休み時間にスタッフもよく頑張ってくれています。 その頑張りに答える為に、私は明日最も看護師が期待する「心電図の見方」がテーマのスライドを作っています。 この作業は大変自分の勉強にもなります。 さて、心電図、、、「デンプスター・シェーファーのアップデイティング」を織り交ぜよう、など考えます。
医療は不確実なことが多いため、どうしても用心深い判断を、医師は求められます。 そんな時にこの法則をしっていれば、相手が考えている内容や、「あっ、この人ってなにも考えずに提案するし、場当たり的だな」と判断する事もできます。 例えば、 win – win の押しつけをしてくる場合は、相手側(私ども)が lose – win になるのかも、との考えがまわらず、no deal の選択が出来るのは、デンプスターの考え方から導きだすことができます。

さて、前置きが長くなりましたが、心電図においても、他の検査においても、分からない部分、がどうしても出てきます。 「統計学」を駆使して過去にあった同じような疾患群ではどう診断したか、でいいじゃないか、という医師もおられるし、経験則で診断・決断を下す医師もいると思います。 非常に優れた医師で、私が分からない部分についての見識を持っている場合ならそれで良いのですが、だいたいが分かってないけども、今までの経験上大丈夫だろう、という自己の統計や多くの経験から診断がされているように感じますが、私は、この患者さんにとって、過去の統計と同じことが原因で起こっているならその考え方もあり、だと思いますが、そうではなさそうだ、と思ったら、用心深い決断、具体的にいうと、1年後になにもせずに様子をみる、などではなく、最低でも3ヶ月以内に経過を見ます。 その場合、最悪のケースを想定して、薬のリスクも考え、副作用がでないようにして、投薬して経過をみて、分からない部分が、判明した時に初めて、診断します。

大きな論文で、6分以内の心房細動は無視してもいい?とか、12時間以内なら心臓内に血栓は出来る確率は少ない、などがありますが、それこそ、その人のもつ個別の他の疾患などを考えて、話し合いの結果、最も患者さんがリスクが少なく、えられる効果が非常に良いものである、と判断すれば治療をすることとしています。 何度も高価な検査は出来ないし、しても構いませんがえられる結果が月に20回しても、残りの11日で発生していれば、と考えることも大事だと思っています。 そのために、心電図だけでなく、心臓超音波検査など、他の検査をおりまぜて、不確実か確率を高めていく訳です。
心電図は大体が分かっているパターンが多いのですが、明日のレクチャーでは、「私はこう心電図を3秒でみている、がしかし、絶対に悪い疾患を落とさないように心掛けていること、その場合は3秒ではなく、1 -3ヶ月、もしくは数年の経過をみることも大事」という内容にしようと思っています。

臍(へそ)や鼠蹊部(足の付け根のお腹)は筋肉が薄く、成人してからも腸が飛び出してくる場合があります。 飛び出すことを「ヘルニア」と言います。 最近はインターネットでも簡単にだれもが、どのように治療したら良いか、が見れるように外科の学会がPDFをだしているほどです。 さて、推奨度ですが、誰でも脱腸になれば、「推奨度A」です。 90歳でも元気ならした方がいいです、ということです。 全身麻酔をかけるので、心機能や肺機能に問題がなければ、外科では研修医が最初にする手術(もちろん患者さんの同意をえて、上手な医師がメインでする、のですが)です。
京都第一赤十字病院で研修していたころも、「脱腸」か、「虫垂炎」の患者さんは、研修医が外科研修の最後の方ですることになっていました。 患者さんも断る事も出来ますが、出来映えは「脱腸」に関しては、上手な外科医と一緒にすれば、上手な外科医と同じ仕上がりになるでしょう。 それくらい「入門の手術」です。
しかし、一旦、腸が出て、お腹の中に戻らなくなって腹痛を起こしてしまった場合は、研修医に手術は無理です。 腸を切り取ることもあるので。 人間100歳の時代に、80歳代で元気な方には私は「脱腸」の手術はどうしたらいい? と聴かれたら、「気になるでしょう? した方がいいですよ」と言っています。 しかし患者さんが「手術!」と聞いて、怖がったりするなら話はもちろん別ですが、必ず優れた外科医の話も聴いてもらうように促します。 それで手術を選択しないなら、それも「アリ」だと思います。
しかし、そうではなく、医師の話の持っていき方で180度変わる場合もあります。 「もうお年だから、手術は危険だし、しなくてもいいでしょう」という医師もいるでしょうし、いても良いとは思います。 しかしそうなると、その患者さんは一生「脱腸」の手術はうけないでしょう。 「やめた方がいい」、「危険」と言われたら絶対にしない、当たり前ですよね。 以上が私が自分や自分の家族を任せられる非常に優秀な外科医との話の内容です(優秀な外科医は「するべき」との意見でした) もちろん手術である以上、リスクはあるのですが、そのリスクよりもベネフィット(得られる良いこと)が上回っているのです。

