土曜日、匿名のコークハイさんから「予約しても1時間待つから予約の意味がない。改善を」というご意見をいただきました。

当院としてもできるだけお待たせしないよう毎年、時には月単位、またご不満(私には言いにくいようで、スタッフから聞いたことも含め)を聞いた時に、色んな工夫を重ねてきましたが、完全予約制ではないため、特に院長の外来時には、どうしても予約時間どおりにご案内できないことが多々あり、心苦しく思っております。

一宮地域では開業時から珍しく予約制を導入してきましたが、それは治療計画を立てやすくするためであり、結果として10年間で脳出血を起こされた患者さんがほとんどいないという結果や、非常に多くの早期の癌の指摘につながってきました。 しかし、「予約したのに待つ」というご不満も事実であり、真摯に受け止めています。

予約制をやめることも検討しましたが、今回は検討させていただく、に止めます。

当院では、「先生は血圧や血糖値をきちんと管理してくれますよね」「癌検査をきちんとして、早期で見つけてくれますよね」「納得のいく説明をしてくれますよね」という声に対して、全力で診療を続けていく方針を変えたくなく、そのためには基本予約制(予約なしでも見る)という方式が一番あっていますし、私だけが外来に座っている訳ではないので、次回の予定が立たないことは一定の患者さんにとって面倒なことになるとも思います。

私は当然ですが、匿名では診療しておりません。責任を持って名前を出し、生身の人間として日々診療にあたっています。今後も、信頼を寄せてくださる患者さんに全力で応えてまいります。 もちろん、予約時間に対しては例えば10:30の予約の方は10:30から11:00にお呼びする、と言う意味なので、その時間内にお呼びできるように努力し、考えたいと思います。

ただし、匿名のコークハイさんについては、信頼関係が築けない状態にあり、今後の診療はお互いにとって良い結果にならないと判断いたしました。 匿名のコークハイさんは、次回の予約のキャンセルは、通常キャンセル時にしていただく電話などはしなくても構いません。 そのまま当院には来院せず、待ち時間がないか少ない、あるいは完全予約制を徹底されている医療機関を選んでいただくことを、強く検討してください。

現状、かかりつけ医一人に全てお任せ、という考えがあると思います。

しかし私は主治医二人制がいいと思っています。
例えば、B型肝炎の患者さん。 私はガイドラインに沿って半年に一回の(採血と)画像診断(エコーやCT)をしていますが、腹部エコーは私、CTは専門読影で私だけでなく放射線科専門医に診てもらうようにしています。 これで主治医が2人になるわけです。 エコーは胆嚢疾患に強く、CTは客観的であり思わぬ疾患が見つかることもあります。  あと、「きずなクリニックは心臓疾患や、癌を見逃さないですよね」という患者さんが多く通院されていると思っています。 そのため必要な検査は患者さんの声も反映し(強制することはありません)、実施するようにして、怪しければ基幹病院にさせていただくようにしています(なんでもかんでも紹介するわけではありません)。 これも主治医2人制になります。
例として、CT検査で私が腎臓がん疑い、放射線科専門医も腎臓がん疑い と なれば紹介し、何もなければそれはそれでいい、という考えです(実際、癌だったということも多々あります)。
こういったシステム構築が私の考える診療所で重要と思っていることです。

 これは私が香川の国立善通寺病院(現:四国こどもとおとなの医療センター)に勤務していた頃の話です。 心リハビリテーションを始める前は、「面倒だ」「仕事が増える」と思い、心臓外科部長からの指示に足を踏みとどまっていた私ですが、最初に部長の手助けもあり、順調に「入院だけでなく外来部門」も開設ができ、今思えば、なぜすぐにしなかったのだろう、とすら思います。 私は循環器内科医を主な生業としていますので、抗がん剤治療に関しては「経験がない」「専門外だから責任は取りたくない」ということは通常ですが、今でも私のメンターである、内科全般の医師の手助けもあり、超がつくほどの悪性腫瘍の、テラトーマの症例を患者さんとご家族からのご指名もあり責任を持って抗がん剤治療を施行し、縮小した腫瘍を外科医に摘出して治療をすることができ、その経過でさまざまなことが経験でき、診療の幅が100倍広がった、と思います。何より患者さんの悪性腫瘍を取り切れたことが一番重要なことです。 また呼吸器内科医が不在になった時は、外科医が手術などで手が開けれない時以外でも、気管支鏡での吸痰を私が担当するようになりました。 痰による誤嚥性肺炎の治療に貢献できる経験を指導もありましたが主に独学で安全に配慮してできるようになりました。 救急外来で髄膜炎かもしれない症例に直面したときは、診断について教えてもらいながら修学し、死亡の可能性が極めて高いヘルペス性髄膜炎(脳炎になるので)を診断できました。

題名にある英語の言葉は、アメリカの実業家ヘンリー・フォードが残した言葉で、
日本語訳にすると「あら探しをするより改善策を見つけよ。不平不満など誰でも言える」になります。


日本でも同じような言葉で、「やらない理由を探すより、できる理由を探す」というのがありますよね。

もし腕組んでただ指をくわえているだけの人がいるなら、言い訳を並べている時間に世界は変わりません。 (実際にそういう人は 医師25年の経験の中、何人もいて、成長が全くないな、という人を多く見てきました)

 サポート体制があってこそ、未経験の領域にも安心して挑戦できると思っています。

 もちろん技量や設備が追いつかないと判断すれば手を出さない判断は患者さんの不利益になるので必要です。

 行動を始められるように支え、学べる環境をつくる。それが医療の現場を強くする近道だと私は信じています。