざまな疾患をみて、責任をもって治療した経験は開業医のセンスといえると思っていました。

ただ最近、内科系の開業医が専門に特化してきています。 それはそれで良いと思いますが、かかりつけ医には、ならない方がその医師のため、患者さんのためにもなるでしょう。 微妙な正しい血圧のコントロールや、何かあった時の対処、など、普段は変わらなくても、ある日突然、センスが試され、患者さんが不利益を被ることになります。 マイナー科とされる、眼科や耳鼻科で、高血圧の薬をもらうことはしないでしょうし、腹痛時の対処ができないところをかかりつけ医にしない方が、自分の身を守ることになります。

例えば、1年弱前に24時間心電図で、1-2分の心房細動(疑い、であり、心房頻拍かもしれないという心電図)が検出しえた患者さまがおり、今の所6分以内なら、心房細動でも血栓はできない、という報告もあるのですが、それは大きな母集団でみた例であり、必ず治療をする、という風潮もあります。 コントラバーシャル(どちらとも言えない)な部分ですが、私は心エコー検査で、左心房(血栓ができるところ)の機能不全を同時に診断していたので、ご家族もお呼びして、血をサラサラにする治療を開始していました。 その方が、毎月変わりなく来院されるのですが、ある日時間外ギリギリに、「動悸が昨日からして、、、」と来られました。 完全な「頻脈性」心房細動でした。 「もし」抗凝固療法(血をサラサラにする治療)をしていなければ、当院にこずに、脳梗塞で搬送されていたかもしれません。 入院もすることなく、当院で点滴、内服で次の日も来てもらい、特に症状の悪化もなく、通常の生活を送れています。

今後も、最新の論文や、学会での聴講など、それ以外でもアンテナを伸ばして、センスを磨いていきたいと思っています。

当院では、不必要な検査は一切しません。 「きっちりと」その方の状態を診るために、聴診器だけの診察、自宅の血圧の管理だけでは、不十分なことが、分かっているからです。 患者さまの意向で検査をしたくない方にはもちろんしません。 ただ、心臓の治療をおえて、当院で診させていただいている方に関して、3月、7月に私の発表で、実に20%弱の方が、早期の癌がみつかることが判明しています。

検査の頻度は、患っている病気によって変わってきます。 癌について考えると、米国などでは「肺がん」はCT検査が主体になりつつあります。 これは早期で見つかっても生存率が他の癌よりも低いからです。 喫煙、糖尿病などの方は年に1回は胸部レントゲンを、加えて、血圧や心不全で心拡大が言われおられる方は、肺がん検診もかねて年に1−2回が望ましいでしょう。 胃がんに対しては、私は未だエビデンスがない「ABC検診」に対しては否定的な立場です。 ピロリ菌除菌後や、ピロリ菌が住めないような腸の粘膜に置き換わっている方、慢性胃炎がひどい方は、毎年胃カメラをうけることが望ましいでしょう、早期でみつけるほど、予後がいいからです。 症状のない方でも、2年に1回の検査を国は推奨しているからです。 理由は、日本人に胃がんが多いことと、上記で述べた早期でみつける有用性です。 大腸の検査はどうでしょうか? 大便の検査は完璧な検査ではありません。 大腸のバリウム(実はバリウムではないのですが)はなくなりますので、大腸カメラか、県内では福田心臓・消化器内科でうけられる大腸CT検査を、「一度はする」のもいいかもしれません。 もちろん、大便の検査で引っかかった場合は必ずした方がいいでしょう。 そのときの所見にて、毎年がいいのか、2−3年でいいのか、5年後でいいのか。 年齢によっても変わってくると思います。

70歳や80歳の方が、「胃カメラなんかしなくていいよ、どうせ何か悪いものが見つかっても、なにもしかいから」とおっしゃっているのを聞いて、少し寂しい気分になりました。 私はその方の身内ではありません。 検査もただではありません(胃カメラだけなら3000円弱ですが、高いととるか、安いととるかはその人しかわかりません) 検査に対するしんどい思い、などもあるでしょう。 なので、「私はお腹のエコーはしてもいいけど、胃カメラはしない」という方には胃カメラはもちろんしません。 無理にして良いことは一切ありません。 ただ、「周りの人の意見を聞いたりして、思いが変わったら言ってください」と言っています。 70歳、80歳は若い! と思っています。

私の母方の祖母をはじめ、多くの方が、胃がん検診をうけずに、胃がんが転移して、苦しい思いをしている方の紹介を、香川の医療センターで、内科医として、苦しみをとるような緩和治療をしていました。 若い女性で腹部エコーがされておらず、紹介されてきて、膵癌の末期だったこともあります。 膵癌は難しいこともありますが、胃がんに関しては、5年前に胃カメラをして、危なそう、と判断されており、毎年検査をしていれば、こんなことにはならなかっただろう、と思いながら大病院で勤務していました。 ピロリ菌がいなくても2年に1回は推奨されている胃がん検診です。