、、、いつ来るか分からない腹痛(かなり危険な状態のことが多いです)がきて、緊急の手術(これが危ない手術となりますが、しなくてはいけません。 症状が旅先でなったらどうするのでしょう?)。 あと20年弱、ひょっとしたら30年40年生活していく上で、医師の話し方一つで、その患者さんの一生が変わってしまうのです。 自分が手術するわけではないので、手術が上手な医者に紹介するのが私は一番いい方法だと思っていますが、自分が手術しないのに、「一大事になる危険度はCT検査では低そうだから、しないでいいです」は、患者さんの選択肢を奪ってしまう、超悪手で、将棋の藤井7段も困惑するのではないでしょうか? 医療は確率論です。 それに加えて想像力も必要です。 専門でない、手術をしない医師は、自分の知識不足を受け止めて、決めつけ、押し付けではなく、紹介するべきではないでしょうか?

症状が今なくても、将来のことを考えて、私自身は患者様に話をしていきたいと思っています。

石の上にも三年、という諺があり、「何でも最初は3年はやってみろ」と言われた事はありませんか? ちょっと?な上司を持っていることに同情致します。 この三年とは丁度3年間の期間を指している訳ではありません。 頑張れば報われる、という意味であり、1年でそのことを成し遂げる人もいれば10年の場合もあるでしょう。 3年にこだわる必要はありません。 それこそ何も考えず、3年間同じことをやっていた、は、医者に例えれば、馬鹿医者です。 医者馬鹿は良いのです、考えながら、医師という仕事に邁進している感じです。
私は医学生や研修医のころは、人まねばかりで馬鹿医者だったと思います(そういう時期も必要です) それが「いい医師」「恩師」に恵まれて、「医者馬鹿」になれた、と思っています。 それが50歳をすぎても「馬鹿医者」がいることに腹が立ちます。 同業者となってくると、人まねもろくにせず、何でも数年すればいいだろう、という若い(40歳すぎ)医者がいたり、「考え」のたらない、「本当に医者ですか?」と言いたくなるような人物、人柄。 20年間何も考えず、人の真似だけをしてきたんだろうな、そしてこれからもしていくのだろうな、と思うと、医師という職業につく意義は、単に「高校時代テストの点が良かった」「親が医者だから」というだけの、医療をかじった素人、だと思います。 医師も自分の強み(それが本当でない場合もあり、「数年続けたから」は強みではありません、半年でも大変な状況を乗り切った人の方が強みになるでしょう)を押し出して、特化した医療を行う時代になってきました。 継続は力なり、も考え方一つで「続けてれば良い事がある」は天才か、努力し続けた場合のみ、「待てば甘露の日和あり」となるのです。
自分で開業する、責任を持つ、という経験を人生においてしている、ということは、考えながら、しかも自分の強みに磨きをかけなくてはいけません。 心臓リハビリテーションに関しては、考えなければ、ガイドラインにのっていないようなことに気づくはずですが、多くの素人に毛が生えた「心リハハジメマシタ」人にとっては、馬鹿心リハになっていると思います。 まずはガイドラインを疑う事から入ります。 そうすると間違っている事や、あれ変だな、と思う事が多いのです。 この患者さんには心リハをするのは3ヶ月待った方がいい、という人にすることが危険なことが分かってきます。 なんでもかんでも心リハ、は心リハ馬鹿の私からすると危険行為を患者さんに押し付ける事になります。 とくに運動療法においてです。 あとはつまらない医師のプライドや自分の身を守ることだけを考えて、患者さんが、あっちにいったり、こっちにいったりと、大変になることが自分の立場だったら? と考えられない人は「医者ではない医療関係者」だと思います。 医師免許を持っているだけの人、です。 カテーテル治療ができなくなり、大腸カメラ、骨髄穿刺、気管支鏡、甲状腺の細胞穿刺、、、etcをしなくなった今では、超音波馬鹿、一般内科馬鹿、そして心リハ馬鹿となり、自分自身を戒めながら、治療に当たりたいと思います。

