1月20日と21日に第一回の四国心臓リハビリテーション学会が開催され、私は教育講演をさせていただくことになっています。

 

講演の名前は「クリニックで行う外来心リハの落とし穴」です。

 

私は心臓リハビリテーション(心リハ)を急性期病院と慢性期病院である福田心臓・消化器内科の両方で責任を持って立ち上げた経験があります。急性期と慢性期の両方を立ち上げ、深く携わった経験は、2017年現在でも珍しいことだと思い、その違いについて講演させていただく予定です。

 

主な内容は、心臓病を患う患者さんは、糖尿病を患っている方が多く、その糖尿病は、前立腺がん以外の悪性腫瘍の確率を2倍近く上昇させることが証明されていることなどの紹介に始まり、心臓病を持つ方は、心臓のことが気になる傾向があり、また、検査も心臓や血管の検査に偏る傾向が高いことに注意喚起を促すといった内容です。

心臓病が安定している方に対して、「心臓リハビリテーション」という治療法は「包括的医療」と謳われていますが、これにはがん検診について触れられていません。

 

※講演では「心臓リハビリテーション」は「循環器的」包括医療と名前を変えるべきと提言したいと思っています。

 

 

心臓病が安定すれば、積極的にがん検診を受ける、という意識が医療者にも患者さんにも大事だと思っております。

医療の格言に「女性をみたら、妊娠を疑え」というものがありますが、ここに造語ですが「糖尿病をみたら、悪性疾患を念頭におくこと」と付け加える必要性があると思います。

例えば、レントゲン検査で肺がん、胃カメラで胃がん、便潜血検査や大腸カメラで大腸がん、腹部超音波検査(エコー検査)で肝臓・膵臓・胆のう等の検査、男性であれば前立腺がんを採血検査で、女性であれば乳がん・子宮・卵巣のがん検診をすることが重要です。

 

いずれにせよ、心臓病を急性期病院で治療し、慢性期をクリニックで心リハするだけであれば、その患者さんがうける検査や治療は人体のほんの一部(心臓、血管)に限られてしまいます。

 

そういったことがないように、一宮きずなクリニックと福田心臓・消化器内科では、がん検診を疎かにしない専門的循環器治療や、心臓リハビリテーションをしています。

かかりつけ医は、心臓だけ、では患者さんの不利益になると思いますので、総合医を目指し、今後も精進していきたいと思っております。

絆

 

クリニックの名前に「きずな=絆」が入っております。

 

よく患者様から、「なぜそのような名前にしたの?」とご質問をいただく事があります。

 

医師と患者間の良好な関係には、「医師にかかる十か条」という考え方のなかにも、治療を受ける側にも責任がある、と記されています。

双方のどちらかが、一方的で身勝手な言い分をしていては、「絆」など成り立たないと思っています。「絆」については、「人と人の結びつき」が言葉の定義ですが、本当の意味での「絆」について私の考えは、患者様にとって、適切な診断・治療を提供することはもちろんであり、お互いの信頼関係が出来た上で成り立つものが「本当の絆」だと思っております。

 

その上で、患者様には十分な配慮のもと、時には耳の痛いこともお話させていただかなくてはいけないことが、将来の健康を維持することに大事だとも思っております。

 

当院と患者様の間に、深い「きずな」が結ばれて、より良い診察・療養ができるように、一緒に二人三脚で病気に立ち向かっていきましょう。

年始のご挨拶

 

旧年中は大変お世話になりました。

本年も”がん検診を疎かにしない専門的循環器治療”をモットーに、かかりつけ医として皆様の健康をサポートさせていただきます。

その信念を今年もぶれることなく、かつ、院内体制を整え皆様のご期待に沿えるよう頑張っていく所存です。

 

旧年中は9月に開院し、新規開業ということもあり、待ち時間などでご迷惑をおかけしました。 スタッフ一同、工夫をこらして、旧年では達成できなかった待ち時間短縮についても努力し改善して行く次第です。

 

「菜根譚(中国、明代の古典の一つ)」や「アドラー心理学」では、「人格が主人で、才能は召使い」という言葉があります。

医療に置き換えると、優れた医療技術を持っていても、それをどう使うかは医師次第ということになる、と思っております。

私自身、開業医の医療技術が上昇しない、などということが無いように日々精進し、情報を受けるだけでなく、情報発信型の医師を目指しております。

そこで身につけた知識や技術を分かりやすい説明のもと、提供したいと思っております。

どうぞ、本年も宜しくお願い致します。

 