血圧とコレステロールだけ、を当院では治療して、その他は検診かってにやっておいて、がモットーではありません。 早期でみつかる癌に関して、女性の乳がん、子宮頸がん以外は当院でみることができます。 大病院で働いていて、本人も苦しまず、ご家族も悔いがのこらないように、検査が必要なことがあることを、ぜひ知って欲しいと思う次第です。

最後に、聴診器で問題なくても心電図では大問題になっている、ことが多々あります。 循環器専門医であれば当然のことです。 必要な方には年に1回ではなく、2回検査をした方がいいことがあることは事実です。 しない場合は、患者さんは「不必要な検査をされた」ではなく、「されなくて医師の怠慢ではないか」と思うくらいの重要性があるのです。

よく医師は、医療関係者しか周囲にいない、と言われることがあり、先輩医師にアドバイスされるのが「違った職種の方との付き合いが大事」と言われます。 これは全くその通りだと思います。 私自身もそういった他の職種の方と話すことで刺激をもらえるからです。
では、医師同士の人脈はどうなのでしょうか? 私は基本がそこだと思っています。 私の専門は心臓のエコー検査ですが、困った症例があった場合は、もちろん患者さまのプライバシーは守ることは当然で、県内の先生はもちろん、他県の教授を含め、あらゆる心エコー検査を極めた先生方からアドバイスを聞くことができます。 もちろん高知県内の大病院に紹介するわけですが、帰って来た返事が腑に落ちないときなどが、アドバイスを聞くことが多い。 そういったこともあり、「一宮きずなクリニック」は心エコーが専門、とも言えます。 バックに多くの心エコーを極めた医師がいるからです。 さらに画像診断で迷ったり、心電図で新しい所見があったときも、人脈を活かして謎をときます。 整形外科でもそうです。 糖尿病治療についてもそうです。

迷わないように研鑽してきていても、どうしても自分ひとりでは解決できず、県内の基幹病院でも、私が考えている所見とずれている場合などに県内外の先生方の力を借りて対処できるようにしています。

県内はもちろん、他県も含めて、多くの先生方に支えられて普段の診療をしています。

私が、徳島大学病院、四国こどもとおとなの医療センター、で勤務している時は、非常に急変のリスクが高い方はそのまま私の外来に通院していただいていましたが、安定している方は原則近くの、信頼できる開業医の先生に紹介をして、何かあったらすぐに紹介(夜ならそのまま来てください、と患者さまに言って)、という形をとっていました。
これにはいくつかの理由があります。 まず開業医の先生は、大きな病院で、責任をもって治療をしていた経験があり、私どもの見立てと遜色ないか、それ以上の診断力をもっていること。 また、大病院では専門科だけの治療になってしまうので、総合的に患者さまをみれないこと、また、私の外来は週に2回だけで土曜日は大きな病院は救急外来しかしていませんので、何かあった時に、違う医師がみることになり、シームレスな治療ができないこと、などです。

そして大病院の事情もあるのですが、3次救急までしている病院では、外来をセーブしないと、入院患者さま(他科も含めて)の治療、救急外来での治療(循環器はよくあります)が出来なくなってしまうことも、実際はありました。 そのため、高知県でも、大病院では治療がすみ、安定している患者さまを当院で見させていただくことがあります。

そのために、私は、循環器以外のことも診れるようにしています。 患者さまは、「大きな病院で、今後も診て欲しい」と思われる方もおられると思いますが、実際は、治療などは変わらず、同じ医師が担当することがないことも考えると、小回りのきく、診療所がいい、と思っています(思っていました)

しかし患者さまの希望が一番だと思います。 小さな診療所でみてもらうのは不安だ、と思う方もおられるかもしれません。 私としては、そういった不安を解消するために、普段から研鑽をすることが、地道ではありますが、最も大事なことだと思っています。 診させていただいている患者さまには120%の力で見ていく所存です(当たり前のことですが)

今年は四国では、2/10ころから飛散するとされており、敏感な方は2月初旬からアレルギーの薬を内服開始しています。 花粉が飛ぶ約2週間前から内服を開始していると、症状が出にくい、といったデータもあります。 スギ花粉は4月終わりまで、ヒノキは5月末までが一般的です。 当院では、アレルギー体質かどうかのIgE検査に加え、viewという、花粉だけだなく、近年子供だけでなく、大人でも問題となっている、食物に対するアレルギーがあるかどうかの検査(いずれも血液検査です)ができるようにしています。 もう既に、アレルギー性鼻炎の方に処方をしている状態です。 鼻腔鏡を私は診ることができますので(喉を見るようなものです、加えて10分程度の血液検査で炎症反応もみることができます)、風邪かアレルギーかの鑑別も可能です。

アレルギーの薬は、点鼻薬で良いものが処方できるようになったこと、また、内服薬でも鼻がつまる、症状の方に処方する薬もあります。 眠気がすくないもの(飛行機のパイロットが飲んでもいい薬)を処方することもできます。

いずれにしても、早めの対処が症状を軽くするため、気になれば来院してください。