この2年で私自身がかかげたスローガン「癌をおろそかにしない、専門的循環器診療」が、受診された患者様にとっては良かったことが多い、という印象です。 自分自身で癌検診をしている、癌検診は絶対にしない、という患者様は説明をした上で、その意志は尊重はもちろんさせていただきます。 声帯腫瘍、食道がん、胃がん、肝臓癌、膵嚢胞性疾患(膵癌になる可能性が高い)、腎臓癌など、ほぼ早期で見つけることができました。 将来は地域医療を、と思い、循環器内科疾患だけに固執せず、総合内科として「逆算して」最終拠点病院で診療に当たった結果が実を結んだ、と思っています。 膝関節注射で、劇的に膝のレントゲンが「手術適応」だったのが、改善した例もあります。
当初、消化器内科を目指していた私としては、循環器専門医として勤務しているときに思ったのは、循環器内科医は、本当に心臓や血管疾患に特化していて、腹痛に対処出来ない医師が多い、という印象をうけ、衝撃的でした。 これは大きな病院では、専門性が求められるので仕方ないというか、腹痛に関しては、消化器内科医を呼び、対応する、というのが当たり前になっているし、それが今の大病院では正しいと思います。
ただ、私が、「循環器診療、とくに心臓のエコーと心臓のリハビリテーションを専門としています」だけなら、救える命が救えなかった患者さんがたくさんいました。 大きな病院で循環器治療を終え、開業医のもとで普段の診療をするときに、消化器内科や総合内科(髄膜炎、がん治療、血液疾患など)、放射線のトレーニングがされてないと、循環器だけをする危険性を分かっていました。
ただ、全ての診療について、あまりにも浅い知識では駄目だと思って研鑽してきました。 今後も循環器以外だけでなく、他科のことに関しても研鑽していく所存です。