一宮きずなクリニック

院長 福田大和

一宮きずなクリニックの外観

 

皆様こんにちは。
いよいよ、今年も残すところわずかとなりました。

 

本年の9月に新規開業したにもよらず、 ご来院していただいた患者様には感謝の気持ちでいっぱいです。

 

今年も様々なことが起きました。2011年を象徴する漢字は『絆』でしたが、熊本での震災やオリンピックなど、人と人との絆を再確認できることが今年も多くありました。高知も南海トラフの問題があり、「備えあれば憂いなし」の対策をしていかなければなりませんが、災害という非日常の中で「絆」という大切さに気づくのではなく、一宮きずなクリニックでは地域医療を通して、日常での皆様との「絆」の大切さを肌で感じた一年でした。

 

一宮きずなクリニックでは、患者様の診断・治療を漠然とするだけでなく、福田心臓・消化器内科(私は水曜日と金曜日の午後に心臓リハビリテーションで診察しております)と連携をとりながら、医療におきましても「備えあれば憂いなし」ですので、予防医療や介護に関しても、グループホームを初め、特別擁護老人ホームなども、同医療法人、関連の福祉法人内に施設があるため、シームレスな医療・介護を患者様との『絆』を大事に、心掛けたいと思っております。

 

当クリニックは、患者さまの笑顔や感謝の言葉に支えられて2016年を無事に終えることができました。今後も多くの方に愛されるクリニックに一歩でも近づきたいと、職員一同、向上心をもって頑張って行きたいと思っております。

 

2017年も人と人の絆がしっかり結ばれ、多くの方に幸多きことをお祈りしつつ本年最後のご挨拶とさせていただきます。

来年もまた多くの新しい出会いを楽しみにしております。
それでは皆様、よいお年をお迎えください。

 

一宮きずなクリニック

一同

皆さんはインドではIT企業が盛んである、とご存知だと思います。 私をはじめ、多くの人が、「インド人は数学が強いからだ」と思ってないでしょうか? 実はそうではない一説の答えが、池上彰さんの著書『宗教がわかれば世界が見える』に書かれています。インドでは、身分制度である「カースト制度」というものがあり、親の職業を継がなくてはいけない決まりがあるのですが、貧困から抜け出したい人々が、新しい職業でカースト制度に当てはまらないIT関連の職業につきたいから必死に勉強する、ということが一因のように書かれていました。

日本では、職業選択の自由が憲法で保障されています。日本人の多くの人々は、自分の意志で仕事を選べます。グローバルな視点に立てば、問題はあっても日本は比較的、恵まれている環境であると思います。

 

同じことが、医療の分野でもあると思います。

私は2013年から1年間、米国フィラデルフィアの心臓血管研究所で研究員として働いていました。研究で得た知識も大事でしたが、1年過ごした事で、米国の医療制度をはじめ、未だに深く残る差別問題など、僅かですがグローバルな視点を肌で感じ、持つ事ができました。

 

国民皆保険は賛否両論あると思います。しかし、私は素晴らしい制度だと現在(2016年)思っています。 患者さんが平等に高い水準の医療を受けられるこの制度は、今後も続けていく必要性を感じています。

 

年末に向けて忙しく、慌ただしい時期に入ってきました。あまり無理をなされず、命あっての物種です。ご自身・ご家族のことを第一に、健康に気を使っていきましょう。私も医者の不養生にならぬよう、頑張っていきます。

 

 

ちなみに・・・

 

米国の私が暮らしていた比較的安全とされている地域(ペンシルバニア州のWillow grove)でも21時以降は研究室のボスから「絶対に出歩かないように!」と言われていました。禁を犯して(笑)、23時に買い物に出かけた際に、ウォールマートというスーパーで万引きした犯人を取り押さえる現場に遭遇し、犯人とぶつかってしまいました。2人に1人が拳銃を所持している可能性がある米国。本当に怖い思いをしました。

もう慣れましたが、帰国してすぐは、深夜に中学生ぐらいの女の子が 塾の帰りなのか、一人自転車で帰路についているのをみて、ゾッとしたものです。

やっぱり日本は、安全だなと思える今日この頃です。