論文化され、通説になっていますが、見返してみると私が香川から高知に持って帰ってきた心臓リハビリを続けておられる方は、年齢は5年たっていたり、1年の方もいますが、全員、eGFRという、尿の中に悪いものをだす値が改善していました。 特に、慢性腎臓病の初期の方には効果が非常に見込まれます。

患者さんに数値を伝えると、「気持ちがいいから続けているけど、そんな効果もあったんだな」「圧迫骨折をしているから機具をつかった筋トレができないけども、心リハは安全にできる」「運動中に医師、看護師、理学療法士がみてもらえるので、スポーツジムよりもいい」という意見があるなか、そういった「数値」で改善することを伝えるとより喜んでもらえます。

ここで、腎機能をよくするエビデンスが揃ってきました。

やはり、最も重要なのは、食事の塩分制限を除くと、

RAS阻害薬という内服薬 だけだったのが、

トピロリックという尿酸を下げる薬が血圧を下げずに腎機能をよくする、糖尿病の方はSGLT-2という糖を尿にだす薬、そして「心臓リハビリ」という手段がでてきました。

腎機能が悪い、と言われた方、ぜひ来院を検討してください。

ミスター救急、と全国でも有名な救急医でしたが、このたび救急を引退されました(実際のところ、今後はどこまで関わるかは不明ですが)

私はDMAT隊員だったので、自衛隊の演習場で訓練をしていた時に、知り合いになり(当時のことなので、現在はお忘れになっていると思います)、四国こどもとおとなの医療センター時代に、毒素を飲んで自殺を図った方の透析膜について、香川から高知赤十字病院の西山先生に電話をして、質問させていただき、救命できたこともあります。

偉大な先生です。 救急医の手本となるような方でした。 救急は非常にストレスのかかる仕事です。 そんななか、そういうそぶりを見たことがありません。 高知の開業医、一町医者としてだけでなく、自分が患者の立場になれば、仕方ないにせよ、かなり大きな損失であることは間違いありません。 高知県の救急医療のレベルを上げた方です。 今後もなにかしらの形で救急に関わっていただきたいと切に願います。

血圧は低ければいい、そんなことはありません。 いろんな臓器に酸素を運ぶ意味でも血圧はある程度「保たれていなくては」逆に、血圧を上げるためのホルモンがでて、さらに臓器障害を起こします。

心不全に対して最もエビデンスがあるのが、「レニベース」という薬です。 さらに言えば、日本未発売の(英訳を無理やりすると、「高性能ACE阻害薬」となると思います)「ラミプリル」ですが、日本では使えません。 レニベースのいいところは論文が豊富というだけでなく、血圧を下げにくいけども、臓器保護効果に優れているということです。 「咳」という副作用が出た場合は同系統の新しい薬の、ARBという、ACE阻害薬を進化させた薬にすればいいでしょう。 特に「ミカルディス」は「ラミプリル」に負けない部分があることを証明できた薬です。 血圧がきになるなら、「ブロプレス」や、腎保護効果のエビデンスが豊富な血圧を下げにくい「アバプロ」も選択肢に入るでしょう。 私はこれ以外の薬は紹介されれば使用しますが、心不全に対してfirst choiceには基本的には使用しません。
そして、血圧に関してはかなり慎重に投与量を変えないといけません。 臨機応変にその患者さんがふらつきがなくても、心エコー検査所見や、腎機能、血圧が80前半なら、減量をしないといけないと我々は思って治療します。 ちなみに腎臓保護目的でACE阻害剤、ARBという薬を使うときは血圧が100-110以下になるなら、「使わない方が腎保護には良い」というのが一般的です。 では、心臓と腎臓、両方が悪ければ、、、 心臓に限って80を目安にするのはあまり良くない選択肢かもしれません。 一時的に降圧効果のある薬を減薬することがその患者さんの将来を見据えた治療です。 薬が減って不安になる方もいるかもしれませんが、そういったことは遠慮なくおっしゃってください。 私の方で理由を言って説明はしているつもり、ですが、受け取る側がどう思っているのか、が大事だと思います。

確かに、日夜かなり肉体的にも精神的にもストレスがあるなか、日本の医療を支えている自尊心はあって当然だと思います。 ちなみに、私も入院患者20人、心エコー検査、心臓カテーテル、微量な強心薬(点滴)数種類を使いながら医長として、月に7回当直をしていたので、その気持ちはわかります。

ただ、大きな病院に勤めているから、優れた知識を持っている、と思うのは間違いだと確信しています。 消化器内科でもそうですし、循環器内科でもそうです。 例えば心エコー検査に疎い大病院の医師に心不全の治療は難しいでしょう。 ただ、多くの人が関わるので治療がうまくいく、というメリットがあるのです。

開業している医師の多くはそういった経験をした上で、町医者として働いているのです。 町医者で勘違いする医師もいます。 例えば元教授だった、や、医長、部長を務めていた、などです。 開業後、勉強を続けないと、大病院で働いていた知識はどんどん減っていきます。 とくに現場で働きながら、自分のしたいことだけをして、専門外を診ず、論文も書かない医師が開業すると、治療が数年で遅れる可能性が非常に高いと思う次第です。 実際に大病院に勤めているのに、治療薬がどう考えてもおかしい、という場合があるのは事実です。 大病院に勤めながら論文は書かなくても読みもしてないのだな、と思う次第です。 ガイドラインすら読んでないのでは?と思う処方があります。

自戒の念をこめて

認知症の薬は、世界中で日本が最も処方が多い事実があります。

これには理由があり、運動、会話、内服薬、食事 など が「いい」とされる論文は確かにあるのですが、

最も信頼できる有名雑誌の論文では、「認知症の進行を遅らせる可能性は確かにあるかもしれない。 しかしながら、そういったことは、一時的に認知症の改善がみられることで、進行を遅らせることは証明されていない」ということも報告されています。

だからといって、なにもしない、のは良くない、と私も思っています。 実際にデイケア、デイサービス、認知症カフェ、運動、内服薬で、症状が良くなり、認知症の進行を遅らせる効果がある患者さんも数多くみてきています。

患者さんの介護をしている方には、正しい知識をもつ機会をもてるようにしてもらい、医師と対等な関係が原則と思っていますので、疑問に思うことは、なんでも聞いてください。