昔、四国こどもとおとなの医療センター(香川県)で、呼吸器内科の先輩医師に「風邪が最も難しい」と教えられました。

現在、「抗生剤は悪」という風潮があり、出来るだけ使わない医師が名医、とさえ言われています。 これは抗生剤の効果がなくなる耐性化の問題や、感染症で有名な岩田先生の本や講演をみた医師の意見だと思います。 そういったことも踏まえて、私の診断・治療にあたる姿勢は「逆から考えた方が」、患者さんの治療に最も適切ではないか、と思っています。 抗生剤を使うことを前提に考え、使う必要がない、と判断できる材料があれば、使用しない、というスタンスです。 有名な論文で、70歳以上、38℃以上、聴診で異常所見があれば、抗生剤投与という報告がありますが、私はこの論文、隙だらけだと思い、あまり信用していません。 65歳未満、平熱より1.3℃(私は1℃でも良いと思っています)未満、聴診の異常所見がなければ、抗生剤は不必要な可能性がある、という報告の方が実用的なのは自明の理ですが、ここにも落とし穴があります。 高齢者の風邪は、免疫力の低下や、長く生きてきてウイルス感染症(風邪ですね)にかかってきて治っているので、「喉」「鼻」「咳」の三大症状のうち、「咳」がメインで来られる方が非常に多いのです。 しかも免疫の関係で遅れて症状がでるので、風邪と思っていたら気管支炎だった、もしくは今後なる、ということを想像しなくてはいけません。 気管支炎は肺炎になり、死因の原因になるので、私ども町医者としての正しい初期治療が、その方の命を救う可能性もあります。 さて、抗生剤は風邪から気管支炎や肺炎の予防にはならない、と言う医師はいない、、、と思いますが、、、 そういう医師がいれば、若年者も含めた報告で、4000人に1人しかその恩恵にあたらない、という報告を英文で読まず、ダイジェストで聞いた内容で「予防にならない」と勘違いしているのだと思います。 肺疾患(これには40歳を越えると背中が曲がり、呼吸機能が低下するという、慢性肺疾患も含め、もちろん肺気腫や気管支喘息が主です)があったり、65歳以上の上記に当てはまる人は、39人に1人は抗生剤の内服で、肺炎の予防になります。 この数字、私は多いと思います。
しかし、効果のある、耐性がないと思われる抗生剤を使わないと、患者様にとっては意味のない内服になってしまうので、私は四国で初めて、一宮地域の抗生剤の「地域耐性化」について論文を英文で書きました。 高齢者にかぎり、4種類の薬は効果が明らかに弱い、という結果でした。 平熱を問診することも大事ですし、肺の音がきちんと聴取できるかが大事です。 私は心音について学んできましたが、心不全の時も、肺雑音が聴かれるので、雑踏とした外来の中では、肺雑音をちゃんと聴取出来る知識が必要だと思い、著書に音響学が専門の友人とディカッションして「理窟」を書いています。
患者さんは、「しんどくて」病院やクリニックに来る訳です。 市販の薬で良くなったり、安静だけで治っているなら、わざわざクリニックまで来ないでしょう。 その時点で、ウイルスが気管支の免疫を司る繊毛の力を弱らせているので、微生物や細菌感染にスイッチしていることをまずは疑うこと、が重要だと思います。 そういった患者様に市販の薬と同様かそれ以下の薬の処方で、果たして良くなるのでしょうか?
「偉い先生が言っているから」だけでは、その先生未満の治療しか出来ません。 自身で論文を吟味し、内科の重症例を大病院で経験しないと、偉い先生と同様か、それ以上の治療は出来ないと思っています。 私は高知県全域の治療はできません。 一宮地域の方の気管支炎、肺炎での重症化を必ず防ぐ、早い段階で治療することが非常に大事だと思っています。 異論がある方もいるかもしれませんが、気管支鏡や肺膿瘍、真菌(カビ)による肺炎などを、大病院で責任をもって「治してきた」ものとしては、初期治療が如何に重要かが身にしみています。

①きちんと所見がとれること(胸部レントゲンほど難しいものはなく、胸部CT検査を放射線科医のもとで最低1年は研鑽しないと、みれないと、思っています)

②一宮地域在住の方の抗生剤の耐性化を知ること(地域性も個人性も。地域性についての知識は今の所私しか知らない事でしょう、知っていれば地域耐性化や、未だに4種類の抗生剤が一宮地域で圧倒的に処方されていないはずですが、現時点でも他の地域とくらべて処方数が多い事が知られています)

③「偉い先生、の言いなり、の治療に凝り固まらない事」

④「抗生剤は肺炎の予防になる、という当たり前の知識と、使うべき時は内服をしていただく」

ことが重要です。 「私は抗生剤をできるだけ出しません」という医師の言葉は耳障りが良いのですが、断言しますが、「間違い」です。 医療に絶対はないとされていますが、これは「絶対に間違い」です。

循環器内科医のなかには、おおきな病院でカテーテルだけ、エコー(しかも心臓だけ)、心不全の治療だけで糖尿病も他科の医師にまかせる場合も大病院ではあるのです。 大きな病院で偉くなったからといっても、そういった状態になると、より専門だけ、となります。 私はそれが怖かったので、循環器はカテーテル治療、心臓を含む、ほぼ全てのエコー検査、循環器内科医が嫌がる肺炎を経験してきました。 積極的に担当医として診る事は、その科の医師も協力して治療に当たってくれます。 そこで得る知識や治療法で治しきると、今度は自分自身でどのように考えればいいかが分かります。 最初から自分のテリトリーを決めているのは良い事ですが、泥にまみれて、内科疾患をみてきた医師が開業するべきだと思っています。 専門に特化した医師もまた泥にまみれているのです、そういった医師は大病院で、まさに人の命を救う、という治療をされているのです。 中途半端な志で医師になってほしくない、と思います。 自分達の世代が20年後は患者になる訳ですから。